塞いだ耳に嗤う楽園㊵ 楽園

瀧澤は、連れられて行った。
私の高校時代はこうして終わった。

語っていないこともあるが、それらに触れる機会はこれから先にもきっとあるだろう。
私は高校を卒業した。
後悔だけを残した。

時は90年代。テレビは恋愛ドラマに溢れ、街には軽薄なラブソングに満ちていた。

「♪掃いて捨てるほど、愛の歌はある…♪」
THE YELLOW MONKEYというロックバンドが歌っていたその歌詞に、私は仄かな癒しを得ていた。
この歌の詩は、こう続く。
「過去は消えないだろう、未来も疑うだろう」
後悔だけが私を捉え、未来のことも考えたくなかった。
私は、消えてしまいたかった。

ロックバンドはこの歌をこう締め括る。
「いつも僕らは、汚されて目覚めていく」
「Make you free(あなたは自由だ)。永久に碧く」

※歌詞の引用:THE YELLOW MONKEY「楽園」

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