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美しさとは

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美しさの定義って、難しい。その時代に生きた人の価値観とともに、変わるのかもしれない。いや、まったく変わらないものなのかもしれない。美しさってなんだろう。自分に問いかけて、考えたこ…
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ルネサンスの寵児、フィリッポ。 空間の美しさ。Part.3

天才と呼ばれる人に共通しているのは、ゼロから1を作り出せる人ではないか。彼らの作品を通して、つくづくと感じます。 吹き抜けのドゥオーモクーポラの八角系の台座、実は、中心が合わないんです。 と丸投げされてしまい、後世の人々は困った。どう建てていいのやら、どこから手を出したらいいのや、とんとわからず。 1296年から建て始め、1380年にはクーポラ以外はほぼ完成。 途中で、黒ペストが蔓延する非常事態があったのにも関わらず、100年もかけずに、ここまで建てるなんて、フィレン

ルネサンスの寵児、フィリッポ。 空間の美しさ。最終回。Part.5

前回からの続きです。 フィリッポは、前代未聞のクーポラを建築するために、作業員が安全に仕事ができるように、さまざまな新しい試みを具現化していきます。 前回紹介したのは、こちら。 堅固な足場を作る クレーンを作る クーポラ専用帆船バダローネ フィリッポの革新的アイデア - 24. 石積み技術 レンガを水平に積み続けると、重みが下に向いて、重量で丸屋根が崩れちゃいます。そこで、考えられたのが、矢筈やヘリンボーンと呼ばれる積み方。これがそれ。 この積み方をもってすれば

音の美しさ

目で見て、手で触れて感じることのできる石。 角が丸くなり、表面の光沢が失われ、ところどころに溝や小さな穴があり、いままで、生きてきた証を、見せてくれる、風化した石。 まったく同じように、長い時間をかけて、いままで生きてきたのに、風化という言葉が当てはまらない、音。 わたしはキリスト教徒ではないけど、たまたま訪れた教会で、ミサが開かれていると、そのまま滞在することがあります。 ミサのときどきに、賛美歌が歌われ、何世紀も前に作曲されたものが、いま、この瞬間に、歌われるって