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珈琲の香り

高校の生物先生は変わり者だった。
授業は自分の研究の話ばかり。
クラス担任になっても、生徒の進路には興味がない。感情を剥き出しにし、意気がってる生徒を廊下で胸ぐらを掴んでいる姿さえみられることがあった。
私は生物部員でもないのに、よく顔を出した。
先生は楽器と絵画が好きだった。
生物準備室にいくと、コーヒーを出してくれ、科学技術や未来の食料危機、自分の使命など語ってくれた。

一度だけ、


デートした…
ドライブ。お気に入りの場所に連れていってもらい、喫茶店に寄った。それだけ。

高校卒業してからは一度も会っていない。
もう、教壇からとっくに下りているはず。

私の心のなかで、今でもあの部屋でコーヒーを飲んでいる。

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