障がい者が語る、就職活動に役に立つかもしれない気を付けたい点


はじめに

別の記事では、私が就労移行支援事業所で訓練し変化した過程を記したが、こちらの記事では就職活動において私が気を付けていたというか意識していたというか、とにかく大事だと思ったことを記していく。なお参考文献は、Daigo著『面接官の心を操れ! 無敵の就職心理戦略』である。
就労移行にこの本が置いてあったのが、私の就職活動の結果に直結したと言っても過言ではない。正直著者には胡散臭いイメージを抱いていたが、読んでみると納得の内容だったので忙しい就活生はこの本を読むだけでもだいぶ結果が変わってくると思う。情報を知っているか知っていないかで、差が大きく開いてしまうのが世の中の常というものだ。

本文

面接官は応募者の能力を正確に測れない

目線の動きや挙動不審さなどでウソがばれるという通説があるが、実際は人が嘘を見抜ける確率は半分くらいらしい。なので、面接では自分の実力を多少良く見せようとする嘘を言っても問題ないということになる。
では、面接官が嘘かどうかをどうやって判断するかというと、回答するまでの間が長いと、内容を今考えているのかと思われて嘘だと思われやすくなる。そのため、面接ではテンポよく話すことを心掛けたい。これだけで、面接官に頭の回転が速い人だと思わせることができるそうだ。

面接官とは必ず目を合わせるべし

人は本能的に、相手と目が合うかどうかで相手の頭の良さを判断することが分かっている。そして今年(2024年)の5月に、オンライン面接ではカメラを見ながら話した学生が高く評価されやすいという広島大学の研究結果も発表された。よって、対面の面接では面接官の目を、WEB面接ではカメラを見て話すと評価が高くなるということ。最近はWEB面接も増えているため、その際はカメラを見るようにしよう。画面に映った相手の表情を確認して反応をみることも大事だが、それでは相手からは下を向いているように見えてしまう。
しかし、目ばかりを見ることにこだわりすぎてにらんでいるように見えてしまったり、特性上目を合わせるのが苦手という人もいらっしゃると思うので、相手の額を観たりカメラの上方を見るなど、無理のない範囲で工夫してみてほしい。

自分のことについて喋る練習をする

喋りのスキルは一朝一夕には身に付かない。言い換えると、面接のときだけうまく話せるようになるなんてことはありえない。よって、普段から自分のことについて話す練習をたくさんしておくことが大事になる。独り言でよいので、自分の得意なことや性格について喋る練習をしておくのが良いと思われる。それを普段から続けていると、いざ面接の場で困ったときに練習していたフレーズが自然と出てくるので、未来の自分を助ける意味でもこれは有効だと考えられる。

志望動機は「どうしてもその会社じゃなきゃダメな理由」

志望動機がどうしても思い浮かばなかったり、同業他社に応募する都合で、どの会社にでも当てはまるような志望動機を使いまわしたりしていないだろうか。しかし、それは面接官に見抜かれてしまう可能性がある。
使いまわすのは自分の強みまでにしておくこと。必ず自分が企業のどんなところに共感したのか、自分の強みがどう活かせるのかまで具体的に記載するようにしよう。これをすることで、面接官はあなたのパーソナリティを明確にイメージすることができるようになる。

企業研究はギリギリまでやる

先ほど述べた志望動機を書くためにも、ぜひ企業研究には力を入れてほしいと思っているが、ぎりぎりと言っても面接の直前までやる必要はない。ただ、企業の重要な最新情報が面接の前日に出る可能性もなくはない。また、企業研究を長く続けていると意外な発見があったりして、それが志望動機につながる可能性もある。最新情報を確認していることやそれに絡めた志望動機を言うことができれば、面接官からの印象も上がること間違いなし。

