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【開催記録】 第55回 アート対話カフェ 2024/1/27(土)

今回のテーマ

今回のワークショップは「アート作品を分析的に観察し論理的に考える」というテーマで開催されました。

VTSは、ファシリテーターからの主に2つの問いかけに参加者が答えるという問答から始まります。
この問答とそれに続く対話と議論を通じて、アート作品を、注意深く分析的に観察し、論理的に考え、それを説明するというプロセスが生まれます。
そして、この方法によってアート作品の理解が深まり、「分かった!」という感動を体験することができます。


1枚目の絵

1枚目はこちらの絵を見て頂きました。
作者名や作品名などは、事前に参加者に明かしていません。

フジモトマサル  
村上春樹/著 「村上さんのところ」挿絵

参加者から出た意見

  •  動物と人が同じ大きさで描かれている。
    対等な立場を表している世界を示しているのでは?

  • アリクイが正座をしている。
    家族と来て、子供ばPCを触っている?

  • 動物達は、人の内面を表しているのではないか。

  • ショーか何かをやった後、集まって休んでいる。
    動物ではなく、着ぐるみを着た人間かもしれない。

  • 奥の動物は、バクに見える。
    バクの目線が羊のたちの方に向いている気もする。
    何か邪悪のように感じるし、こっそり観察しているのではないか。

  • 動物と人間の距離感が、実世界での距離感を表しているのではないか。

  • いろんな人や動物と、もっと交わるべきと言っているのでは。
    描かれている人や動物の目線から、疎外感の様なものも感じる。

  • 男性が主人公。周りの人に楽しませてもらっている場面?

  • 4人でピクニックしている。通りがかりの誰かが声をかけている場面ではないか。その結果、こちらに目線が来ている。

  • 明るい楽しいピクニックのシーン。後ろのバクも含め、好きなことをやっている。この楽しさを描くために構図など、綺麗に描かれている気がした。

  • 古いレコードが描かれている。作者も、一昔前の人が描いたのではないか。

  • 目線がこちらに向いている。CMの撮影?森の大切さを伝えている?自然との共存を表すコマーシャルを作っている場面。木や緑が大切に描かれている。

  • 男の人が恋人を欲しがっているのでは。
    2つのりんごに目線がいっている。男性の理想を描いているのでは?

  • 西洋絵画で描かれているもののパロディーなのではないか。
    猫が娼婦の様にも見えてくる。

  • 男性の心象風景。理想像や現実を動物に置き換えて表している。
    奥の白い背景?が何を描いているのかが不思議。

  • 視線の先にいるのは、男性自身。自分で自分を見返している。

  • 夢に誘う羊。夢を食うバク。
    視線が奥に引き込まれていく様にも見える。

  • バスケットの中にコップが4つ。家族で来ている。家族の中の距離感を表している。主人公の男性と距離があるバクは、反抗期の子供なのではないか。



2枚目の絵

2枚目の絵は、ルネ・マグリット の『白紙委任状』 という作品です。こちらも絵に描かれていることから、それぞれ意見を展開して発言していただきました。

ルネ・マグリット 『白紙委任状』(1965年)


まず参加者の皆さんに、絵に描かれている要素について確認してから、次に何が起きているか述べて頂きました。

参加者から出た意見

  • トリックアートになっている。(前後関係がおかしい。)
    馬と女の人が亡霊なのでは。森で見た亡霊を描いている。

  • 女神の様な存在。絵の中の世界の秩序を守っている。
    周りの木や葉を見て、春と秋が同時に存在していると思った。時間と空間がごちゃ混ぜになっているが、この女性がコントロールしているのでは。

  • 馬が切れている部分がある。
    絵を見る人は、そこが見えなくていても、想像を膨らませることができる。
    そんなことを伝えているのではないか。

  • 実際に馬が動いている表現の仕方としてトリックアートで表現したのでは。

  • パラレルワールドを表している。
    女性は一人だが、知らない間に複数の世界を行き来している場面を表現しているのではないか。

  • 木々の前後関係がおかしい。
    なぜこんな表現をしたのかが疑問。

  • この馬と女性は、この後事故に遭うのでは。
    一番右の木が黒い。左の木が白い。馬は右に進行しているので、そう感じた。

  • 右肩を隠している木。スリッドみたいな部分。
    この2ヶ所だけが、おかしなことになっている。
    その2ヶ所以外はおかしくない。
    作者が意図的に見る人を困惑させている様にも感じる。

  • おかしな2ヶ所を普通にかけば問題ない。
    なぜ、こう描いたか。絵に動きを持たせるために、このように書いたのではないか。

  • トリックアート自体が、自分の見ているものを疑え、というメッセージを発しているのではないか。

  • 未来が進むと、こういった空間時間の歪みが起きる、というメッセージを発している絵ではないか。


最後に

VTSはアート作品を見るだけでなく、参加者の思考力やコミュニケーション力の向上に貢献する素晴らしい教育手法です。

またのご参加お待ちしております!

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