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YokohamArtLifeヨコハマートライフ(YAL)の挑戦

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YOKOHAMA AIR ACT 猫の小林さんとあそぼう!プロジェクト 飯川雄大《デコレータークラブーピンクの猫の小林さんー》:阪中隆文撮影(2019年度)


身近で気軽な芸術文化を目指して

YokohamArtLifeヨコハマートライフ(以下YAL)は、2019年度〜2020年度にかけて実施された、わたしたち横浜市芸術文化振興財団と横浜市文化観光局が行った公募事業の名称です。


もともとは横浜市からの「ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックの盛り上がりにつながる形で、横浜市から世界に芸術文化を発信する」というお題からスタートしたのですが、わたしたちは、「世界に行く前にまずは横浜に住む人たちが熱をもって芸術活動に参加していることが大切なのではないか、そのために身近で気軽な芸術文化であることが必要なのではないか」という問いを立て直しました。


芸術を「評価」するというチャレンジ

YALで最も特徴的なのは、「評価」に対する考え方と取り組み方です。

「評価」というと、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。学校の成績表?テスト?たしかに、私たちはどうしても減点方式で物事を見られるという印象を持ってしまいます。

ですから「芸術活動を評価する」と書くと「芸術を評価できるのか?」「芸術は評価するものではない」という声が聞こえてきそうです。でも、YALが取り組んだ「評価」は、そういういわゆる評価とは違います。

YALでいう「評価」とは「事業改善のためのコミュニケーションツール」なのです。


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鶴見区 テアトル図書館へようこそ!(鶴見図書館)参加者によるアンケート回答の様子:おおたこうじ撮影(2020年度)


YALは、日本の文化行政の制度では珍しい「アウトカムベース(活動の成果を先行して可視化し、そのセオリーにあわせて活動の組み立てを促す手法)」の手法を取り入れて成果可視先行型の公募として実施しました。

その活動がもたらす成果を、活動に先行して想定し、可視化して事業を組み立てていくためには、「評価軸」が必要になってきます。それも、文化行政のこれまでのような評価軸ではなく、行政側(=制度)と活動団体側(=現場)で、同じ評価軸を持たなくてはいけないと考えました。

なぜなら、両者が同じ評価軸を持つことは、制度と現場をつなぐコミュニケーションツールとなり、それぞれの事業の改善に役立つのではないかと考えたからです。

そして、この評価軸をもとに、互いが同じ方向を向いたうえで対話を重ねることで、市民にとって芸術が「もっと身近に」「もっと気軽に」なっていき、芸術にとっては新しい表現や、質の高い作品が生み出されることにつながるのではないか、という仮説を立てて実施しました。


評価軸を二つにする

では、どのような評価軸を立てるのか。わたしたちは、二つの評価軸(指標)を設計することにしました。それは、全活動を通して、制度自体の共通言語となる「共通指標」と、各活動ごとの言語となる「個別指標」です。


共通指標は、各活動団体とYAL事務局が議論を重ねて形にしていき、個別指標は、それぞれの団体が自らの知りたいことを団体ごとに形にしていきました。

評価軸(指標)を形にしていく中で、事務局と活動団体の考え方の違いが見明らかになったり、目指す方向性の重なりが見えてきたりと、多くの知見をもたらしました。評価軸を決める過程での対話によって、考え方のや方法論の広がりがあったこと、とても大切だったと思っています。

2020報告書 表紙

この2年間の新たな仕組みへの挑戦と成果は「横浜市芸術創造特別支援事業リーディング・プログラム YokohamArtLife ヨコハマートライフ報告書」にまとめられています。

この報告書では、この新たな仕組みへの挑戦の成果はどうであったのか、「解いたこと」ではなく「問うたこと」を軸に、データと当事者の声を交えて検証しています。


ここでは、2年間の報告書のpdf版と、2020年度の報告書の補完版、そして、各活動団体の個別指標の報告書を掲載しました。

評価について、各活動団体との座談会はこちらの記事でも紹介しています。

YALが目指すゴールに向けてどのような歩みがあったのか、そして、各参加団体が自分たち自身の活動をどのように振り返っているのかは、以下の報告書に取りまとめていますので、ご覧いただければさいわいです。

▶すべての取り組みの報告書は、こちらから(ACYウェブサイト)



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