面接で質問された際は必ず自己PRまで繋げる

面接の場を質問に回答するだけのQ&Aの場だと思っていないだろうか。もし思っていたらその考えは今すぐに改めてほしい。ただ質問に回答するだけでは、ほかの志望者と差がつかない。そのため、自分の性格や趣味を聞かれた際も、その性格が仕事をするうえでどう生かされるのか、趣味でストレスへの対処をしていることなどをアピールできると良いと考えられる。
ただ、そう都合よく自分からアピールできないよ、質問が飛んでこないよという場合もあると思われる。その際に有効なのがDaigo氏が著書で紹介している「質問からの承諾先取り」という方法である。方法は、いわゆる「逆質問」と言われている応募者が面接官に質問できるタイミングで、この先どんなスキルが求められるのか、どんなパーソナリティの人が会社に多いかを尋ねる。その回答を聞いたうえで、それには私も自信がありますと言ってしまおう。具体的なエピソードを加えられるとより説得力が増す。仮に、そこで出た面接官の回答に関して、自分が自信を持てなければ根本的に企業との相性が悪い可能性もある。それを確認できる意味でも、この質問はしてしまってよいと考えられる。

自分が働いている姿を面接官にイメージしてもらえるような回答を心掛けよう

面接官は、志望者に対するあらゆる質問を通じて応募者が実際に働いている姿をイメージする。その想像をもとに、応募者と一緒に働きたいか、応募者が働く中で成長する可能性があるかを判断する。そのため、その想像をしやすくなるようなエピソードを用いてアピールすると良い印象を与えやすくなる。例えば実話に基づいた自己PRや、ポジティブな経験談を聞かれた際に、すぐ答えられるような準備をしておくと良いかもしれない。

障害特性と自己対処を完璧に言えるようにしておく(障がいのある方の場合)

これはオープン就労(職場に障害を開示して働く障がい者雇用)の場合、企業が最も重視するポイントの一つになる。障害を自分で受け入れられているか、自分でできる対策が身についているか、企業に求める合理的配慮は何かに関しては、かなり具体的に質問される。本人の障害について、家族がどう考えているのかを聞かれる場合もある。以上のことから面接官は、応募者の主体性や自律性、協調性の有無を総合的に判断します。
そのため、オープン就労では自身の障害特性と自己対処、企業に求める合理的配慮は何も見なくても言えるようにしておきたいところ。クローズ(一般就労)の場合でも、ストレスの発散方法を身につけているかは聞かれる。なぜなら、ストレスに対する対処が身についていないと、働く中で心身に不調をきたす恐れがあると判断されてしまう。また、話題の性質上どうしても話がネガティブな方向に行きやすいが、回答する際はできるだけポジティブに締めくくり、マイナスな印象を持たれないようにしよう。

男性は赤いネクタイを、女性は顔が左右対称になるメイクを

男性のネクタイに関しては、赤が心理学的に人の記憶に最も残る色だと言われているためである。赤色は他の色に比べて印象を残しやすいので他の志望者の中に埋もれにくくなるそうだ。そのため、特にこだわりがなければネクタイは赤色にしよう。赤ワインのような濃い赤にすると上品さも演出できておススメ。
女性のメイクに関しては、一般的に整った顔立ちだと好印象を抱かれやすくなるが、その「整った顔立ち」というのは左右対称の顔のことを指す。人間の顔は基本的に左右が非対称になっているので、そのバランスを整えるだけでも印象が上がる。普段から気を付けられているとは思いますが、今後はその点をより一層意識してみてほしい。

全ての面接は最後に内定する面接の糧となる

面接でした失敗や、個人で行う面接練習などで判明した改善点は、できるだけ回収して次回以降の面接に反映させよう。緊張してしまって何を聞かれたかまで覚えておくことは難しいかもしれないが、自分がどんな失敗をしたかは何となく思い出せるはず。何であんなことしたんだろう、こんなことしなきゃよかったという後悔は面接ではつきものだが、後悔できるということはそれを覚えているからできるということ。せっかくなので、次回以降に活かしてあげよう。おすすめは記録をつけておくこと。面接前に見返したりすると、自分がどれだけ努力したかが一目瞭然ですぐにわかるので、自分の緊張を和らげるお守り代わりにも使える。

