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クリエーター(トレーダー)様と遊ぶ企画 わらしべ長者・第十一章 “石狩の地から…”

私は家のない所謂ホームレスである人の助言で旅をしている女だ。

あれだけ嫌だったホームレス生活も段々と慣れてきて、環境に順応してきている自分が怖い…と思ったりする。
さて私は、北の玄関…札幌を後にし、行く宛もないまま、北海道を転々と彷徨って、今では石狩の地にいる。やはり石狩川や近くの大雪山の景色は絶景で日常のストレスを癒してくれるようで落ち着く感じだ。
旭川市と言う都市はそんな石狩川と大雪山に隣接する都市で私は今、旭川市に滞在している。パッとしない都市ではあるが結構観光に力を入れていて賑やかで沢山の人とすれ違う…私は人の流れに沿って動物園に行く事にした、やはり旭川市といったら動物園だ。ここなら人は結構いるし、何かしらの情報はあるはずだ…と考えたからだ。

可愛らしい動物達の姿や仕草に無邪気さを感じ私は日頃の殺伐とした気分が一気晴れた気分だった。
特に収穫がなかったけど癒しをもらったのだが、結局情報はなかったので旅を続けようと出口を出た途端、鬼の涙が強烈な光を放ちだした。

『…貴女のネックレス、眩しい…』

と、近くにいた女の子が言った。私はササッと隠した。

『そのネックレス、何か細工がしてあるの?なんか凄いね…初めて見たよ。もっとよく見せてよー!』

私は抵抗した。周りにはいつの間にか人集りができており、私は逃げるように女の子の手を引き、その場を離れた。鬼の涙が光ってる…つまりは次のトレーダーは間違いなく彼女だ。ただ彼女、“くらし”と名乗る女の子は鬼の涙の事を知らないらしく単に変わった首飾りくらいにか認識されてないようだった。私はゴトっと月光石を取り出した。口止め料としてあげようと思ったのだ。

『え?何?私にくれるの?つまりこれでネックレスの事は言うな…って事ですよね?これ…“月光石”っていうの?変わった石だね。黄金色の石?綺麗ですよね。うーん…私、お金ないし、こんな高価な石貰えないです。じゃあ…これをあげるから石と交換!って事で黙っててあげます。』

と、くらしさんは熊のぬいぐるみを差し出した。

くらし様、有難う御座います!

『これ、私のお気に入りのクマちゃん。なんて事はない、普通のぬいぐるみです。園内のお店でも売ってたものです…私ってドジでよく考えたらうちにもあったのを忘れててまた買っちゃったから…』

アハハ…なるほど。ぬいぐるみに…しかもお土産の…月光石を換金したら多分熊のぬいぐるみがいくつ買えるか、ひょっとしたら園内の在庫を全部買い占められるかも。と後悔したが、トレードだからしょうがない。

高くついたな、口止め料…

くらし様、イラスト提供、感謝します。有難う御座いました!

・月光石(オリハルコン)→くらし様に譲渡。残り二つ
・熊のぬいぐるみ→くらし様からの返礼。

・未完成の竹の掛け軸

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