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暮らしの勉強メモ⑥薬膳・漢方について

こんにちは!雑貨屋 あるくらし 店主の絢音です。
雑貨屋 あるくらし は、現在、店舗を持っていませんが、
イベント出店やオンラインストアからスタートした雑貨店です!
こちらのnoteでは、お店の歩みを記録中です!
(雑貨屋 あるくらし についてご興味のある方は、
マガジン「雑貨屋 あるくらし を開くまで」にまとめておりますので、
良ければそちらをご覧ください!)

2024年初めてのnote投稿です!今年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年最後のnoteで記載したように、今年の1年は、暮らしの実験的ワークショップや、ワークショップのアイデアとなるような暮らしの実験を自分自身が実践しまくる事。そして「あるくらし」というライフスタイルを文章という形で表現していく事が目標です!今年第一回目はの投稿は、店主の暮らしの勉強メモコーナーです。

店主の暮らしの勉強メモって?

雑貨屋オープンに向けての歩みの記録や、店主のリアルな暮らし日記を続けていく中で、
「暮らしの中のモヤモヤや、興味を持った分野に対して、もっと調べたり、勉強する時間を確保したい…!」と感じる場面がでてきました。(暮らしの勉強メモ1に詳細を記載しています。)
そういった「学びたい!」と感じる瞬間をチャンスに、こちらのnoteを利用して、少し立ち止まる時間を確保し、学んだ内容を残していける「勉強メモ」コーナーを作成しました!
勉強!と気張らずに、ゆるりとお付き合いをいただければ嬉しいです。

今回のテーマは、「薬膳・漢方」について

ひとり暮らしをしていた20代半ばまで、「イライラしてしまう。。不安な事が多い。」と思うと、紛らわすように過食をするタイプでした。
料理は好きだけど、ストレスがあるときは全く手がつかなくなって、
甘くて茶色い食べ物を大量に食べ、一時的にストレスを緩和させていました。だましだまし仕事は乗り切るけど、身体と心はボロボロ。という事が良くあったんです。
それでもなんとか、生活ができていたある日、様々な事が重なり体調を崩し、退職。こんな生活をこの先ずっと続ける事は出来ない。と身をもって感じ、再就職をする際、毎日の生活が健やかになるように、食事や健康に関する意識をこれまでよりも持つようになりました。日本の伝統的な調味料を使った身体に優しいご飯を作る料理教室に通うなど、健康を意識しながら生活をする中で、結婚等ライフスタイルの変化も重なり、現在は過食でストレスを解決する事がなくなり、比較的健康的な生活を送っています。
その後、料理に関する勉強をしていく中で出会った「薬膳・漢方」の考えに興味を持ち、昨年、まずは理論を勉強したいと薬膳・漢方検定を受験。
「薬膳・漢方」の各個人の体調や体質に焦点を当てた生活や食事スタイルが「あるくらし」が大切にしたい「ひとりとりの“とある暮らし”を築く」ことに通じる所や勉強になる事がある!と直感で思い興味を持ったのがきっかけでした。
今年は、そんな理論を実際の食事に実践していけるように手を動かしたいという想いがあり、テーマに選びました。
(あと、こういう理論って、勉強を離れて実践していないとすぐ忘れちゃうんです。。なので自分自身の復習の意味もこめました!)
今回は、漢方の理論を中心にまとめていますが、私自身、暮らしに取り入れていく事が目標なので、次回の「勉強メモ」コーナーで、初心者マークの私の試行錯誤の過程を含めた「トライ編」の記事ができれば良いかなと思います。

ちょっと興味があったんだよねって方の、かすかなきっかけや、立ち止まり休憩になれば嬉しいです。

漢方・薬膳って?

今回参考にした図書です。詳細は文末に記載しています。

まず最初に、漢方・薬膳を知るために、それぞれの語句や、漢方を支える理論、哲学等についてを見ていきます。

漢方について

漢方とは
自然哲学に基づいた古代中国医学が日本に渡り、日本の気候や風土に合わせて発展した日本独自のもの。漢方薬、鍼灸、あんま、気功、薬膳など、「医学」「薬学」「養生学」のすべてが含まれる。
不調の一部を切り取るのではなく、心と身体のつながりや全体のバランスが重要と考えられ、養生等を通してその人自身の生命力・自然治癒力を強化していく事を大切にしている。

養生とは
生命力・自然治癒力を高めるという、漢方で重要とされる考え方。人間も自然の一部であり、自然のリズムに逆らって暮らすことは、心と身体の不調につながると考えられているため、自然と調和し自然と共に生きる事が重要とされている。そのため、土地や気候の変化などと深く関係している。

