9/30~10/4 米国市場マーケットサマリー、来週の相場展望、米大統領選や議会改選の行方 #3
10月1周目 強い雇用統計の指標からドル円の上昇と金利の上昇、最初はこの指標に難色を示していた株式市場も景気後退の懸念が後退したと判断するや買いに転じました。
各指数の9/30~10/4のパフォーマンスは・・・
・DJI:+0.12%、SP500:+0.31%、NASDAQ総合:+0.03%、NASDAQ100:+0.11%、Russell2000:-0.09%と今週前半のマイナス分を多く取り戻した形になりました。
8月,9月の第一週は景気後退懸念が強く、月の前半は軟調な動きでしたが今月は様相が変わりました。
4日に発表された9月の強い雇用者数、失業率の低下、港湾労働者によるストの終結、中東情勢緊迫化による原油価格の急上昇と市場は先ずドル高で反応し、国債が大きく売られ債券利回りが急上昇しました。
利下げ観測は後退しますがFEDがソフトランディングを達成する可能性が高まったと安心し、株式市場にも安心感から買いが広がりました。
この強い雇用指標が出た事もあり、11月のFOMC時に利下げ織り込みは50bpではなく25bpの利下げがConsensusとして認識される様になったと思います。
さて、今回の雇用統計はこの後の相場の方向性を占う上でかなり重要な位置づけであった事は間違いありません。
何故かと言うとこの後市場に不確実性をもたらすものは大統領選と上院の入れ替え、下院の総選挙だからです。大統領選及び上院、下院の改選については後程検証していこうと思います。
※マーケットの見通しに関しては筆者の知識と経験を基に独自の見解を述べているものですので、あくまで参考意見としてお読みいただけますようお願いいたします。
10/7~10/11の主な経済指標とイベント
10/7(月):ワシントンDCにてNvidiaのAIサミットが行われます。Nvidiaは、サイバーセキュリティ、エッジコンピューティング、産業のデジタル化、ヘルスケア、量子コンピューティング、通信におけるAIの役割に焦点を当てたセッションを開催予定です。
10/8(火)ペプシコ(PEP)の24’3Q決算発表、早くも3Qの決算シーズンが始まります。セルシウス(CELH)の株式は、大規模なポートフォリオに含まれる他の変更点と共に、投資家にとって興味深い可能性があります。
ゼネラルモーターズ(GM)のインベスターデイが開催予定
10/10(木):消費者物価指数、コアCPI、FOMC議事要旨と重要な経済指標の発表があります。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が「Advancing AI 2024」イベントを開催し、次世代のAMD Instinctアクセラレータと第5世代のAMD EPYCサーバープロセッサを披露します。この会社はAIソリューションのエコシステムを紹介し、ネットワーキングとAI PCの最新情報についても話し合うと発表しています。
テスラ(TSLA)は、待望のロボタクシーイベントを開催予定です。この発表は、ウェイモ(GOOG)、ウーバー・テクノロジーズ(UBER)、オーロラ・イノベーション(AUR)、アマゾン(AMZN)のZoox、バイドゥ(BIDU)のアポロ、GM(GM)のクルーズなど、大規模なロボタクシーや自動運転車プロジェクトを展開する他社にも影響を及ぼす可能性があります。
10/11(金):生産者物価指数、コアPPIと重要な経済指標の発表があります。またミシガン大学の消費者調査レポートが発表される予定です。
10日、11日の経済指標はもちろん重要なのですが10日に予定されているAMDは期待先行の買いで反応しました。下記はAMDの日足チャートですが4日に出来高を伴った大きな買いが入っております。
テスラ(NASDAQ:TSLA)は、待望のロボットタクシーイベントを1週間後に控え、最高情報責任者を失ったとブルームバーグが報じた。
ナゲッシュ・サルディ氏が、テキサスとニューヨークにあるテスラ(TSLA)のデータセンター開発を監督し、イーロン・マスクCEOに直接報告していたが、退社することになったようです。
サルディ氏は2012年にテスラにエンジニアリング担当副社長として入社し、2018年にはCIOに昇格しました。彼の役割は、テスラが人工知能と自動運転の研究開発を強化するにつれて拡大していった。
AIと自動運転への再編の一環として、サルディ氏を含む9人の幹部が年初からテスラを離れており、その中にはスーパーチャージング担当シニアディレクターのレベッカ・ティヌッチ氏、車両プログラム・新製品導入担当ディレクターのダニエル・ホー氏、上級副社長のダン・バグリーノ氏が含まれる。
サルディ氏の退任は、テスラが不振な販売データと株価の過去3日間での10%の下落をカバーするために大きな勝利を必要としている時期に発生した。グーグル(GOOG)のウェイモがロボットタクシーでの進歩により主導権を握る中、テスラはEV市場での低迷を克服し、株価の下落を食い止めるために、投資家に新たな収益源を提示する必要があります。
この報道に対して株価はそこまで悲観的な反応はしておりません
東海岸の港を閉鎖していたストライキは開始から3日で解消
