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展覧会が始まって思うこと。

光が差し込む会場
蔦が美しい外観


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本日は搬入。
今回の企画してくださった岩手未来機構のスタッフ様、また理事長の大野様(馬頭広重美術館館長)、旧石井県令邸担当の画家・千葉様。設営協力ローザ様のお陰で、無事搬入作業が終わりました。

明日が初日。10:00から会場にいます。そして14:00からはクロステラス盛岡でトークイベントです。照井健アナと、「徳清」サムライハウスで展覧会同時開催の作家・尾崎森平さんと、小説家・南海遊(みなみあそゔ)さんと話します。

会場では、小説の一節が、元アナウンサーの登田さんによって朗読されます。とても素敵な空間になっています。その他、後援の企業、団体、天国のクジラ音楽劇のスタッフ、ソロプチニストさん、繋げてくださった方々。。

このように、いろんな方が協力してくださり、素晴らしい展覧会が生まれました。この誰一人欠けても、完成しなかったかもしれません。宅急便の業者さんもそうです。旧石井県令邸を100年も前から守ってきた方々も。アートの場として18年積み上げてきたチームにも。
ずっと展覧会をしてきた作家さんたちがいて、この建物が愛されてきました。
また、今回の展覧会の画家や小説言家にも家族がいて、友人がいて、師事した方や生徒もいて、今があります。こうやって絵が描けて、発表できることは奇跡です。今年の冬のように骨も折ることもある。

県令邸の美しい蔦やバラや、花々たちも、手入れをする職人さんがいて、毎年やってくる虫がいて、葉が育っては枯れて、そうして景観が続いていきます。

今回は初めて、岩手県立美術館の館長を長年務められて、震災後もアートの復興支援の指導をされた大野館長からキュリエーションをしていっだいたことは、とても光栄で、大変勉強になりました。
ずっと一人で考え、自分のイメージ内で空間演出をしてきたので、ガラッと変わるキュリエーションによって、僕自身が何を描いてきたのか、その深いテーマが浮き彫りになったように感じます。
自分が気づかないところで、グッと顕になった、というか。

特に屋根裏部屋は必見です。三階まで階段で大変ですが、ぜひ。
観に来てくださる方がいてこそ、現実に現れるのが展覧会です。皆様のおかげで、ようやっと円のカタチに繋がり、完成します。
全てにおいて、そうなのでしょうね。だから感謝しても足りません。
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今回、主催の岩手未来機構の打ち出した展覧会のテーマは「ミュート」です。沈黙、静寂、という意味の通り、展覧会の絵画や小説も、沈黙の中で、何かを感じられるようになっています。

沈黙、静寂。

人は、その逆のほうが、人生を謳歌し、楽しいし、生きがいを感じることが当たり前とも言えます。 
沈黙することは不安ではないですか?僕自身もこうやって文字に起こすのは、ある部分不安だからです。感じたものを言語化しないと、消えてしまうかもしれないし、人に伝わらないと思ってるからです。

静寂、耳が痛くなるほどの静寂に、人はどれほど耐えられるでしょうか。静寂を壊すかの如く、どんどん思考が氾濫してきませんか。特に悩み事や、今、考えなくてもいいこと。

テイクナットハン禅師はいいました。「あなたはなぜ沈黙を恐れてるのですか?どれほど、心の声に耳を傾けることが怖いのですが?」と。

そうです。
全ての思考の音が止まり、感情が止まり、沈黙が訪れた時に、本当の心の声が聞こえてくるのです。
最初は、荒々しい声でしょう。捲し立てるような、ジャッジするような。その声は気持ちを駆り立て、前に進ませようとします。
しかし、もっと静まってくると、深いところで求める声が聞こえてきます。

今、現実に何が起きてるのか。

そこに目を向けることができると、自然に感謝の念がわいてくるのです。

先程のことですが。
宿泊したホテルのフロントで毛布を借りました。すると髪の毛が結構ついてました。そこでもう一度変えてもらいましたら、また数本髪の毛がついているんですね。笑。
スタッフは平謝りでしたが、僕は静かに腹が立ってました。なんせ、初めての経験だったんですから。笑。

で、3回代えてもらった毛布を見ながら、少し時間がたって冷静になってきました。
その髪の毛は長かったから、女性かロン毛の男性か。その人の人生を思いました。クリーニングした業者を思いました。慌てるスタッフの人生や家族を思いました。
髪の毛でつながるご縁もあるかもしれません。
まぁ、もうこの毛布は使いませんが笑、冷静に心を沈黙して、静寂な中で、深く考えてみると、ただの現実と、感情的なものとの差がとてもあることに気づきました。

ホテルに泊まれば、当たり前と思っていることは、本当に当たり前でしょうか。(ヨーロッパのホテルなんて、この10倍ひどいものです笑)。国が変われば変わるものほど、不確かなものはありません。

沈黙。
沈黙。

言葉を尽くすことも本業の一つです。絵画教室や、詩や、トークイベントや、取材や、告知も。子育ても、丁寧な言葉遣いが必要です。
そのベースとなるのが、沈黙。
本当の声を聞くために。
本当の心の動きをみるために。

明日からの展覧会。
人生で最も深いミュートな期間を過ごしていきたいです。

2011年から岩手で活動してきて12年目。なぜ僕は岩手に魅かれてきたのか。そして岩手にどれだけ育てられたのか。
この地でもう一度考えたいです。


2022年長友心平

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