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生命の源泉

〜大地を食べる〜【7】

春の食卓事情

 野草を食べるというと奇異な行為のように扱われたりすることがありますね。でも、スーパーに並んでいる野菜は元を辿ればほとんど外来植物なのですから、在来植物である野草を食べるのは特に奇異なことではないような気がします。もっとも食べられる野草の中にも帰化植物があったりします。
 春は野山の植物を山菜と言って珍重します。でも、どこからどこまでが山菜かというと曖昧なのではないでしょうか。もともと山菜でありながら畑で作っている場合もあります。

 雪融けの頃、まず気になるのはフキノトウです。土から顔を出すとまもなく葉を開いて花を咲かせてしまうので、まだ蕾のうちに摘んで天ぷらにすると中で熱が程よく行き渡って熱々のとろりとしたフキノトウの天ぷらを楽しめます。ほんのり苦くて甘く口いっぱいに春の香りが広がります。

 フキノトウはやがて大きくなってトウ立ちするのですが、先端の柔らかい部分を摘んで食べる場合もあるようです。丸いフキの葉っぱが広がって茎が太くなってきたら固くなる前に採取します。醤油と油で炒めて食べるとこれもまた美味しいです。葉っぱも食べられると聞いたので試してみたことがありますが、歯ごたえがあって噛みごたえがあるものの美味しくいただけました。灰汁抜きが必要なので手間はかかるものの蕗は結構長く楽しめるんですね。蕗味噌などにするとまた格別です。

 フキノトウは雄花と雌花があると聞きます。よく似ているのでボクにはよく解らないのです。
 高値で取引されるゼンマイにもオスとメスがあります。オスよりもメスのほうが柔らかくて美味しいのとオスは胞子を飛ばす役割があるので採らずに残しておくようにと父が言っていました。

 ボクは普段天ぷらとかフライものはあまり調理しません。油の処理が面倒なのが原因ですが、山菜シーズンだけは天ぷらを解禁にしています。山菜の天ぷらとざるそば。山菜の天ぷらとビールなんて言うことありません。

 今年はどうかというと、おかしなタイミングで寒の戻りがあって名残雪が降るほどだったせいかフキノトウも体調を崩しているようです。スーパーでは見かけましたが、産直の店の方のお話では、タイミングを逃して出荷し損なった農家の方もあるとか。そういえば1週間ほど前に自転車を走らせて川沿いの土手に下見に出かけました。するとフキノトウの影も形も見当たらなかったのです。畑の片隅に開いているものもあるのにおかしいと思いましたが、ボクが見つけられなくても不思議はなかったのかも知れません。今日、同じ場所でやっと2つだけ見つけました。

 まだ蕾だと思ったのに、写真を撮るために枯れ草を取り除いたらあっさり開いてしまいました。それでも今年初なので摘んで帰ることにしました。

 所用を済ませつつ近所の川沿いの土手にまた立ち寄ります。市街地を流れていても魚もいますし鴨が寛いでいるのを見ることが出来ます。

 土手を整備しているようで雑木林のようになっていた木が伐採されていました。この土手でもフキノトウを見かけたことがありますが、今年はダメかも知れません。

 そしてここでも天ぷらの材料を…わかりますか?

 ヨモギの若芽です。毎年のことなので慣れてしまってサクサク摘みます。ただし、猛毒のトリカブトと間違う場合もあるようなので採取する場合はご注意ください。また食べられる野草はとても美味しいのですが、毒草も存在しますから注意が必要です。

 そして…こんなに出ています。

 写真の手前から奥まで食べ放題です。
 もっとも、小麦粉で量が増えるのでほんのひと握り程度で一皿山盛りになりかねません。それで、端からむしり取るのではなくて間引くように摘みます。根は残すようにして根と茎の間で折り取る感じです。
 ヨモギは大きくなると香りが強すぎて天ぷらとしては食べられなくなります。天ぷらにするにはこれくらいのサイズがベストでしょう。同じようにタネツケバナも天ぷらとして美味しくいただいたことがあります。まだ試していませんがカラスノエンドウも食べられると聞きます。これらは山菜と言うより野草という認識のほうが当てはまりそうです。無論、安心して野草が食べられる環境が大切であることは言うまでもありません。
 無農薬・無肥料で美味しい野草が育つのにヨモギは栽培してはいけないとも言われます。理由は「増えるから」ということのようです。おかしいですね。増えるなら好都合じゃないでしょうか。そしてヨモギ茶の原料は輸入している場合もあるようです。増えすぎて雑草として除草対象にもなるというのに…。

 経済活動と見なされないものは評価されなかったり悪とされることがあるようです。無価値なものとして敢えて評価していないだけなのか、あるいは評価することが都合の悪いことなのではないかと勘ぐってしまいたくなります。
 思い返すと、中学校や高校で教科が選択になって受験に直接関わりのないとされる美術や音楽といった芸術系の教科が軽視されたり削除されたりするのは、もしかして受験よりも経済活動に関わりが少ないからなのでしょうか。

 何はともあれフキノトウやヨモギを皮切りに春の山菜シーズンが幕を開けます。手間がかかって食べるのも楽ではないですが、新鮮なものは新鮮なうちに美味しくいただきたいものです。

 フキノトウとヨモギは、早速天ぷらにしてざるそばをいただきました。


 この時期恒例の話題なので、毎年同じ事を書いているのではないかと少し不安です(笑)

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