先週もう一つ頭を悩ませていたニュースがこれです。
10月1日、45,000人の港湾労働者を代表する国際港湾労働組合(ILA)は、港湾使用者を代表するU.S. Maritime Alliance(USMX)との6年間の契約が月曜日の夜に満了し、1977年以降初めてストライキを開始した。
ILAとUSMXの交渉は、賃金の引き上げ、報酬、および港湾の自動化からの保護を求める組合の要求を巡って、これまで難航していた。
ILAは、クルーズ船と軍用貨物をストライキの対象外とし、旅行者のスケジュールや国家安全保障に混乱をもたらさないよう、これらの貨物の取り扱いを継続する方針である。
メイン州からテキサス州にかけてのアメリカの港はストライキの影響を受けています。これらの港は、アメリカの輸入全体の約半分を処理し、アメリカへの輸入およびアメリカ企業からの輸出にとって重要な地点です。
東海岸とメキシコ湾岸の港は、自動車や自動車部品、医薬品、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、木材、プラスチックなど、輸出される製品や商品の大部分を扱っています。
J.P.モルガンの分析では、東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者のストライキにより、運営が停止し、1日に38億ドルから45億ドルの経済的損失が発生すると推定されています。
10/4 ロイター通信によると、東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者は6年間で約62%の賃上げを含む暫定合意に達し、3日間のストライキを終了したと報じられています。
新しい契約により、平均時給は従来の39ドルから63ドルに上がります。
(平均時給$63ってすごいですよね!? 約9300円 ( ゚Д゚))
国際港湾労働者協会(ILA)は当初77%の賃上げを要求していましたが、使用者側の米国海事同盟(USMX)は50%近い賃上げを提案していました。ILAは、ストライキを終了し、特に組合が求める自動化の禁止に関する未解決の問題についての交渉を続けるため、基本労働契約を来年の1月15日まで延長することで合意しました。
この早期和解によりストライキは終了し物流が停滞する事によるインフレ懸念は解消されたと思われますので、このニュースも投資家心理を安心させる材料になったもようです。
10/1(火)に行われた副大統領候補による討論会
副大統領候補2人による直接討論会が10/1(火)ニューヨークにて行われました。
結果はVanceさんの方が優勢だったと論じるメディアが多かった様ですがお互いに罵る様なことはせず、敬意をもって臨んでいる姿が目に映りました。
ウォルズ氏は国外の混乱した状況は、確固たるリーダーシップの必要性を示しているとし、トランプ氏がイラン核合意から離脱したことで中東が不安定になった(とウォルズ氏は主張した)ように、トランプ氏の「気まぐれな」統治では対応できないと述べた。
一方、バンス氏は現政権を批判し、混乱を招くという評判にもかかわらず「ドナルド・トランプは実際に世界に安定をもたらした。有効な抑止力を確立することでそれを実現した」と述べた。
両候補とも気候変動に対する解決策の必要性では意見が一致したようだった。だがウォルズ氏が、地球温暖化を「でっち上げ」だとするトランプ氏の発言を攻撃したのに対し、バンス氏は、米国のエネルギー生産を増やし中国との貿易を減らせば、よりクリーンな世界を作り出せると主張した。
夜が更けるとよくあるパターンだが、バンス氏はこの問題に対する相手の診断結果に同意した上で、民主党現政権に矛先を向ける(彼はそれを「カマラ・ハリス政権」と呼んだ)ことにした。現政権はこの問題を解決できなかったが、トランプ氏の政策なら解決できると主張した。
両候補は原則的に合意できる多くの分野を見つけた。
米国の製造業を復活させる必要性や、銃暴力の解決策を超党派でまとめる必要性、住宅建設を増やす重要性、保育費用の負担が大きすぎることなどだ。
争点の中絶問題でも、バンス氏は共和党が有権者の信頼を失っていることを認め、両氏ともに女性が選択肢を持つべきだと述べた。
ただウォルズ氏は、州ごとに異なる政策を定めるべきとのバンス氏の主張には異を唱えた。
「自分の人生や権利が、しかも自分自身の体をコントロールする基本的な権利が、地理的条件で決まるなどと国家としてなぜ言えるのか」
トランプ氏に関するバンス氏の説明には信じがたいものもあった。
バンス氏はトランプ氏が「オバマケアを救済した」と主張しようとしたが、実際には大統領時代に医療保険制度改革法(通称オバマケア)の廃止を目指して失敗している。
関税政策が保育料の高騰を軽減するというトランプ氏の最近の発言を明瞭化する試みも、同氏の当初の要領を得ない答え以上の説得力はなかった。
「彼は超党派で統治を進め、結果を出す仕事をやってのけた。単に文句を言うだけでなく、実際に問題を解決した」とバンス氏は述べた。
ウォルズ氏が最も勢いを強めた瞬間は、討論会の終盤近くに「大統領やその他の誰かが公正な選挙と平和的な権力移譲を覆そうとした米国史上初の出来事」だとして2021年1月6日の暴動を取り上げた時だ。