陰陽五行説とは
漢方は、自然界の営みを理解するためにまとめられた、中国古来の自然哲学である、①陰陽論②五行説のふたつの理論から成り立つ、陰陽五行説が基本とされている。

①陰陽論とは

陰陽図とは、「太極」という宇宙全体を表している図。陰陽のバランスがとれている状態で、黒い部分が陰、白い部分が陽を表している。陽が増えると陰が減り、陰が増えると陽が減る。また、黒と白の小さな点は、陽の中にも陰、陰の中にも陽が含まれている事を表している。

自然界の全ての物質や現象は、“陰”“陽”ふたつの要素から成り立つという事。そして、このふたつが、互いに対立、依存、助け合いながらバランスをとって存在しており、バランスが取れた状態が健康で、バランスが崩れると病を発症しやすくなると考えられている。

②五行説とは

五行には相手を生み助けて促進する「相生」関係、相手を抑制しコントロールする「相克」関係がある。

漢方理論を支える自然観のひとつで、自然界にある全てのものは、“木”“火”“土”“金”“水”の5つの要素から成り立つという説のこと。5つの要素はそれぞれ、ある性質を象徴しており、それぞれが促進(相生)、抑制(相制)して影響を与えている。
漢方では、主に五行のそれぞれの属性に基づき、心身と自然等を幅広く関連づけて分類し、「五行配当表」に表している。
以降に記載している「薬膳とは?」の項目の「五味」「五臓」は五行説に基づき分類されている。

【5つの要素の特性】
:生長発展、のびやか、円滑
:炎上、発熱
:教育、受納、変化
:清涼、清潔
:寒湿、下行、滋潤

気血水とは

気・血・水全てがバランスよく体内を満たし、巡っている状態が健康とされる。

漢方の基本理論のひとつで、人の体は、“気”“血”“水”の3つの要素で構成されていると考えられており、バランスが整っていて、それぞれが十分に働いていると、身体は健康を維持する事ができるとされる。足りないものは補い、滞っているものは巡らせる養生法が重要。

①気とは
生命エネルギーのことで、生命活動の基本となるものとされている。
【気虚:不足している状態】
疲れやすい、風邪をひきやすい、息切れがする、汗をかきやすい、食欲がわかず消化が悪い。
【気滞:滞っている状態】
憂鬱になりやすい、のどや胸がつっかえる、お腹が張る、傷みの部位がかわりやすい、月経前の過食傾向、締め付けられるような頭痛

②血とは
全身を巡っている血液のことで、血の働きによって体のすみずみまで栄養や潤いが供給される。また、思考の源とされ、考えたり覚えたりする精神活動のもとになっている。
【血虚:不足している状態】
皮膚が乾燥してつやがない、視力低下、目の疲れ、めまいやふらつき、こむらがえり、爪が割れる、寝れない・夢が多い等睡眠トラブル、手足のしびれ
【お血:滞っている状態】
唇の色が暗い、紫もしくは青っぽい、肩こり・腰痛があり痛みの部位がかわらない、しみやあざができやすい、下半身は冷えているのに上半身はのぼせやすい

③水とは
血液以外の体の中にある、リンパ液、唾液、汗等の水分のことで、身体に潤いを与える役割をする。
【津虚:不足している状態】
口が渇く、皮膚が乾燥してカサカサする、便秘
【水滞:滞っている状態】
体重が重くむくみやすい、頭が重くていたい、下痢傾向、鼻水や鼻づまり、関節のこわばり、湿気や雨に弱い

薬膳について

薬膳とは
漢方の理論に基づいて、体質や症状、体調、季節などに合わせてレシピを作るオーダーメイドの食事の事。レシピは、食材の「五性」「五味」「帰経」を考えながら作成する事が重要。薬も食も分け隔てなく、生活の中から生まれており、同じものでも目的に応じて、薬にも食材にもなりうる考え方=薬食同源が根本的な考え方とされる。

食材の「四気」・「五性」

四気・五性は食材を性質で分類したもの。

四気は食材を、「寒」「涼」「温」「熱」という4つの性質で表すこと。ここに、食材の性質が著しくない「平」を入れた5つを五性という。

寒涼:熱を冷まし、鎮静効果があるもの。陰陽論では「陰に分類」
のぼせや血圧の高いときに良い。   
【例】トマト、ナス等夏野菜。すいか等果物に多い。

温熱:冷えを除いて体を温め、興奮効果があるもの。   
陰陽論では「陽」に分類。貧血や冷え性に良い。   
【例】香辛料、羊肉や鶏肉などの肉類、しょうが等の薬味。

