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入院前後の覚書(2)

救急車を呼ぶ3日ほど前から、首の激痛はベッドから起き上がれないほどになっていた。トイレに行くために激痛を耐えて起き上がり何度も歩かなければならないのが嫌になりアマゾンで屎尿瓶を注文し一度だけ試したが、すぐに救急車を呼んだのであまり使わなかった。

退院したら夜中に活躍するだろう。

ともあれ、運び込まれ症状を訴えると、大阪弁のとても当たりの柔らかい偉そうではない内科の医師が、「ワクチンの影響あるかもしれんな」と言った。

病気を治したり命を救ったりができるわけではない医師なのに、看護師や介護士よりも高い給料をもらい、偉そうにしていることに対して今まであまり良い印象がないので、こんなふうにアッサリと答えるとは、内心驚いた。

どんな分野でも色々な人がいるのは承知しているが、こういう人には敬意を示しやすい。

さらに、「3日前の夜中中続いた頭と首の激痛の時に、救急車かな?と考えたけど、メディアなどでコロナの関係で、家にいるようにと言われてなかなか救急車は来ない、と聞いてたのでなんとか我慢しようと思った」

というと、「そんな忖度せんとすぐに呼んでな」

と言われた。そうなんだ、私の考えすぎだったのか、人の意見とかメディアに惑わされてるなあ、とつくづく気を付けなけばならないと思った。

まず病気の可能性を潰していくということで、運び込まれてすぐにCTスキャンを撮った。整形外科の医師の診断は、頚椎第一関節が少し正常ではなく、私の申告したリウマチは関節を溶かすこともあるが、まだそれまでには至っていない、とのことだった。

翌日、造影剤を入れてCTスキャンとMRI を撮るとのこと。もう一つ万一の髄膜炎の可能性を考えて背骨のところに針を刺し髄膜を取るとのことで、稀に髄膜が漏れて後遺症が残ることがあるが、という事前の確認をされた。

マレーシアに住んでいた時の友人が髄膜炎だったと思うが脳にウイルスが入って意識不明になり全身麻痺になり、脳の障害が残ったということもあり、髄膜炎検査を承諾した。

手術室なのか?広い場所で看護師に押さえつけられ丸めた背中に医師が針を突き刺した。何度も何度も試みたが、ついに医師がストップした。

医師の側から止めるならそれはそれでしょうがない。老化現象か?医師の腕が悪いのか?ともあれ、髄液は取れなかった。

私はホッとした。私の方からこの検査をやめると言って万一髄膜炎だったら治療が遅れ、そのまま死ねれば良いが中途半端に命が助かると、脳障害を起こして死ぬまで介護が必要になるから。

私はそれは望まない。そういう人生もありそれを選んだ人たちを批判することはしないが、自分は嫌だ。だから変に助けずに中途半端な医療を施さずに自然に死なせて欲しい。

(まだ元気だからそんなことを言えるんだ、という意見があるかもしれないが、それはない。

私は夫を亡くしていてそれも熱帯熱マラリアであっという間に亡くなったが、脳をやられてそのまま死んでいったのは本当に良かったと思うから。

脳障害を起こした夫を回復の希望もなく経済的な余力もない中、機械を身体中につけて生かすのはさらに不幸を強いられることになる。それは断固として拒否する。

と、当時を思い出して熱くなってしまったが、そんな選択を迫られることもなく。夫は都心の大きな病院の集中治療室に運び込まれ、死んだ)。

現実の話に戻ると、髄膜炎だったとすると、その後に痛み止め座薬を打っても打っても、あるいは痛み止め点滴を打っても、激痛や高熱が下がらずにそのうちウイルスが脳幹を通って脳に侵入して脳障害を起こし勿論意識不明となる。

その後意識を回復したとしても全身麻痺や脳障害を起こして完全看護介護の必要な状態になる、ということになる、

私の場合は、それはなく一本めの座薬で熱も激痛も一時的に収まった。

つづく


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