ギャラリーVisit&CADANツアー
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ギャラリーVisit&CADANツアー

「変化」や「変換」は現代アートの楽しみの一つである。作品そのものを通じて生みだされる光や色の「変化」だったり、制作過程で生じる予想外の「変換」だったり。

天王洲アイルにある寺田倉庫 B&C HALLで、展覧会「CADAN : 現代美術」(2020年2月14-16日まで)が開催された。一般社団法人日本現代美術商協会(CADAN。小山登美夫代表理事)による主催で、所属する30のギャラリーが「壁2面」の限られたスペースに選び抜いた平面や立体、映像作品を展示した。作品を囲んで歓談できる心地よいスペースで、アーティストから制作背景を聞くことができた。

会場を歩き回っていると、色の変化に富んだボックスに目が留まった。アクリルフレームに収められたノリ服部の作品は、壁面の平面でも床の造作物でも虹色の光を放っており、見る角度によって色が変わる。アクリルフレーム内部には、エッチングだったり、粘土による地形のような造作だったり、虹色のアクリル面を透かして何が収められているのか確認したくなる。右、正面、左からと見え方の変化を楽しみ、一つの作品の周りをうろうろ。

画像1斜めから見た作品

虹色に変化する素材の正体は工業用資材フィルムだった。もともとは油絵具やテンペラ画などトラディショナルな画材で絵を描いていたノリ服部は、ロンドン芸術大学に留学した時、ピーター・ドイグの作品に出合い、自分が模索していた新しい描き方を既にやっているではないか、と衝撃を受けたという。「何を描くか、どう描くか」だけでなく、制作過程や素材でも自分ならではの表現を生みだしたいと考え、様々な素材を探求することで新たな制作スタイルを確立した。

画像2作品とノリ服部氏

本展で展示された「Crescendo #2 」は、描いた絵をデジタル出力し、アナログな画材で一度塗ったあとに削るという技法。デジタル-アナログ を行き来することで生じる予想外の発色やフォルムの変換も意図的に制作過程に組み入れている。

照明によって生み出された壁面や床面の影もレインボーカラー。照明の位置だけでなく、日中の自然光や夜の人工照明で、影の色も形も変わるという。作品には鑑賞者の顔が鏡のように映っている。照明の固定された展示会場から作品を連れ出して、自分だけの色の変化を楽しみたいと思った。

画像3床面の影も美しい

佐藤久美


#ノリ服部 #CADAN #美術 #アート

アートにまつわる言葉を編み、文字を綴ることを専門的に学ぶ学校「アートライティングスクール」のnoteサイトです。受講生の記事を中心に公開します。本校は「東京ビエンナーレ2020/2021」のソーシャルプロジェクトのひとつで、プロジェクトディレクターは美術評論家の福住廉です。