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芸術文化創造活動の担い手のためのキャパシティビルディング講座2023 活動報告書・課題解決/価値創造戦略レポート集とダイジェスト動画を公開しました!

noteレポートの連載と【対話型ゼミ】受講生12人が取り組んだそれぞれの課題解決/価値創造戦略レポートを編纂した報告書が完成しました!ファシリテーター/アドバイザーの小川智紀さん、若林朋子さんによる寄稿と、受講生による受講後メッセージも新たに盛り込んだ充実の一冊になりました。

2023年度 活動報告書・課題解決/価値創造戦略レポート集
修了生一覧はこちらのページからもご覧いただけます)


また、2023年度の講座の様子と受講生への受講後インタビューをまとめたダイジェスト動画も公開しました!ぜひ、ご覧ください。


下記は、報告書の巻頭テキストを一部編集したものです。2023年度を総覧した内容ですので、本書の手引きになれば幸いです。

2024年度は6月受講生募集、7月開講予定です。芸術文化の創造の様々な担い手と新たに共に学ぶ場を共有することを楽しみにしています!


アーツカウンシル東京では2012(平成24)年の設立当初より、芸術文化創造の多様な担い手の育成や職能の開発を目的に、人材育成事業「アーツアカデミー」を実施してきました。本書はそのうち、2018(平成30)年度から実施している「芸術創造活動の担い手のためのキャパシティビルディング講座」の2023(令和5)年度の取組について紹介するものです。6年目を迎えた本講座は、様々な芸術文化領域で一定のキャリアを積んだ受講生を対象に、社会と芸術文化の関係性を深く考察しながら、彼等の活動基盤や推進力、自走力強化のために必要な思考力や実践力を多面的に磨く学びの場として、次代の芸術文化を支える多様な担い手の支援に取り組んでいます。

これまでは公募選考による16名前後の受講生を対象とした対話型ゼミ形式の連続講座を軸に、ファシリテーター/アドバイザーによる面談や各受講生の活動に根差した課題解決/価値創造戦略レポートの作成・発表というプログラムを構成してきました。非公開式の対話型ゼミにより各人の課題の深堀や受講生同士の学び合いが醸成され、受講生自らが設定した課題・目標に対する実践や、受講生同士あるいは講師等との協働、ネットワーキングの促進といった広がりにもつながっています。

2023年度は東京都とアーツカウンシル東京が開設した東京芸術文化相談サポートセンター「アートノト」の講座事業として開講することとなり、連続講座6回のうち、3回を初めて公開型でオンライン開催しました。評価論の第一人者である源由理子さんには「活動の意義を伝える評価軸を磨く」というテーマで、「実践者との対話」の講座回では東京・吉祥寺で15年以上独自にアートセンターOngoingを運営している小川希さんを招き弁舌をふるっていただきました。「芸術文化と社会」と題した講座最終回は青柳正規アーツカウンシル東京機構長が担当しました。対話型ゼミ受講生12名に加え、対話型ゼミ受講生を除いたのべ130名前後のオンライン参加者へも本講座の受講機会を提供したことは、今後の人材育成事業の潜在的な支援対象を開拓する上で意味がある取組となったと考えています。

一方で、対話型ゼミが相対的に減ったため、対話型ゼミ受講生に対する学びの質の維持は運営面の新たな課題となりました。各受講生の問題意識や関心に寄り添いながら、彼等に必要な視座や道筋をつかみ取るためにどのようなサポートができるか。運営チーム一丸で模索を続ける日々でした。

そんな今年度の受講生は20代から40代まで、オーケストラ事務局職員、性的マイノリティの視点や経験をふまえた映画・映像作品のインディペンデント・キュレーター、民謡の活性に取り組む任意団体の代表、自治体や国の外郭の文化組織職員、人形劇のアーティスト、編集者/コンサルタント等々、多種多様なバックグラウンドや経験値、職能を持った顔ぶれが集結しました。本講座自体の運営課題がある中でも、12名の受講生はその積極的な受講態度はもちろん、講座のない期間も意欲的に互いの活動に足を運んだり、ゲスト講師の小川希さんのOngoingを集って訪問したり、受講生仲間の活動のクラウドファンディングを応援したりと、能動的に交流する姿に運営チーム自体が感服する程でした。課題解決/価値創造戦略レポートでは、各受講生が最も自分に響いた講座の学びを自らの実践につなげたエピソードや今後の活動に具体的に活用したいといった所信表明が生き生きと示されています。受講前の問題意識に捉われずに学びを柔軟に吸収し、真摯かつ創造的に思考を変化させ、前進していく。このような行動する姿勢は本事業が期待する次代の芸術文化の担い手の姿と重なります。彼等の実践の積み重ねが芸術文化と社会の奥行や豊かさの一端を形成していくことを願っています。

本書を多くの方々と共有し、今後の芸術文化創造やそれを支える様々な担い手の育成や支援について共に考える参考となれば幸いです。

あらためまして、本事業の実施にご尽力くださった多くの関係者の皆さまに心よりお礼を申し上げます。



東京芸術文化相談サポートセンター「アートノト」
アーティスト等の持続的な活動をサポートし、新たな活動につなげていくため、2023年10月に総合オープンしました。オンラインを中心に、弁護士や税理士といった外部の専門家等と連携しながら、相談窓口、情報提供、スクールの3つの機能によりアーティストや芸術文化の担い手を総合的にサポートします(アートノトは東京都とアーツカウンシル東京の共催事業です)。