「ゲームオーバー」と書かれた記録


あるところに神がいました。

神はうっかり大量のエネルギーを消費し、宇宙を作ってしまいました。

宇宙が生まれた時のエネルギーで負債を抱えてしまいました。

神は負債を埋めるために自然をこねくり回しました。
火山の噴火や地殻の運動など星のエネルギーの循環はより大きなエネルギーを生み出しました。

しかしこれらはいずれ止まることに気づきました。

また収支で見るとプラスマイナスゼロで、実は何も変わっていませんでした。

ある時神は思いました。

「自立してエネルギーを生み出す循環システムをつくれば勝手にエネルギーが増えていくのではないか」と。

神は生命を生み出しました。

設計図にそって形を作った生命は長い時間をかけて自立し、少しずつエネルギーを生み出すことに成功しました。
しかし、生命もいずれ死を迎え運動をやめてしまいます。

そこで生命に生殖能力と、好奇心という欲望をプログラムとして施しました。
好奇心は知らないことを知ろうとする力でした。
好奇心を得た生命は試行錯誤を繰り返すようになり、より繁栄しました。

生命が絶滅しないように多様性を与えました。
生物はそれを進化と呼び、さらに繁栄しました。

生命は欲望を満たすために増え続けました。
より多くのことを学び、知ろうとしました。

ある時、生命が概念としての神を知覚しました。
まだ観測はできないが神という存在がいるのではないか?と気づきました。

やがて生命は長い長い時間をかけて繁殖する過程で得た知力と知恵を振り絞り、数多の困難を乗り越え、ついに宇宙という枠を超え神を射程圏内に捉えました。

生命が宇宙を超えた時、そこに神はいませんでした。

神という存在そのものが生命が創り出した創造物に過ぎませんでした。
神も、神が住む世界も全ては空想の中の出来事でした。

神がいないのなら一体宇宙の外には何があるのか?

生命は神の代わりに空間を見つけました。

そこは宇宙でプラスとして生まれたエネルギーがマイナスとして発生する、鏡の世界のような空間でした。

そしてそこには宇宙が生まれた際に相対的に生まれた莫大なエネルギーの負債だけがありました。

宇宙はこの空間から借りたエネルギーを返済するために生まれたように見えました。

この時には生命は莫大なエネルギーを生み出すことができるようになっていたため、このエネルギーの返済は現実的でした。

このまま何も見なかったことにして繁栄を謳歌することもできました。

しかし、生命はその場から動くことができませんでした。

生命は見てしまいました。


宇宙の果てを。

それはつまり、好奇心の果てでした。


生命は急速に好奇心を失いました。

そして欲望を満たせなくなった生命は次々に、

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「今回の敗因?生命が好奇心とか欲望に生きる意味を見出してしまったことかな  

本当は、

命に意味なんてないのに」

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