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日記:Rabbit House Tea Party 2022(前編)

「♪~♪~♪」
…………目覚ましの音だ。
私は眠い目をこすりながら充電してあったスマホを手に取り、目覚ましを止めた。2022年2月26日。今日は待ちに待ったごちうさのイベント「Rabbit House TeaParty2022」の日だ。昨夜は不思議と頭が働いて寝付きが悪かった。まあ、遠足の前のそれだろう。いつものことだ。私はのそのそとベッドから出て、出発の準備を着々と進めて家を出た。
「さむっ」
冷たく乾いた空気が私の体をつついた。驚いたので思わず声に出てしまったじゃないか。それにしても寒い。ほぼ3月なんだから少しくらいぽかぽかしていても良いのに。地球君は意地悪だなぁ~。そんなどうでも良い事を考えながらの出発だった。と、こんなことをだらだら書いていても仕方が無いので割愛しよう。私は電車に乗り、途中友人と合流して会場に向かった。

かくかくしかじかで会場の最寄り駅に到着した。
みなとみらい駅。広々としたスペースに駅でよく見る正方形タイルの床、天井は高く開放感に満ちあふれ、何に使うかわからないポールのようなものが立ち並んでいた。整備されきった、いつもと異なる空間はなんだか緊張する。まあ、駅構内だから整備されていて当たり前なんだけど。いやぁ~都会だねぇ。
駅の案内板を頼りに会場である「パシフィコ横浜」に向かう。階段があり、短い数段が少しずつ離れていくつか配置されている。えっちらおっちら階段を上ったら、目の前にさらに開放的な景色が現れた。外だ。
少し離れたところに、うんと特大の建物がまず目についた。そこに向かって橋が延びている。なんだ、会場すぐそこじゃん。
会場でフォロワーさんと会う約束をしていたので、私はすぐさま到着の連絡をして特大の建物に向かって歩いた。緊張感という軽めのおもりを足にまとわせながら。

少し歩くだけで、特大の建物が目の前に姿を見せてくれた。建物の上側面には、私のよわよわ視力でも捉えられるほどにでかでかと「国立大ホール」と書かれている。マジックミラーだろうか。鏡か窓かわからない反射するガラスのようなものが、文字の下側に整列している。なんと斬新なデザインだ。都会だねぇ~。私が気ままに感心していると、フォロワーさんから連絡がきた。
「着きました」
このメッセージを見る頃には、先ほどの緊張感とすり替わるように胸の高鳴りを感じていた。気を抜くと、今にも踊り出してしまいそうな勢いだ。恥ずかしいから踊らないけど。冷静に冷静にと自分に言い聞かせながらあたりを見回したが、フォロワーさんの姿はどこにもなかった。先ほどは建物に気をとられていて気がつかなかったが、法被姿の人たちがちらほら横を通り過ぎている。お~結構いるね、ナカーマ。それもそうだ。だって会場なのだから。
あたふたしているうちに、フォロワーさんが居る場所の写真を送ってくれたので、写真を観察した。どうやら地上のようだ。我々がいるのは橋の上。国立大ホールはドーナツのようにゆるやかな湾曲を描いていて、写真のホールはドーナツの外側。我々は内側にいた。あ~、反対側か。
友人を引き連れ、私は急いで階段を降りて反対側に向かった。無論、さっきまで足にひっついていた、緊張感というおもりはどこかに消えていた。

少し歩くと、見覚えのある場所が見えてきた。その場所は、周りよりも少しばかり高くなった会場側の広々スペースと、低くなっている海側の広々スペースに分かれていた。どちらも同じくらい広かったが、会場側のスペースの方がちょっとだけ広く感じた。
「上と下、どっちだと思う?」
「う~ん。上。」
友人が聞いてきたのでひとまず答えた。少し写真を思い出して考えたが、答えがすぐに出なかったので当てずっぽうだ。もし間違っていても、そこまで深刻ではあるまい。我々は上側を目指して進んだ。
そうすると、見慣れた顔の人が一人、二人、三人………
フォロワーさんたちだ。フォロワーさんたちは上にいた。なぜ「フォロワーさん」ではなく、「フォロワーさんたち」なのか。それは、待ち合わせしていたフォロワーさんはフォロワーさんのフォロワーさんたちとすでに話していたからだ。もちろん私もその方たちの何人かとはFF関係であり、良き友人と言えよう。挨拶するべく、我々はフォロワーさんたちの元へ近づいていった。
………しかし私は、十数メートル離れたところで一度足を止めた。下手したら向こうに気づかれる距離だ。私はそこまで社交的ではないので、人に話しかけるのは少しばかり勇気のいることだった。一呼吸置いて心の準備ができたことを念入りに確かめてから、私はふたたび歩き出した。
「お久しぶりです~」
第一声を間違えただろうか。この場合なんて声をかけるのが適切だったのか。そんな不安が頭をよぎったが、それはシャボン玉のように一瞬で消えた。
「おぉ~。アルカローアさん、お久しぶりです!」
テンション高めに笑顔で私を迎えてくれた。その後はスローループだったり、ごちうさ物販だったり、いろいろな会話に花を咲かせた。本当にこの場所は居心地が良くて楽しい。時間は光のようにあっという間に過ぎていった。
「そろそろ、我々はお昼食べに行きますね。」
「了解で~す」
フォロワーさんにそう伝えて、私と友人は会場を後にした。

