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読書の技術(1)

Art of Studyと謳っておきながら、あまり「技術」に関することを書いてこなかったように思います。そこでということでもないのですが、

「1年で300冊の本を読む」前に

 しばしば一年で300冊の本を読んだ、とか、一ヶ月で20冊の本を読んだという話を見たりすることがあります(読む価値はないと思う)。そのことが本当のことであるかは、正直どうでもいいことだと思います。しかし、普通に考えると、おそらく間違いないのは、もし1年で300冊というのであれば、1日ちょっとで読めてしまうような本ばかり一年も読み続けている、ということになります。

 この際、どれくらいお金がかかったか、ということはさておいて(1年で300冊ならゆうに30万円は超えるはずです)、実際問題、1日で1冊本を読む、ということだけ考えれば、そのことは実はさほど難しいことではないと言えます。もう少し正確にいうと、1時間もかけず読み切ってしまえるような書物というのは、確かに存在し、そういう本ばかり読めばいいのです。簡単ですよね。

 とはいえ、1週間で6冊というペースで読まないと一年で300冊は読めないし、本を自由に読む時間は、当然24時間あるわけではないです。そして、本を読むだけの職というのは存在していないはずですし、食事を取ったり、お風呂に入ったり、人間とはさまざまなことをしているはずなので、活動時間全てを読書に使えるはずもありません。

 そう考えると、どんなに頑張っても、普通の人が読書に使える時間というのは24時間中、せいぜい2、3時間でしょう。2、3時間で読める本。周りを見わたして、2、3時間で、ちゃんと読める本はどれくらいあるでしょうか。中身がスカスカな新書や小説ならできるかもしれないですけど、本当に読んで価値のある本であるならば、普通の人なら無理ではないかと思われます。

別の考え方をするのも可能でしょう。どんな難しい、レンガのような本であっても、とにかく1日2時間という与えられた時間内で、その本と格闘したのを「読んだ」ということにする。これはこれで読書の一つのあり方だと思います。

でもこれは、かなり技術のいる作業だと思います。まず、目次をチェックして、全体に目を通します。その上で、著者の最も重要な部分、そして、読者ににとって最も重要な部分を判別し、読み込むという作業が必要になります。

これをしっかりとやるには、かなりの訓練が必要だと思います。

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