お前の背中に刻む種⑭ 日下部の入院

日下部は、学校の行事中に起きた事故で背骨を骨折した。
かなりの大怪我で数ヶ月入院をすることになった。

伊妻、木田、近藤と4人で御見舞に行った。
みんなでお金を出し合い、途中で花を買った。
日下部のお母さんには、お礼を言われた。

御見舞には、何度か行った。
入院中は、ゲームができるらしい。
時間が有り余っているらしく、相当やり込んでいるようだった。
私も日下部から最近のゲームを借りた。
特に、歴史要素のある「ロマンシング サ・ガⅡ」は私の完成に合い、攻略本も借りてプレイしたものだった。

日下部は高校生活があまり上手くいっていないようだった。
そのせいか、伊妻以外には邪険な扱いをすることも多かったが彼が、この時は私たちにも妙に優しかったように思う。
そういえば伊妻は、昔からメンバーの中では唯一日下部が「お前」とは呼ばない位置にいた。
特別気が合ったとは思えないがお互いのキャラクターの相性なのだろうか。

日下部の入院している病院の近くには朝鮮学校があり、そこの生徒とよく遭遇した。
伊妻は露骨に侮蔑的に、彼らのことを差別的な言葉で呼んでいた。
彼には、昔からそういうところがあった。
特殊学級の知的障害児を騙し全裸で外に出したり、その児童に対して家族を揶揄したような歌を歌って聞かせたり、人格的に私は彼の事があまり信用はできなかった。

この頃は、久しぶりに日蔭中の日下部グループのメンバーと会う機会が再び多くなっていた。


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