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大手寡占状態の日用品業界でトップシェアを獲得したI-neの巧みな戦略

こんにちは!今日は美容カテゴリーで大手メーカーの競合ブランドをおさえて勢いを見せる、I-neを取り上げます。


大阪に本社をもつ、2020年にマザーズに上場した企業です。ヘアケア/ボディーソープブランドのボタニストや美容家電のサロニア、最近では夜間美容に着目したヘアケア製品のYOLUなど大ヒットブランドを複数 を展開しており、昨年末締めの決算資料によると以下の通り。
市場全体がそこまで大きく伸びていない中で、I-ne傘下の主要ブランドは軒並みめちゃくちゃ伸びております。。!

2022年度連結売上高  : 350億, 昨対比+27%, 利益率 9%
Botanist  : 147億, 昨対比+7%
Salonia  : 93億, 昨対比+19%
YOLU  : 70億, 昨対比+848%

シャンプー・リンスカテゴリーの合計販売金額でドラッグストア市場におけるメーカーシェア国内1位を獲得したとのこと (2023年3月単月)。大手老舗メーカーの商品がひしめく業界の中では異例中の異例なのではないでしょうか?
創業者で代表の大西さんのインタビューを参照し成長の背景にあるヒントを以下の通りまとめました。

多様化する消費者へのニーズにこたえられる尖ったブランディング

スキンケアをみると数百円~数万円まで価格帯の幅が広く、嗜好品としての要素もある。一方でヘアケアは高くても5000円程度、ニーズに合う様々な商品展開が考えられる。
ボタニストはサロンクオリティを中価格帯でドラッグストアで購入できる、という新しいコンセプトが大成功した。

美容開拓層に刺さる目新しさと、マスにも広がる馴染みやすさのバランス

開発段階では“シルクシャンプー”、“ビタミンシャンプー”、“ナイトシャンプー”などが候補としてあり、市場調査にかけてランキングを見た時、1位シルキー 2位睡眠美容であった。
しかし一般的に既視感があるものが上に上がってくる故、差別化しずらいという難点が。となるとSNSでも話題になりにくく、広告に大きく投資できる大手には勝てない。そこであえて2番目のキーワードを選び、夜眠っている間に補修するという新しいコンセプトで話題を作りスケールさせた。

目を引くクリエイティブでバズを生む

大手のような資金力はないため、大手の広告代理店には発注できない。大型CMをうてないため、クリエイティブを大事にしている。300人の社員のうち70人がデザイン関係の職種
以下がキーポイント
1 店頭に行ったときに手に取りたくなるデザインかどうか
2 SNSであげたくなるデザイン
3 パッケージ、SNS、ホームページ、店頭の販促物のデザインが一貫性(尖ったコンセプトでも認知されるように)

Yoluのパッケージデザインはトライ&エラーで即座に調整や修正を加えて洗練させていった。
最初は深夜の夜空のイメージ
→消費者の反応を確認するためのサンプル調査を何度も実施
→暗い、メンズっぽいなどの意見
→夜空にピンクがはいるエモいパッケージに

販路の工夫 ヘアケア商品でもドラッグストアで始めることにこだわらない

元々オンラインマーケティングを強みとしてきたI-NEはBotanistローンチ時、ECからスタートした。これは大きな失敗を避けて、まず小さくテストするため。発注するときは最低ロット。ECでテストし、良い結果がでれば広告投資をしてスケールさせていく。次にLoftやPLAZAなど高価格でも受け入れられるオフラインストアへと広げていった。そしてある程度認知が取れ、リピートが増えてから販路をドラッグストアにも広げた。結果急激に売り上げが伸び、ドラッグストアのシェアが一番。
元々高品質適正価格 (中価格帯 )のブルーオーシャンを狙っていたため、通常のドラッグストアではなく美容開拓層から認知を取れるバラエティストアで販路を獲得した。


以上のようにブランディング/マーケティングの観点でも販路戦略の点でも計算しつくされていますよね。創業者の方はI-NEをさらに筋肉質な組織へ、と言っておられ、これからもアジャイルで戦略的なブランドづくりが期待されます。
新ブランド、新商品も続々と出てきているようなので、これからどれだけマーケットシェアを拡大していくのか注目していきたい企業です。

参考文献
https://www.fashionsnap.com/article/ine-top-2023/
https://agenda-note.com/retail/detail/id=4371&pno=0
https://toyokeizai.net/articles/-/685685
https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/wbs/feature/271796


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