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作品展開催を今週に控えて、アートとビジネスの関係を今一度考える

※下記に記載している作品展は、小池知事会見を踏まえ、5月に延期します
Noteの記載は昨年の5月で止まってしまっているが、
その後も月二回の美術教室(学芸大学前:ビジョンズパレット)に通って準備を進めていた。

時間が経つのは早く、今週末に作品展を開催する。
三十路祭り1987-1988を一緒に開催したメンバーを誘って、グループ展とした。

作品展:変わるもの・変わらないもの
場所:SPACE K 代官山
https://space-k.info/
日時:
3/28 15:00-20:00
3/29 11:00-19:00

結局、この1年間アート作品を製作して何が変わったのか?
結論からいうと、ビジネススキル・コンサルスキルが飛躍的に向上したと思っている。

せっかくなので、まとめておきたい。伸びたのは以下の力だ。

1.観察力
2.分析力
3.表現力
4.伝達力

1.観察力
最も力がついたのは、この観察力。
一昨年、アートプロジェクトスクール(APS)での最初の授業で中村政人プロデューサー(東京藝術大学教授)が言っていた言葉が今でも覚えている。
「アーティストと一般人の大きな違いは何か?それは観察力。アーティストは観察を通して、他の人は気づかないことを気づく力を持っている。」
この言葉を聞いたときは、なるほど!とは思ったけど、実感はしていなかったと思う。実感したのは、APSのワークショップでのドローイング。
水が入った白いお皿やペットボトルなどをデッサンする授業があった。自分で絵を描くは、中学生以来だった。

正直めちゃへたくそやった。けど、めちゃ衝撃やった。目の前の現象をキャンバスに表現するには、「きちんと観る」必要があると実感したからだ。
例えば、影の描写を1つとっても単純ではない。光の角度、影の濃淡、平面からの反射など、普段意識しないところに目を向ける必要があった。
この普段意識しないところに、目を向けるという頭の使い方や思考がとても役に立った。

仕事にあてはめると、普段意識しないところに課題意識を持つというところに応用された。プロジェクトの現象を「きちんと観る」ということが意識付き、
絵を描くという行為をした以降では、事前に課題を検知するスキルが劇的に伸びた。手のデッサンでは単純には見えない骨格などを計算しながら描写するように、
表面化していないが、プロジェクトの骨格をみながら状況を把握するということができるようになったことが大きい。

そらに仕事でいうと、何をしたいかわからないというので足踏みをしている状況も打破できるようになった。
これは名画を徹底的に模写した経験からきている。名画を模写するとき、色の作り方や構図などを徹底的に観察して、それをコピーする。
その過程で、自分だったら、、、であったり、あーこういう考えがあったのか、、、という新しい道が開ける感覚を感じる。
この経験から、他人の仕事ややり方を以前よりも、積極的に真似するようになった。
結果的に、何をしたいかわからないときは、まず良い見本を調べて、徹底的に真似するという習慣が身につき、現状打破できるようになった。

2.分析力
観察したのち、キャンバスに描写する前には、まず頭の中で要素を分析している。ロジカルシンキングを補完するような頭の使い方をしていると感じている。
光の位置、角度、彩色のグラデーションや質感など、描写したい対象を描くために、まず何を決めないといけないのか?という本質を考える。
ロジカルシンキングだと構造化をすることを優先的に考えるが、アートの時は構造化する手前で、色々な概念をフラットに考えることができる。
これは、構造化の正しさを疑う訓練にもなるし、これまでと違った新しい切り口を浮かぶといったアイデアの幅が広がったように感じる。

3.表現力
分析した要素をどのように、キャンバスで表現するか?決められたフォーマットはない。
自分でどう描きたいのか?それがとても大切だ。

仕事をしていると、求められたもののみにフォーカスをあてがち。求められないと何も生み出せない体になってしまう。
なので、自分がどうしたいのか?そういう想いを育むことができるようになった。

では、想いを持つにはどうするのか?それは、意味づけと言語化だと思う。
作品制作をする中で、常に「上手く描けない」という現実と葛藤していた。上手く描けないのであれば、その背景やコンセプトで勝負しないといけないと思っていた。
作品で伝えたいことはとても抽象的だ。その抽象的な概念を作品を創る過程で、コンセプトとして意味づけと言語化をする。

これが習慣化すると、全ての仕事は作品となりうる。どうプロジェクトをすすめるのか?プロジェクトとして何を成し遂げるのかも、作品制作のように意味づけや言語化することになった。
そもそも仕事も作品も英語でいうと「Work」なので、仕事を作業やタスクにしないということは、モチベーションとしても非常に重要だった。

4.伝達力
表現した作品は、何かを伝えなきゃいけない。伝えた結果、人の価値観を変えなくちゃいけない。
生死、自然、平等、エロス、権利など、伝えたい価値観は、本当に多種多様。

限られた人たちと仕事をしていると、価値観は似通ってきて、息をするようにコミュニケーションすることができる。
けれど、これからの仕事は、業界・領域を超えて、新しいことを生み出していかないといけない。
そのときにこれまで常識だったことは通用しない。コミュニケーションもこれまでのように円滑にはいかない。

そのときに、伝えたいことを伝える力、巻き込み力は必要となるのだ。
それこそ、みんなが単純作業をするのではなく、ひとつのアート作品を製作するような、多様性を内包したチームワークが必要となるのだ。

伝える力は、相手の感情に寄り添うとより力を発揮する。
単にコンサルに囲まれて仕事をしているのではなく、アートプロジェクトスクールで、それこそ道行く人に話を聞いたり、
バックグランドの違う人と議論した経験は、とても活きている。一方的な視点でものごとを見ているときのバイアスを自覚できるようになったからだ。
伝える力とその力を増大させるバイアスを自覚する力により、大きいプロジェクトでPMとして任されるまでなった。

■今後
今回のプロジェクトの意味は何か?もちろん、明日からアーティストとして独立しますという話ではない。
自分の中では、自身のキャリアのイノベーションのジレンマを回避するための新しい取り組みにすぎない。

どのようにスケールするか?マネタイズするか?はまだまだ先であり、
今回作品展をすることによって、周りはどういう反応があるか?次に繋がりそうな種は何か?ということを把握することを重点的に考えている。
例えば、チームビルディングの文脈でアート製作のワークショップをやるかもしれないし、まだまだ絵のスキルを磨くことが必要と感じるかもしれない。

まずは、1年がかりゆっくりとやってきたこのプロジェクトはきっちりと完遂させたい。

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