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精神科の看護師、橘さんにインタビュー!

橘さんのプロフィール

精神科で看護師として働いている橘聡子さんです!橘さんは、精神科で看護師の経験が10年間もあるベテランです。また精神科認定看護師という資格も取り、学生や他の人へ指導もできる方です。 

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病院の白衣を着た橘さん

精神科の看護師の仕事とは?

小児科や外科の看護師だと、患者さんの傷の消毒や注射などたくさん作業するかもしれませんが精神科の看護師の主な仕事は、コミュニケーションを用いた心のケア、セルフケアの援助、患者さんの心と身体の状態のチェックなどです。
さらに医師は忙しくて長い時間、病棟にはいれないので、看護師が患者さんや家族の小さな変化を見つけて、医師に報告しています。

精神科の看護師の毎日

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(看護師さんは日々やることが変わります。)

橘さんが看護師として大事にしていること

精神科の病気の場合、病気と一緒に生きていく、生活していくことになります。「手術や入院して治りました」という訳ではないんです。患者さんに対して「自分はあなたの助けになりたい」という意識をもっていることを、患者さんにみせることを大事にしています。また、看護師の前に介護福祉士として働いていた経験から、患者さんが退院後どのように生活していくのか?という生活面を考えることが得意なので、患者さんの日々の生活を想定してサポートしていけるのも強みです。

さらに、医師や薬剤師に比べて看護師の方が患者さんや家族の近くにいる時間は長いので、小さな変化も見逃さずキャッチして、それをを医師や他のスタッフに共有するのはとても重要なことです。
小さな変化に気づくには、患者さんの普段を知らないといけません。普段から患者さんの近くに足を運んで、よく観察しておくことが大事です。「何か変だな?」と違和感を感じたら他の看護師と共有しています。後から「あの時の違和感がヒントだった」ということもあるので、声に出してチームの皆んなで患者さんを「よくみる」ようにしています。

仕事で嬉しいとき、悲しいとき

看護師の魅力

なかなか退院できなかった患者さんが退院日を迎えるときが嬉しいです。その後外来で元気な姿をみれて、「橘さん」と声をかけてもらえると、とても嬉しいです。

悲しい・悔しい時

何度も入院する患者さんも多いです。自分たちの力不足で、患者さんが再入院になったのではないか、と感じる時は悲しいし、とても悔しくなります。

橘さんの子供時代
小学生の頃
何になりたいかよくわかっていませんでした。ありがたいことに看護師さんと関わるような病気や怪我もしなかったので、そのときには看護師になろうとは思っていませんでした。
中学生の頃
母親が介護の仕事をしていたので、その職場に遊びに行っていました。母が誇りを持って仕事をしているのを見てきたので、母親の影響は多いです。
大学受験
高校は私立に通っていたので、経済的なことを考えて国公立の大学を受けました。第一志望に通らなくて、とりあえず合格した大学に行きました。
大学生と就職
4年制大学で介護の勉強をして介護福祉士の資格をとり、2年くらい老人ホームで働きました。働きながら自宅では、祖母の介護もしました。

なぜ精神科の看護師に?

介護福祉士の仕事で忙しい中、自宅で祖母の介護をしていました。その中ですごく素敵な訪問看護師さんに会えて、彼女が家族全員の支えになっていました。その出会いがキッカケになり看護師を目指そうと思いました。

消化器科や循環器科というような体の中の病気より、人間全体、その人全部をみる精神科に興味が湧いて精神科の看護師になりました。患者さんと向き合って11年目の今でも、精神科の病気は人により様々で奥が深いと感じています。

看護師になる方法とその後のキャリアは?