バンス氏は民主党が2016年の選挙でトランプ氏に大統領の座を渡した際、ロシアの共謀だと非難したのになぞらえようとしたが、ウォルズ氏は2020年の選挙にトランプ氏は負けたのかどうか答えを迫った。
「ティム、私は未来に集中している」とバンス氏は言った。
「答えになっていない」とウォルズ氏は答えた。
だが全体として、バンス氏は口が達者で有能なメッセンジャーであることを証明した。
また、「トランプ流」がいかに優れているかを楽々と主張しているように見えたことは、トランプ氏と違って、気まぐれという短所を持たない候補者なら相当うまくやれる可能性を浮き彫りにした。
「バンス上院議員に感謝したい」とウォルズ氏は言った。「これは(有権者が)聞きたい会話だと思うし、意見が一致した点も多い」
実際にこの討論会後に支持率が大きく動いたという事実は無い様ですが、相手を直接非難するのではなく一定の敬意をもって討論されておられた姿は7月に見た老人2人のそれとはまるで違う様相でした。
米大統領選現在の情勢とSwingStateの状況
9月の雇用統計を無事に過ごした米国市場の次の注目は大統領選及び上院の改選選挙です。ここで現時点での各州どちらが取るかConsensusとBattle Ground7州での支持率を掲載いたします。
こちらが現在のConsensus予想Mapですがこの通りに運ぶのかは全然分かりません。市場でもトランプさんが勝つかハリスさんが勝つか本当に分からない(かなり拮抗している)為織り込めないのも現状だと思います。
今回の大統領選も注目なのはもちろんですが私がそれ以上に注目しているのが、同時に行われる議会上院の改選選挙と下院の改選選挙です。
米大統領には予算の執行権限が無い為、いくら選挙前に公約を掲げても議会承認を得られなければその公約は成し遂げられない訳です。
今回の上院はおよそ33議席(補欠選挙が行われる可能性がある為およそと記載します)が改選される予定で、その内無所属を含む23議席が現在民主党側の議席、10議席が共和党側の議席となんと改選されない上院の議席は民主党27議席、共和党39議席と既に12議席も共和党が上回っているのです。
この時点で共和党側が上院の過半数を占める可能性が非常に高く、仮にハリスさんが大統領に就任したとしても最初の2年は上院を恐らく共和党が過半数占める為、ハリスさんの法案が通らない可能性が高くなります。
反対にトランプさんが当選した場合のケースを考えると前記の様に最初の2年は上院は共和党が占める可能性が高いですが、下院が恐らく民主党に取られる予想がConsensusの為減税法案が通らない可能性が出てきます。
これが以前から私が言っている投資家が懸念するのは大統領がどちらかと言うより、オールブルーやオールレッド(大統領、上院、下院をどちらか片方の政党が占めてしまう事)になる事だという事なのです。
来週以降候補者同士の直接討論会などは予定されていない為、大きく支持率が動くかは不明ですが株式市場に与える影響としては大統領がどちらかという点はさほど大きくないと予想しますので選挙戦を楽しんで観戦したいと思います。
まとめ
さてここまで来週のイベント並びに大統領選に関して述べてまいりましたので、まとめに入りたいと思います。
先ず市場センチメントですが利下げ幅に関する先行織り込み度合いが後退したのは事実だと思います。
しかし重要度として現時点では利下げ幅よりも景気後退観測の方がはるかに上であり、ソフトランディングにより近づく施策を期待しているはずです。
雇用統計指標が出た際、株式市場は無反応に近かったのが後に上昇に転じた理由も、景気減速懸念が後退した方を好感した証だと思います。
Fear and Greed IndexもExtreme Greed目前の数値ですし、来週からの3Q決算がコケなければ株式市場は利下げによる資金調達コスト等その他様々な恩恵を受ける銘柄によってガイダンスの引き上げ等が起こりやすくなるのではと予想いたします。
私自身米国株式相場に対して強気で臨む覚悟でおりますし、小型株にも大いに期待をしております。
残りの懸念事項としては中東情勢かと思われますが、この点で非常に大きい問題が原油価格です。
インフレも助長してしまう為無視はできません。
この原油価格問題は日本にとってはかなり大きな問題なのですが実は米国は現在原油備蓄量がかなり豊富の為、多少の事では大きな影響を受けません。(しばらく備蓄量がマイナスでしたが現在は大きくプラスに転じております。引き続き来週もチェックしていくつもりです。)
と、このように現在の米国を取り巻く情勢はかなり霧が晴れてきた状態だと思われる為、来週から始まる3Q決算内容に主軸を移して良いのではと思います。先ずは来週の金融機関の決算に始まり再来週のASMLやTSMCの決算、そして10/23のTesla、10/24のGoogle、Microsoft、10/25のAmazonと流れて行きたいと思います。
上記企業の決算分析記事は執筆しようと思っておりますので、ご興味あられる方はご一読いただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。引き続き来週もよろしくお願いいたします。
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