東京テレポーテーション⑱ バイトを辞めて

これだけアルバイトをしていながら、私の手元にはお金が残っていなかった。
理由は明白だった。パチンコだ。
パチンコは、驚くほど私は勝てなかった。
私は多分、運が無いのだろう。

高校を卒業してから、私は高校の友達にはあまり会っていなかった。
小曾根からはたまに電話があった。私は携帯電話を持っていなかったので、家の電話である。
小曾根は予備校に通っていたが、あまり浪人生活が楽しくないようだった。
「一緒にSNCに行って芸人になろう。でもお前ボケしかできないからな~」と戯言を言う時もあった。

私は警備員のアルバイトを辞め、名目上大学受験の時期に入った。
だが正直、全く身は入っていなかった。問題は英語だ。英語の単語力が圧倒的に不足していた。
勉強の邪魔をしていたものは何か。

かつて優等生だったというプライド。
突き上げるような18歳の凄まじい性欲。
そして高校時代への激しい後悔の念。
家の経済状況もあるが、プライドもあっただろう。予備校には行きたくなかった。

高校の友達に久しぶりに会ったのは、年始の予備校の無料の講師による同時中継の勉強会に誘われて参加した時だった。






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