まず看護師の資格が必要です。看護師の資格をとるには、看護学校を出る必要があります。私は勤めていた老人ホームを退職して、再度受験し看護専門学校に入りなおしました。

看護学校の受験科目:
看護師になるためには、看護専門学校に入るか、4年制大学や短期大学の看護学科に入るという道があります。
大学も専門学校も、高校を卒業してから直接受験する場合は、5科目のテストを受けて受験します。
社会人や大学卒業の資格がある人が専門学校を受ける場合は、「社会人入試」や「学士入試」という枠があることが多いです。(社会人入試も、高校卒業という条件が必ずあります。)その場合は試験科目が、小論文や面接など、学科試験以外になることが多いです。そして、大学を出ていると入学後の教養科目が免除になることが多いです。

私は看護学校へ入る前に、4年制大学を出て介護福祉士として働いていたので、教科のテストは免除され小論文と面接などでした。

看護専門学校には、社会人を経験した後に入学した方もたくさんいました。同級生には元会社員の方から、4年制大学の理工学部を卒業後そのまま看護専門学校に来た方もいました。今働いている精神科には元プロボクサーだったという看護師さんもいます。現役女子高校生だった頃は、なんとなく「高校卒業したら大学へいく」と考えていて、勉強のありがたみがわかっていなかったです。看護専門学校では、(自分で授業料払って行ったというのもあるけれど)目的を持って学んだので、勉強が楽しかったし、有意義で、とても充実していました。

看護師の資格が取得できたあと、病院等に勤めて色々な診療科で経験を積みます。私は、たまたま精神科で長く働いています。看護師の経験を積んでくると人を指導するマネジメント(管理職)のキャリアもありますが、患者さんの近くで看護師の仕事をしたかったのと自身のスキルアップのため、「精神科認定看護師」の資格を取得しました。

精神科の看護師が活躍する場所

看護師が病院などの医療機関以外で働く場合、訪問看護師として地域で働いている看護師が多いです。精神科の看護師経験のある方が、全国に散らばっている東日本大震災の避難者の方々の元を訪問し支援しているケースもあります。

病棟コンサート

病棟コンサートでサックスを演奏する橘さん

とりあえず看護師になっちゃえ!中高生へのメッセージ

精神科では、コミュニケーションが治療の一部です。極端に言えば、「自分」という人間を看護の道具にしています。患者さんと看護師自身の相性もあるので、患者さんと良い関係を築けるのに看護師の経験年数などは関係なかったりします。私自身も、自分が看護師に向いているかはよくわからないです。「看護師になりたい!」「看護師に興味がある」という気持ちがあるのならぜひ看護師になってほしいです。患者さんと良い関係を築けて自分自身が患者さんの役に立てる時がくるとと思います。

精神科の看護師:あるあるネタ
合コンに参加して、「精神科の看護師です。」というと「僕の疲れた心を癒して」とよく言われて、めんどくさいです(笑)。

Artydori:それは誰に言われてもめんどくさいですね(笑)。

現在の挑戦

「看護師の教育」にチャレンジしています。今は、「患者さんの回復する力を信じること」をテーマにして、自分の知識を人に伝えることができるようになりたいので、私も勉強をしています。(ちょうど10月3, 4日に研修を受けに行きます。)

他には、日本の患者さんの入院期間が海外に比べて非常に長く、退院後に地域で暮らしていくことが難しいことです。偏見の目があったり、家にも地域にも居場所がなくなり患者さんも家族も辛い経験をすることもあります。
変わって海外では精神科の病気の治療は入院ではなく、地域で暮らし通院で行われています。実はイタリアには精神科病院が無いんです!しかし、精神科の病気を持つ患者さんが入院する必要な状況でも、一般の病院しかなくて困る場合もあります。病気とともに生きていくのに、入院が必要なこともあるので精神科病院がないのも困りますが、地域で暮らしていくのが難しいのも解決したい課題です。

学会発表

学会発表で橘さん大活躍!

モットー

本音では、目立たず、ひっそりと、淡々といきていきたい。でも「人生は出会いが全て」と恩師の言葉があるので御縁を大事に行動する。

まとめ

今回、橘さんとのインタビューを通して、人との御縁の重要性を学びました。橘さんが素敵な訪問看護師さんに会っていなければ、看護師の仕事に就いていなかったかもしれません。自分は今インタビューをしている方々との関係を大切にします。さらに、橘さんが「看護師になりたい!」と考えて、看護専門学校に行ったり、資格を取るために準備したように、私もゴールから逆算してプランを立てて行動します。


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