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暮らしの勉強メモ⑦日本の発酵調味料について(1)

こんにちは!雑貨屋 あるくらし 店主の絢音です。
雑貨屋 あるくらし は、現在、店舗を持っていませんが、
イベント出店やオンラインストアからスタートした雑貨店です!
こちらのnoteでは、お店の歩みを記録中です!
(雑貨屋 あるくらし についてご興味のある方は、
マガジン「雑貨屋 あるくらし を開くまで」にまとめておりますので、
良ければそちらをご覧ください!
店主の暮らしの勉強メモについての詳細は、暮らしの勉強メモ1に想いを書いています!)

今回のテーマは、「日本の発酵調味料」について

今回、日本の発酵調味料をテーマにしたのは、自分が家で作り続ける料理や、親しみを持って食べ続けたくなる料理が、日本の伝統的な発酵調味料を使ったものだと、数年前からしみじみと感じた事。そして、日々使う調味料をできるところから、自分自身で判断をして選択できるようになりたいと思ったからです。

祖母の料理や職場のレシピ、自分が見つけたレシピを組み合わせて作る料理は、
手抜きの日も手間をかける時もありますが、「ほっこり安心する」ものになりたいなと思います。

私の毎日のごはんのベースは祖母の家庭料理です。実家で暮らしていた時、祖母が6人家族の毎日のごはんを作ってくれていました。
基本的に和食が中心で(料亭のようなものではなく、“田舎のおばあちゃんが作ってくれた”優しいおおらかな家庭料理です。)、エスニック料理や創作料理のようなものは、大学生になって大阪でご飯を食べるようになるまでほとんど食べた事がありませんでした。もちろん、その味の美味しさにビックリしたり、「こんな料理作れたらかっこいいやん!」と憧れ、ひとり暮らし時代にナンプラーやチリソースを買って料理した事はあるのですが、日々の料理として食べ続ける事、日常に溶け込ます事は難しく、次第に、「家で作るのもいいけど、たまの外食で楽しむのが、私にとって調度良いかも。」と思うようになりました。

2022年、初めてほぼ独学で挑戦したお味噌づくり。正直むちゃくちゃ「美味しい」までは到達していないけど、「家で作って工程を知る。豆や麹を触る」という事が好きになって続けています。

一方、味噌づくりを家でチャレンジして今年で3年目になったり、スーパーで買っていた醤油やみりんを少しずつ調べて、違う製造方法のものに代える。という事を、少しずつ始めました。もともと自分の舌が和食に慣れている事と、現職場が、伝統的な製法の日本の調味料を使っている食堂で、その味の馴染みある心地よさ、そして食べ疲れしない料理に感動し、興味を持った事が影響しています。
祖母の料理と新しい発見が重なり、「続けたい料理」が少しずつ見えてきた、日常の変化点でした。

ひとつお話をしておくと、実家ではスーパーで手に入る大衆的な調味料を使っていました。ひとり暮らしの時も、今でもいくつか使っていますし、それが「一般的」な価値観だと感じています。そして、20年以上食べてきたそれらの味は、ちゃんと美味しかったし、家族が作ってくれた料理は、ちゃんと嬉しかった。その感覚や思い出は否定したくないし忘れたくないと思います。
ただ、切実に日々使う調味料を少しずつ見直す事が、身体への影響だけでなく、食べた時の、「美味しい・楽しい」日々の変化がある。ということも、生活の中で気づいた大切な視点です。
「健康」を理由に全ての調味料を変える事、そして続ける事は難しいかもしれないけど、「美味しい」「食後のお腹がしんどくない!」ような、ちょっとした感動が生まれたところから、少しずついつもと違う選択をしてみる。
雑貨屋「あるくらしが」が大切にしているのは、歩くように少しずつ、暮らしを自分の興味関心のある方向に進めていく事です。
せっかく、興味を持った分野を、やらずに済ますのではなく、数年かけて試して、心地よい落としどころを見つけたいと思います。

日本の発酵調味料について、「発酵」の現象から調味料の表示を見るポイント、そして現在我が家ではどういう調味料を使っているのか、という所まで、2回に分けて投稿していきます。第一回目は、具体的な調味料の話に入る前に、そもそも調味料を製造する過程の「発酵」とはどのような働きなのか?を知る回にしたいと思います!私もまだまだ分からない部分もありますが、ぜひこの機会に一緒に勉強しましょう!

そもそも発酵って?

お味噌に醤油、酢、納豆、漬物。「発酵」と聞くと浮かぶ調味料や食品はありますが、そもそも、「発酵」ってどういうものなの?と問われると、口がつぐみます。発酵調味料に関するお話に入る前に、まずはそもそも「発酵」というものがどういう働きを指すのかをみていきたいと思います。

興味はあるけど分からない事たくさん!と、昨年手始めに「発酵検定」を受験していました。昨年勉強したはずなのに、noteの記事にしよう!と思って書き始めると、忘れてることたくさん…。
私もnoteを書く事で再度勉強!です!どうだったけ?と見返せるnoteになるといいな。

端的にいうと、「生物の生命活動」なのだそう。呼吸、光合成と並んで、生物の三大生命活動の一つとされているのが「発酵」。「微生物の作用により有機物を分解し、新しい物質が生成される科学現象」を指します。
なんとこの科学現象、「発酵」と「腐敗」両方にいえる現象であり、その区別は、「人間」にとって「有益」か「有害」かという部分で判断されます。そして、文化が異なればこの有益かどうかという判断は「変化しうる」というものなのです。(ある国では、食品として食べられるが、ある国では腐っている!と判断されうるという事。)曖昧さにちょっとびっくり!