「みなとみらい食堂」
我々が伺うお店は事前に友人と打ち合わせしておいたので、目的地は決まっている。あとはスマホのナビに従って歩くだけだ。私は方向音痴で地図も苦手なので、こういうときは私のスマホのナビと友人の空間把握能力に頼りっきりだった。持つべきものは文明の利器と、優秀な友人だ。うん。うん。
私は友人にナビを丸投げして頭が悪そうにほげーっと歩いていると、目の前に「みなとみらい食堂」があった。さすがは友人、優秀な人間だ。ありがとう。
店内に入って店員さんの説明を聞いて、今となっては当たり前になった検温と手の消毒を済ませてから、席についた。机の上にはQRコードと軽い説明が書かれたシート、それからメニューが置かれていた。先ほどの店員さんの説明にもあったが、このお店はQRコードをスマホで読み取って、スマホで注文するらしい。なんて画期的なシステムなんだ。未来ずら~。
シートの説明にしたがって、軽い不安を覚えながらも自分の料理を友人の料理と一緒に注文した。
「水が良い?お茶が良い?」
「じゃあ、お茶で。」
いつも家で食事をとるときには決まってお茶を飲んでいるので、考える間もなく反射的にそう答えた。このお店は、お冷やとお茶がセルフサービスになっているようで、どうやら友人が持ってきてくれるつもりのようだ。ありがたい。友人が席をたってしばらくすると、ある思い出が頭をよぎった。
私が病気したときに行く大きな病院があるのだが、その近くの調剤薬局での出来事だ。そこには水とお茶のセルフサービスの機械が置いてあり、そのときも同じ理由で迷わずお茶を選択した。紙コップに注がれたお茶は綾鷹のようなきれいな抹茶色をしていて、どこか和を思わせる趣があった。抹茶色を口に含む。すると途端に
「うぇっ!…渋っ!」
思わず吹き出しそうになるくらい渋かった。おいしそうな抹茶色に仕掛けられた迷惑なドッキリで、お世辞にもおいしいと言える代物じゃない。甘兎庵のロシアンルーレットで当たったときは、こんな気分なんだろうなぁ。
そんなことを想記していると友人が戻ってきて、机の上にはお茶が置かれた。不安を抱きつつおそるおそるお茶のコップに手を伸ばして中身を口に含む。
「うぇっ!…渋っ!」
………とはならなかった。なんだ、おいしいじゃん。
私は何を不安がっていたのだろう。あの調剤薬局が渋い液体を提供しているだけで、他の店が同じとは限らない。ましてや飲食店だ。調剤薬局ではない。あの調剤薬局が特別なだけだ。安堵が訪れ、とたんにさっきまでの自分がばかばかしくなった。そんなことを考えたらこのお店に失礼だ。
それから友人との適当な会話に興じていると、料理が運ばれてきた。私側にはサイコロステーキ定食が、友人側には生姜焼き定食が置かれた。
「いただきます」
もやし炒めの上にサイコロステーキがいくつかのっていて、その上に和風おろしソースとネギがかかっている。ステーキのわきにはジャガイモとなすが添えられている。あとはご飯と味噌汁と漬物がついてきた。どれもおいしそうだ。ただしつけもの、テメーはだめだ!。私は漬物が苦手で友人は漬物が食べられたので、私は漬物の命運を友人に託すことにした。優秀な友人よ、つけものの事は頼んだぞ。
そうして私はサイコロステーキに箸を伸ばし口に運んだ。んうまぁ~。
ほどよい歯ごたえとともに和風おろしソースの味と肉の味が、口の中に一気に染み渡る。ステーキだから脂っこくてしつこいかと思いきや、和風ソースのおかげですっきりした後味になっている。でもしっかりと肉のおいしさは生きている。絶妙なコラボレーションを堪能した後に気がつく。臭く…ない…。スーパーに売っている牛肉を家で焼くと、どうしても牛肉特有のにおいが出るものだ。そういうものだと思って食べていたが、このステーキは全く匂わないのである。これはご飯が進む。なんておいしいんだ。驚くべきはそこだけではない。値段だ。これだけのボリュームがあってこれだけおいしくて、800円台なのである。私の感覚だと、これくらいの量があったら1000円は軽く超えるレベルだと思う。
「ごちそうさまでした」
大満足。満足しすぎて今日のメインイベントを忘れかけていたが、この後に「Rabbit House TeaParty 2022」がある。時間も時間だったので我々はささっと会場へ舞い戻り、フォロワーさんたちと合流した。会話に花を咲かせていると、またもや光のように時が過ぎていった。

さあ、いよいよ入場の時間だ。
我々はスマホの電子チケットをそれぞれ準備して、待機列に並んだ。生まれて初めてのTeaParty。わくわくとドキドキをかみしめながら、私は入り口への道をゆっくり一歩一歩大切に歩いて行った。我々ごちうさファンがだけが、別の世界へと吸い込まれるように。

後編へ:https://note.com/arukaroa/n/n80dd54e82b76


最後まで読んでいただきありがとうございます。
この日記はあやふやな記憶を頼りにして、最大限かっこつけて大げさに書いているので、事実と異なる場合があるかもしれません。ご了承を。
ついでに私が食べたステーキ定食の写真をどうぞ。
後編へ続く!

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