東京テレポーテーション⑲ 予備校

予備校での同時中継では、人気の講師がやや演技じみたパフォーマンスをしながら講義をしていた。
私はモニターを観ながら、思わず拍手をしそうになった。
感銘したからではない。
「草木の会」では山田先生のスピーチの同時上映が毎月あり、そこではモニター越しでも会員は拍手喝さいを行うのが通例なのだ。
あ、普通はモニターに向かって拍手をしないのか。
そう思った。

現役で大学進学した瀧澤以外のメンバーは、浪人生が多かった。
瀧澤も楠も越谷も浪人だった。
講義の後、みんなとファミレスで少し時間を潰した。
久しぶりに同年代と喋る時間だった。
楽しかったように思う。

2回目の受験はもうすぐだった。
結果は言わずもがなである。
全滅だった。

私は、2浪することになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?