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側弯症脚長差のコンパス理論


はじめに

あるくん歩行体操教室、姿勢トレーナーの東 史(アズマ フミ)と申します。
この記事では、 “あるくんボード”を使用した側弯症トレーニングで、モデル女性の脚長差改善の経過と途中に感じた問題点、問題から生まれた『コンパス理論』についてお話しさせていただきます。

側弯症と脚長差について

側弯症とは、背骨が左右に弯曲または回旋した状態です。

脚長差とは、側弯症など背骨の歪みや骨盤の歪みよって、片側に負荷がかかることで起こる左右の脚の長さの違いです。

別々の問題と考えられている方もいらっしゃいますが、当教室では、側弯症は必然的に脚長差を伴うと考えています。

姿勢分析と非対称のアプローチ

教室では、後ろからと横からの写真を撮ることで、姿勢分析を行っています。
側弯症トレーニングでは、本人の課題に合わせた非対称の運動をします。
意図的に非対称に行うことで、側弯症の歪みを改善するため、また、対称に行うトレーニングが効果的に行える準備運動として行います。

側弯症の改善が難しいのは、歪みや捻じれがあることで、運動が思いどうりにいかないことです。
非対称のアプローチは、上手くいけば効果が出やすい反面、逆効果にならないか神経を使います。レッスン後に意図した結果が出ているか写真チェックは、改善計画が進むほど必要になります。

モデル女性の脚長差発生の経緯

モデル50代女性は、小学生の時から骨盤後傾で、姿勢の指導を受けても直せなかった経験、そして、小学生でぎっくり腰の経験もお持ちでした。
その後、骨盤後傾のまま過ごし、ご両親の介護を行う中で、利き手効き足など機能性弯曲を繰り返し、構築性側弯症を作っていったと考えられました。
ご本人に痛みや歪みの感覚はなく、鏡で見て姿勢が歪んでいること、歩きにくさが気になり始めて、教室に来てくださいました。

今回は、比較をしやすくするために、後ろからの写真のみを使わせていただきました。

第一段階 姿勢分析と改善計画

姿勢分析と改善計画1

脊柱の弯曲イメージ

写真と触診による脊柱イメージです。胸椎が、反り背でストレートに近いのに、腰椎下部に強い弯曲がありました。腰椎に連動して、頸椎も傾いていました。
骨盤の歪みと、骨盤後傾に伴った脚関節屈曲があり、脚長差の把握がこの段階では、難しくて確かめられないと判断しました。

改善計画

脚長差を把握するためにも、骨盤後傾を改善する必要があり、次の計画をたてました。

①、屈曲が習慣になっている脚関節を伸展して使えるように
②.、脚関節の伸展と連動して骨盤が起こせるように
③、①と②に並行して、腰椎の弯曲を解して動くように
※腰椎の弯曲を改善する過程で、胸椎に左凸の弯曲が発生する可能性を予測して、胸椎が左に寄り過ぎず上に伸ばせるように、注意してトレーニングをすすめました。〈上半身の整え方の記事〉

第二段階 腰椎改善と脚長差

姿勢分析2

改善計画で起こった変化

写真のABCの姿勢は、第一段階での改善計画に基づいたトレーニングによって、脚関節の伸展、骨盤後傾の改善、腰椎カーブ改善を進めた変化の過程です。
骨盤後傾の残る時期Aより、BCに進むことで、上半身の重さがストレートの左脚にのるようになりました。元々、支える役割だった左脚が、後傾の時より負荷を受けるようになりました。

新しい問題

上半身で、脊柱の側弯改善が進むのに反して、脚のカタチで非対称が目立つように変化していきました。
左脚がストレートで、右脚がO脚のカタチが顕著になっていきました。骨盤の捻じれが残るため、正確な判断にはならないものの脚長差があると考えられます。
右脚に問題があると考えて、膝下で、部分的に解すことや膝関節を伸ばすトレーニングを試したりしましたが、脚のカタチの改善が見られませんでした。

結果を受け、右脚以外に問題があると考えることにしました。


第三段階 コンパス理論

脚がコンパスに似ている

コンパスのイメージ

第二段階で生じた問題の理由を考えて、脚のフォルムが、まるでAのコンパスのようで、似ていると考えた時に気付きがありました。

脚とコンパスは、カタチが似ているだけでなく、性質も似ています。
Aのコンパスは、支点になる側と円を描く側の、役割が交代できません。
脚長差のある方の非対称の進む理由は、左右の脚の役割が決まってしまうことが大きな要因です。
Bのコンパスは、左右の長さや形が似ていることで、順番に役割を変えることも可能です。

Aのコンパスのカタチから、Bのコンパスのカタチにする必要性を考えました。

脚長差の問題

脚長差の問題イメージ

現時点まで姿勢矯正を行ってきて、脚には上図のような問題が考えられました。
①、脚の左右のカタチ(長さ)の違いで、使い方に違いが出る
②、軸になる左脚、関節に圧迫が起こる
③、左右の使い方の違いから、左脚の筋肉が硬くて太くなる
④、左右の脚の筋肉の使う部分が、細かく全てで違いが出る

問題を解決するため、左脚の筋肉を伸ばすトレーニングを開始することにしました。

脚の長さを揃える

姿勢分析3

左脚の筋肉を伸ばすトレーニング ①は、通常の”あるくんボード”のトレーニング前に、左脚全体を下図のイメージで、筋肉表面と腱を流れに沿ってマッサージボール・ストレッチポールを使ってマッサージします。
簡単なマッサージでも、運動前にすることで、筋肉を伸ばして使うことへの抵抗感がなくなります。

マッサージのイメージ

左脚が伸びることで、今まで中央に寄せてきた腰椎の弯曲が、②の方向に押し戻される可能性がありますが、そのうえで左脚からの③の動きを、④の方向に上半身を起こしていくことが、脚長差改善のために必要だと考えました。

第四段階 残る課題

姿勢分析4

姿勢分析-残る課題

第三段階で考えた左脚を伸ばす計画は、臥位で脚の長さが揃って、筋肉の質も、それまでの硬く緊張した筋肉から、しなやかな筋肉に質の変化も感じるようになりました。
しかし、脚を縦に支える筋肉は、対称になっているのに、体重を乗せた立位では、脚が非対称になります。

交差して鍛える

手すりを持って立ってもらい、①↑②↑のような、筋肉の流れで引き上げる意識をしてもらいました。脚の非対称が改善したのが確認でき、次の課題も明確になりました。

しかし、現状のままでは、簡単に脚長差や脊柱の弯曲が、再び生まれることが予測できて安心は禁物です。

今後の課題として、①↑②↑の筋肉バランスが強化され、立位や歩行時にも姿勢保持できるまで、トレーニングの継続と日常的なケアの継続は必要であると考えられます。
交差して鍛えるⅩバランストレーニングは、別の記事↓で紹介しています。

以上が、現時点での脚長差改善の経過と変化です。
①↑②↑の筋肉バランスが改善されたら、また報告したいと思います。

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側弯症の脊柱を解す方法

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