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マチュピチュは本当に飛んでいた(後編)

そこは、美しい場所だった。


降り注ぐ太陽が
大地を 人々を照らして

眩しいほどに



遠く 遠く
遥か彼方の記憶。






その日は祭りの夜だった。

まるで巨人が造ったような
大きな門をくぐり

いくつもの扉を走り抜けた。

城の中は少し古いけれど大きく頑丈で
とてつもなく広かった。

錆びたような赤茶色の
石の壁には
至るところに松明があり

祭りを楽しむ
大勢の人たちを照らしていた。

この祭りの賑わいに混じれたなら
どんなに楽しかっただろうか。


息を切らしながら走る。


時々、鎧の兵士とすれ違うたびに
心臓が破裂しそうになりながら。


私は、
とても大きなことを
しようとしていたんだ。

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「私」は
いつかの時代を生きている
私だった。

「私」が何者なのかはわからない。

「私」は
城の中をとてもよく知っていて
迷うことなく、そこ、に向かっていた。




マチュピチュは小さな国だった。


マチュピチュの人たちは
この国だけが世界だった。

マチュピチュは

国であり、
大陸であり、山であり、
大きな船でもあった。


マチュピチュには
石を積み重ねて出来た
山のように大きな城がそびえ立ち

幅広い緩やかな階段が
あちこちにあって
城と町を繋いでいた。

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城下町はこじんまりとした
村のような感じで
緑の生い茂る森の中には
透き通るように澄んだ小川が流れていた。

走り回る子供たち。
壺のようなものをもって
にこやかな表情でそれを見つめる母親たち。

そこはまるで
天国のようだった。

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私は
マチュピチュの中心に向かっていた。


そこは広場のようになっていて
大きな丸い噴水がある。

人々の憩いの場所だった。


広場にたどり着いた私は、
噴水をのぞきこむ。

なぜか、そのとき
噴水の水は
すべて抜かれていた。

丸く大きな噴水の池の真ん中に
排水口のような所があった。

……あれだ

私が目指していたのは、そこ、だった。


まわりを見渡す。

誰もが笑顔で
祭りを楽しんでいて

私のことには誰も気付いてないようだった。



私は噴水の中に入り
その中心に立つ。

排水口は
栓のようなもので
塞がれていた。


私は、この、栓を抜きに来たんだ。



「……おい!!!」

誰かが私に向かって叫ぶ。


兵士たちが、血相を変えて
私を止めようと走り出す。


祈りながら

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私は、その栓を抜いてしまったんだ。









「穴」から何かが飛び出す。

竜巻のような、
激しいエネルギー。

地面が唸り
激しい揺れと共に
大地が崩れていく。



マチュピチュは
最後の力を振り絞って

まるで一体化していた
大地と自分を切り離し
空に浮かんだ。


マチュピチュは
人間の負のエネルギーを
取り入れることで
「生きて」いた。

集められた心の欠片たちは
何年も何年も……
そこから解放されることを望んでいた。

崩れ落ちる城にしがみつきながら

私は、声を聞いた。



あんなに激しく吹き荒れていた
竜巻のようなものは

青空の下で
やさしいそよ風に生まれ変わる。



……ありがとう、ありがとう……

……私たちの苦しみを
やっと、お空に、還すことができる。


それは心に直接、伝わって


感謝の思いと 少しの切なさ。




涙が止まらなかった。


私が、
マチュピチュを滅ぼしてしまったから。







これは、
私が見た、夢のおはなし。


私には
この夢が
どんな意味を持つのかは分かりません。

ただ、確かだと思うのは

マチュピチュは、本当に飛んでいた。
これだけ……。

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最後まで読んでくださって
ありがとうございました(*^^*)!!

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マチュピチュは本当に飛んでいた(前編)|アルなか🎵|note
https://note.com/arunaka39/n/na8f5bc28ecef



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