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クリエーター(トレーダー)様と遊ぶ企画 わらしべ長者・第八章 “剣”

私は伝説の商人、萬屋金兵衛の子孫で32代目の子孫であると共に天女の子孫でもある。金兵衛と天女の子の子孫との間に生まれた…と言うつまり天女の血筋。それがわかったのはつい最近の事である。

さて地元から大阪→岡山→鳥取…と進んできた私は途方に暮れていた。
行く宛がないのだ。関西に住む人達は次の目的を教えてくれたのだが、粋蒼さんはわからないとの事。
私は比較的近い山口県に入った。鳴門海峡とかが有名だが、ここに来るのは初めてだったりする。

とりあえずここで観光でもするか!とふらふらとするのだが、神社が多い…私は旅行の安全を願い、とある神社に向かった。

“安住の地が見つかり幸せになりますように…”

と。私は境内にある社務所の御神籤を引いた。“中吉”…まあ、悪くはないな、と安堵する。気になる“待人”の欄は…

“光さす場所にて人がいる、会うべし”

とある。光とは当然、これだな、と鬼の涙の事だよな…とギュッと握る…しかし、鬼の涙は光っていない。うーん…。
私は社務所にいる宮司さんに会う事にする。この神社には巫女さんとかいなく、社務所で宮司さん一人がいるだけだ。ま、世間話でもしようかな…って思った。ガラガラガラ…と社務所の戸を開けると奥から宮司さんが出てきた。

『いらっしゃい!えーっとどうかしましたか?』

ニコニコしながら宮司さんが声をかけてきた。私は大した用じゃないんですと話した。

『ははぁ、なるほど…お客さんは観光客の方ですよね?山口は初めてとか?いつもここは通りすぎちゃう方が多くて九州とか一気に進んじゃいますからねぇ。おや?お客さん、その包みはなんです?』

…と、宮司さんは刀が包んである布…の中身に興味があるようだ。本来なら外では刀を見せてはいけないのだが、私は包みから刀を出し、宮司さんに見せた。

『こ、これは…結構な刀ですね!刃こぼれ一つない。お客さん、これはどこで手に入れたんですか?え?これ…“吉備津”って銘なんですか?』

宮司さんは刀を見ながら続けた。

『吉備津は二刀一対の夫婦刀と聞きます。これは雄刀のようですが、実は私…コレと似たような刀を見たことがあるんですよ。ひょっとしたら吉備津の片割れかもしれませんよ。私の知り合いに骨董品を売る古物商の人がいるんですが、値段をつけれないような見事な刀があるんだけど売れなくて…って困っていたらしいんです。ちょっと待っててください…その人と連絡してみますから。』

と、宮司さんはスマホを取り出し電話をしだした。電話の相手も慌てているようで顔は見えないけど雰囲気はわかった。

『多分ですが間違いなさそうですよ!メールが返ってきましたから見ます?』

と、宮司さんは写真を見せた。確かに私が持っている刀と似ているが頭と言われる柄の部分の色が私のと違うのと、長さが若干写真の方が短いような気がする。それ以外は全く同じなのだ。

『やはりでしたか…急いだ方がいいですよ!吉備津は離れ離れになって長い年月を人伝に渡り歩いてきた為、吉備津自身、鈍刀になりつつあります、早く会わせてあげて下さい。その方にも連絡してありますからそれまで厳重に保管しておくそうですよ。場所は…長崎ですが、行けます?』

私は宮司さんの気迫に押され、圧倒されてしまった。宮司さんが新山口駅まで車を出してくれるとのことで私は彼の車に飛び乗った。

長崎には誰が待つのだろう…刀の行方は?

・御神籤→銘刀吉備津の行方

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