「発酵」の現象を見ていくと、発酵調味料が、「微生物」と「生成される新しい物質」が重要な、調味料たらしめる要素だという事が分かります。
では、発酵調味料を作るのに必要な「微生物」ってどんなものがあるのでしょうか?
大きく「細菌」「酵母菌」「カビ」の3つに分かれるのだそうです。
(私、ここで、「え??カビ??」とまたビックリしましたよ。)
細菌:乳酸菌、酢酸菌、納豆菌 等
(なんとなく、ヨーグルト、酢、納豆がイメージできますね。)
酵母菌
(パンやビールなどをイメージしました。)
カビ:麴菌、アオカビ、カツオブシカビ
(麹って、カビに分類されるんだ!アオカビチーズは、そっか!鰹節もカビ!?とまたもやビックリ。発酵には一体何回ビックリさせられるのでしょう。)
これらの「微生物」が、タンパク質をアミノ酸に。デンプンをブドウ糖に。糖類をエサにアルコールや炭酸ガスを新しく生成する等して、発酵調味料を作っているようです。

ちなみに、「発酵」には、様々な形式があるみたいです。発酵調味料についての理解を深めるため、もう少し具体的な分類のご紹介にお付き合いくださいませ。

①乳酸発酵
「乳酸菌」が「糖類」を分解し、「乳酸」を生成。乳酸は周囲を酸性に代え、菌の繁殖を防ぎます。乳酸発酵した食べ物は腐敗しづらく、保存性を高めるために利用されてきた歴史があります。代表的なヨーグルトや漬物以外に、醤油、味噌、みりん等、「乳酸菌」以外の微生物が発酵のメインとなる食品にも乳酸菌が使われます。
②アルコール発酵
「酵母」により、「糖類」を分解し、「アルコールと炭酸ガス」を生成します。パンやビール作りだけでなく、醤油、味噌、酒の製造にも使用され、それぞれの製法に適した酵母(「醤油酵母」「味噌酵母」「清酒酵母」)が使い分けられてるんだとか!
③酢酸発酵
「酢酸菌」が「アルコールと糖類」をエサに「酢酸」を生成する発酵で、日本では、日本酒や酒粕から「米酢」を酢酸発酵させて醸造しています。
(ワインを酢酸発酵→ワインビネガー、ビールを酢酸発酵→麦芽酢、
果実をアルコールにし、それを酢酸発酵→リンゴ酢等。)
なんとなく使っていたお酢が、お酒からできていた事を数年前まで知りませんでした。アルコール発酵でお酒になり、お酒がさらに酢酸発酵してやっと酢ができるというダブル発酵という手間…。初めて知った時、衝撃でした。

スーパーで今まで通り、とりあえず買う調味料、厳選して選んだもの、これどうなんだろう?と試しに使っているもの、現在我が家にはいろいろな思惑の調味料が並びます。

そして、テーマである「日本の発酵調味料」に欠かせない「微生物」が、「麹菌」です。味噌や醤油、酒の原料となる麹に必要な微生物で、「麹」は、蒸した米や麦などの穀物に「麹菌」を繁殖させた加工品を指します。
そんな麹菌は、日本の発酵調味料を作る際のスターターとして大事な役割を担ってくれています。
発酵の形式のひとつとして、微生物の生成する「酵素」による分解も含まれていて、まさに、「麹菌」は自身の酵素によって、デンプンをブドウ糖に分解する「糖化」を行い、乳酸菌等微生物の発酵に必要となる「糖類」をたくさん作る事ができるのだとか。
ちなみに、麹を使って発酵食品を作る事を「醸造」と言い、麹菌は「国菌」と認定されています。日本の調味料を支える菌。さすがです。

多様な「微生物」やそれらの酵素によって様々な「発酵」がある。という事が分かりましたが、それでは、発酵を行う事で、食品にどういった利点があるのでしょうか。
魅力ポイントをまとめると…
・保存性が高まる。
原則的に発酵菌が繁殖している場所には、腐敗菌が増殖せず、長期間の保存が可能となります。
・栄養価や味の美味しさが高まる。
発酵の過程で食材にビタミン等新たな栄養素が付加され、人間にとって有益な旨味や香りが加えられます。
・その他にも健康面での有益な効果が。
微生物によって食品が分解される事で、人体に消化・吸収されやすくなるとともに、発酵食品には、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維も多く含まれ、腸内環境の改善にも役立つのだとか!

次回は、この「麹」が使われる、普段の料理で登場頻度の高い日本の発酵調味料について、購入する際の判断基準になる原材料や製造方法を見ていくとともに、商品にどのように「表示」されているのかを投稿していきます!
併せて、私が最近家で使っている調味料の事、変えてみた部分、変えるに至っていない部分等、赤裸々にお話できればと思います。

最近、「自分らしい料理」ってどんなだろう?と考えています。
正直、まだ具体的にはイメージできないし、できないからこそ、
「勉強メモ」を設けています。ただ、“今”思っている事は、
・祖母の味をベースに
・社会人になって出会った大好きな料理教室兼現職場の食堂の味と
・自分の好奇心を活かして出会う味や知識
を繋げて・混ぜて見つけられたらいいなと思います。
それは、奇をてらう事はなく、日本の調味料に旬の食材を使った、どこかおばあちゃんの家に帰ったようなごはんでありたい。
まだまだ漠然と思っています。

はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お付き合いいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

【参考文献】
一般社団法人 日本発酵文化協会監修 岩野祐一発行(2022)
発酵検定公式テキスト
清水みのり著(2022)調味料を変えるだけ!身体が喜ぶ発酵調味料メソッド
小泉武夫編著(2012)発酵食品学

店主 絢音



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