:上記の性質と比較して特徴がはっきりしないもの。  
体に優しく、常食するもの。  
【例】穀物、いも類、きのこ、キャベツ、ぶどう等

食材の「五味」

食材の味の分類であり、五味のそれぞれに心身に働きかける作用がある。

食材の「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹(塩味)」という5つの味の事。
それぞれ、心身に働きかける作用がある。
酸味
①収斂作用:筋肉を引きしめて汗や尿等が出過ぎるのを止める。
【例】梅、酢、桃、レモン、トマト
苦味
①清熱作用:体の熱を冷ます。
②しゃげ作用:便を下して出す。
【例】にがうり、うど、緑茶、菊、どくだみ
甘味
①補益作用:滋養強壮
②緩和作用:痛みを止め、緊張を緩める
【例】なつめ、玄米、はちみつ、大豆、トウモロコシ、かぼちゃ
辛味
①発散作用:滞っているものを発散させ、気血の流れを良くする
【例】ねぎ、しょうが、にんにく、シソ、だいこん、シナモン
鹹味(塩味)
①軟堅作用:かたいものをやわらかくする。
②潤下作用:便通を良くする。
【例】くらげ、かに、のり、昆布

食材の「帰経」

帰経とは、食材がどの五臓に優先して作用するかを示すもの。五臓は解剖での臓器と必ずしも一致せず、より広範囲の体の機能のことを指す。

食材がどの「五臓:肝、心、脾、肺、腎」に優先して作用するかを示すもの。
:体のさまざまな機能がスムーズに動くように調整したり、気を全身に巡らせる働きがある。血を貯蔵して筋肉や神経の働きをコントロールする。
代謝や解毒、排泄などの働きも調整。バランスが崩れると、体内のリズムが乱れ、月経不順や食欲、排便にも異常があらわれる。
【不調が生じる部分】自律神経、情緒、肝臓、目・爪

:全身に血を送るポンプ機能を果たし、血流を調整する。意識や理性など、思考活動をコントロールする。心のバランスが崩れると、心臓本体の不調や思考の乱れによる不安、不眠などがあらわれる。
【不調が生じる部分】血液循環、意識、心臓、舌、顔面

:食べ物の消化や吸収、輸送を調整し、吸収した栄養を全身へ振り分ける働きがある、身体の中央で内臓の位置を維持する、血が血管からもれないようにする働きもある。バランスが崩れると水分代謝が悪くなり、胃もたれ、吐き気、むくみ等があらわれる。
【不調が生じる部分】消化吸収、口

:呼吸と皮膚という体の防衛機能を担っている。呼吸で体内に新鮮な「気」を取り入れ、汚れた「気」を外に出す。体内の水分代謝を助ける働きもある。バランスが崩れると、のどや鼻の症状、皮膚の乾燥などがあらわれる。
【不調が生じる部分】呼吸、肺、鼻、皮膚

:両親から受け継ぐ生命力を蓄え、生長や発育、生殖を担う。全身の水分の分布や代謝を調整する。バランスが崩れると、老化が早まったり、不妊、排尿のトラブル等がある。
【不調が生じる部分】発育、生長、水分代謝、腎臓、耳、髪

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今回は、語句や理論の説明が中心でしたが、以降の試行錯誤の過程を記事にする際、振り返れる基点として、記載させていただきました。私自身、なかなか身が入りにくい部分でしたので、ちょっとずつ理解を深めていければ嬉しいです。今回久しぶりに「勉強メモ」コーナーを記載して、改めて、勉強する事・知る事が大好きだなと思いました。分からない所が少しずつ理解できていくと、生活を送る視点や視線が広がり、ほんの少し色鮮やかに(時に暗く)世界が見える事があります。不確定な事が多い毎日に、こうしたほんの少しの“分かる・知る”タイミングを作る事で、私は暮らしの中に小さな確かさ・安心を得ているのかもしれません。
一方勉強ばかりで、実技面で不器用になるのが私の個性です。きっとすぐには上手にできない、「薬膳・漢方」を取りいれた暮らしの実践編も、気長にお待ちいただけると嬉しいです。

はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お付き合いいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

【参考文献】
薬日本堂監修 岩野祐一発行(2018)
日本漢方養生学協会認定 全改訂版 薬膳・漢方検定公式テキスト
薬日本堂監修 矢﨑謙三発行(2018)
はじめての漢方ライフ 薬膳レシピ&食材べんり帳
クレヨンハウス(2024)
いいね71 からだが発信するSOS 望診チェックのすすめ


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