おまけ

運動が嫌いなのに始めた動機

といっても最近(執筆時点は7月30日)とても暑いのでサボっている。しかし面接を受けている時期は間違いなく一日30分を2回、計60分は散歩していた。その理由は、面接で運動していることを伝えると、体調管理ができていると思われやすいことを知ったためである。運動している習慣があると言うだけで、日ごろから規則正しい生活リズムを整えて、健康に気を配っているのだなと思わせることができる。それを知ったのと同時に、Daigo氏の著書を読んでいて「運動している人の方がしていない人より自信がありそうに見える」ということを知った。これは様々な観点から理由を説明できると思われるが、毎日適度に運動することでセロトニンが分泌され、気分的に前向きになれるということが大きいと考えられる。なので抑うつなどの気分障害の症状がある方がもしいらっしゃれば、すぐにはそんな気になれないこととは思うが、毎日30分くらい日光に当たりながら散歩することをお勧めする。しかし夏は暑いので、熱中症に気を付けて無理のない範囲で行っていただきたい。
私はいま述べた「面接でのアピール」と「自信がありそうに見える」という観点から、運動していると嘘をつくより実際にやってしまった方が早いのでは、という結論に至り運動というか散歩を始めた。この点でも私は変わったなと思う。

本を読もう

本を読むことは、他の誰かを巻き込む必要がなく自分一人で行える最もラクで効率のいい情報収集の手段である。なぜ楽で効率が良いかというと、本を書く側は儲けなければならないし出版する以上その責任が伴うので、ある程度信憑性がある情報を取り扱う。そのため、本を読めば自分で試行錯誤するより手っ取り早くその分野の最前線の情報が手に入るといえる。特に就職活動関係の本は読んでおくことをお勧めする。
気を付けるべき点は、書かれている情報の古さだ。10年たっていると変わっていることもあるため、読む本の出版年は必ずチェックしよう。

納得感ある就活のために

応募の都合で、それほど志望度が高くない企業にも応募することがあるかもしれない。そういう時はどうしても志望動機が思い浮かびにくかったりするが、それでも自分が入社する可能性のある企業なので、選考が進むにつれてで良いので企業研究をしよう。そうすると案外魅力的に感じたり、企業の担当者とやり取りする中で入社の意欲がわいてくるということがある。最初から志望度の高かった企業に書類が通って面接に受かればそれが理想だが、どうしてもほかの志望度が高くない企業にも応募する場合が多いと思われる。そういう企業に受かった場合でも、企業研究をたくさんしておけばある程度納得して入社することができる。その意味でも、企業研究をすることは大切だと考えられる。

オープン雇用の書類通過率は10%前後(私の場合)

危機感を煽るようなタイトルで恐縮だが、この話をしておきたい。これは私の場合だが、最終的に転職エージェント経由で33社応募して4社書類選考を通過したので、書類選考通過率を計算すると約12.1%となる。このことから、自分にとって第一志望の企業でも、面接がそもそも受けられないという場合もある。私も複数社に応募するのが面倒くさいと言ってしまっては身もふたもないが、手間だったので転職エージェントを利用した。多数の企業に応募して書類選考を通過しやすくする手段として転職エージェントを使うのはありだと思う。しかし、彼らは企業が採用活動する手間を省く代わりに企業から報酬を得ているので、その性質上内定者を出さなければならず、質の低い求人にも平気でお勧めですと言いながら応募するように言ってくるので、そこは流されすぎないようにしてほしい。

おわりに

この文を読んだ誰かの、就職活動の役に立てれば理想だが、本来この文を執筆した目的は未来の自分のためである。
だからDaigo氏はもしこの文を見つけても、どうか著作権違反とか言わないで大目に見てほしいです。決して営利目的ではないです。すみませんでした。

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