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うなるうまさ!「寿司といえば、富山」 【地域ブランディング】

私が最近注目している地域ブランディングの取組みがある。
それは、富山県が昨年度から取り組んでいる、「寿司」をテーマにしたブランディング、『寿司といえば、富山』である。
私も2015年に、当時はブランディングの素人ながら(なお、公務員なので、地域活性化のプロではありました)、「星空」をテーマにした地域活性化構想を描き、鳥取県庁の公式プロジェクトとして「星取県」(ほしとりけん)を立ち上げ、前に進めてきた。(ちなみに、鳥取県民の「星取県」認知度は、初年度で9割を超えました。 ※県政モニター向けのアンケート結果なので層に偏りがありそうですが)
そのため、新たな地域活性化プロジェクトを立ち上げること、地域のブランドを認知してもらい広めていくこと、ブランディングから地域の経済波及効果等を生み出していくことの難易度の高さは、自身の体験からひしひしと感じてきた。
その中で、今回の富山県の寿司ブランディングのどこが素晴らしいと思っているのかを書いてみたい。

(1)地域を代表する資源であること

私自身は、富山県に寿司のイメージはあまり無かったのだが、「寿司といえば、どこ?」というイメージ調査で、富山県は全国第4位とのこと。(ちなみに、第1位:北海道、第2位:東京都、第3位:石川県らしい)
全国第4位というのは決して悪くないがトップでもない。しかも、3位までのブランドイメージは強い。それでも「寿司」を敢えて選択したブランディングのセンスに、脱帽である。
この後に挙げる要素が、現状のイメージでは第4位というポジションであっても、打ち出すに足りるだけの価値があると確信したからだと考える。

(2)寿司は、みんながワクワクする

地域のブランドイメージを作るにあたっては、多くの人がプラスのイメージを持っているアイテムを選ぶことがポイントになると思っている。そう考えると、寿司は、高級なイメージ、ハレの日のイメージ、美味しいイメージなど、プラスのイメージしか浮かばない。企業のブランディングであれば、経営者や意思決定者のこだわりを貫き通してもよいと思うが、地域のブランドイメージは、住民にも広く理解してもらう必要があり、理解してもらえると、地域の誇りに繋がる大きな力になる。
また、今の時代に外せない、インバウンド(外国人)目線からも。日本を代表する食べ物として「寿司」は海外でも広く認知されており、彼らの中に「(日本に行って)寿司といえば、富山」のイメージが広がれば、インバウンド観光においても波及効果が高まるであろう。

(3)寿司は、多くの企業や人が関われる

寿司で富山をブランディングしていくと、富山で寿司を食べてみたい人が増える。その結果、富山県の寿司屋や寿司を出す飲食店が潤うし、寿司のメイン食材である魚を獲る漁業者が潤う。
また、寿司という料理のすごさは、そのバリエーション。どんな魚やネタを使うか、それをどのように調理するか、どのように魅せてお客様に提供するかなど、その組み合わせは無限大。
なので、料理人が自身の腕をふるい、スタンダードなものから、創作的なものまで幅広く楽しめる世界。富山県は、県外から寿司職人養成学校を誘致するようだが、それができる懐の深さのある料理である。


ということで、思いつくままに書いたが、上記の理由により、「寿司」を地域ブランディングに使うというアイデアは、私の中でかなりナイスなのだ。まさに、うなるうまさ、である。引き続き、「寿司といえば、富山」の今後の動きに注目していきたい。

※ちなみに、上記(1)〜(3)の切り口は、私が星取県(当時、星取県構想)を立ち上げるために書いた企画書の切り口とほぼ同じである。よければ、星取県ブランディングの着眼点と比べながらお楽しみください。

Something New 代表 井田広之 (副業公務員)

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