(多分)何気なく発したであろう一言が、私には嬉しかった話
私は髪に無頓着なので、3ヶ月くらい平気で髪を切りに行かない。ついこの間、ようやく美容室へと出かけた。
3ヶ月放置していたボサボサな髪の毛なので、行くたびに
「こんなボサボサ頭で来てごめんなさい・・・ああ、腕とか服に切った髪の毛沢山付いちゃってる・・・落とすのメンドクサイですよね・・・もう適当にバッサバッサ切っちゃっていいですからね・・・。」
なんて心の中で申し訳なく思いながら切られている。
美容師の人との会話も苦手なので、出来るだけ最小限で済むような返答をしている。
ここの美容室に通い始めてまだ2年くらいだろうか。数年前までは美容師志望だった妹に切ってもらっていたのだが、結婚して県外に行ってしまったので、色々探してここに通うようになった。
今回切ってもらった担当の男性は、今までに見かけたことがない方だった。恐らく最近入ったのだろう。「今日はどうしますか?」の問いにいつもの定型文を伝えて、切ってもらっていた。途中で彼が一言こう言った、
「前髪切っていきますね~。」
私が「あ、はい」と、短く答えた後、前髪が切られ始めた。最初は特に気にしていなかったのだが、彼は作業を始める前に必ず私に一言声をかけていることに気が付いた。
「今から後ろの方すいていきますね~痛かったら言って下さい。」
今まで理容室、1000円カット、妹、美容室と経験してきたが、髪をすく時にこれを言われたのは初めてだった。「かゆい所あったら言って下さいね~」は、ある。
美容室によっては必ず言う一言かもしれない。彼ももうそれが癖になっているだけなのかもしれない。でも、私にとっては初めてのことだったので、彼の好感度が上がった。
よくよく注意して見てみたら前髪を切っている時も、目に入らないようにちゃんと指でガードまでしてくれていた。彼への好感度は天井を突き破った。
彼にとっては何気ない一言だったかもしれない。「痛かったら~」と言いつつ、心の中ではボサボサの髪切るのめんどくせーと思いながら切っていたかもしれない。しかし私には彼の一言一言に確かな優しさを感じた。良い気分で髪を切り終えることが出来たのは久しぶりのことだった。
何気ないような一言でも、言葉にするのとしないのとでは相手の受け取り方も変わってくるものだなと、私自身が体験することで身に染みてわかった。私もこれからはちょっとしたことでも、一言相手に伝えるように心がけたいと思う。
konna tokoro made yonde kurete arigatou. demo tokuni nanimo omoshiroi koto kaite naiyo.