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【開催記録】 第53回 アート対話カフェ 2023/12/16(土)

今回のアート対話カフェでは、前半と後半で2つの作品をご覧頂きました。


【前半】

前半では皆さんに、ヒエロニムス・ボスの『大食と快楽の寓意』を見て頂き、それぞれ考えたことを発言して頂きました。

ヒエロニムス・ボス  『大食と快楽の寓意』(1490–1500年頃)

参加者から出た意見 

  • 一言で言えばカオスな絵。
    樽のところの女性や、下半身裸で皿に何か乗っていてグロテスク。かなり混沌としている。戦争?とも思ったが男女が話をしているようなところもあり、焦りはみえない。

  • 感じたのは左側の部分が印象に残り、お酒を飲んで騒いだあと?と思った。騒いだ後、こっちにいるのかなとそういうのを感じました。

  • 人間の欲「食」?食べるものを象徴しているような気がする。
    水の中で手を伸ばしていて、表情が非常に独特で秘め事を話しているようで全体が人間の欲を現わしているように思いました。

  • 私も酒池肉林、いろんな欲の塊、池の中に樽が浮かんでいて、たぶん酒だと思うがそれを受けて飲もうとしているのか…
    真ん中で泳いでいる人の頭に肉?があったり、右のテントの中で背徳というか本来あってはよくないタブーをこの中で、それを破っているようなところもあります。木の服が散乱して…これ警察とかそういった人のものようにも思えそれが脱ぎ捨てられていて…池、肉、・・・規律がないがしろにされている感じ。

  • ぱっと見、色がすごく綺麗だなと思った。カーテンのパステル調、芝生の何とも言えない中間色、手前のオレンジっぽい色だったり。
    タッチも柔らかく全体的に優しい印象を受けた。皆さんの「欲」という言葉を聴いて再度みると生々しさを緩和するような形で描いているのかなと感じた。

  • 最初見た時は、自分の中から全然出てこなかったが雑多な感じ、位しかなかったが意見を聴いて抑圧を解放したような感じに見えてきた。
    お腹がでた樽の上の人が解放の旗振りのような感じを受けた。警官みたいな人が普段ガマンしていることをここでは解放しちゃえ、といったそういう感じなのかと

  • このお腹の出た男の人こういう感じの人って時々見るような感じがして、樽の上に乗っている男性を女性たちが押して運んでいる…上下関係のある力を持つものと持たざる者を現わしている?

  • 私の思い込みかもしれないが身体全体が柔らか気なところと髪の毛がこの辺まであるのと、指先も細いので。上の人は明らかに男性。

  • 最初に目についたのは一番下の服の所。人が倒れ込んでいるっぽいなと。帽子と服と靴の位置が上から順番に倒れ込んで脱ぎ捨てたような。皆さんの「欲」は思いつかなかったが「欲に支配された人の最終的な姿」のように思えてきた。

  • 逆に皆さんにききたいが、絵の右の隅、屋根から出ている棒みたいなものとタンバリンみたいなもの…この3点と一番上にある。

  • 警官じゃないかと言われていたことを元に今言われたリーフみたいな棒のようなものとお腹に刺さっているものと左下の木のあたりのものは3つとも当時の警察を象徴するものでは?と思いました。

  • 一番下、右下の…帽子にしては重そうなのだが、帽子に輪っかがついているか? あと、ベルトの傍にある茶色い穴みたいなコレは何ですか?これが何か職業がわかるものなのかな?と。

  • 左側にくるっとなっているのはベルトの一部かも? テントの端の方にぶら下がっているもの勲章のようなものだったりテントの真ん中についているクリーム色の物も制服についているような腕章のような…もしかしたら家柄を示す紋章なのかなとも思った。

  • 禁欲者層の腐敗という風に見える。警官なり聖職者だとすると、自分たちの服も脱ぎ散らかして水辺で遊んでいる。本来街中で職務を行わないといけないのに水辺で遊んでいるからそう思った。

  • 樽の上の人の服装、西洋か東洋かでは西洋だと思ったが。とんがり帽子…個人的には罪人とかそんな感じのイメージがある。
    背徳とかあんまり印象が良くなくて個人的な直感ですが;皆さんの意見を聴いてみたいなと。

  • 警察とかそういうちゃんとしたものっていうのがあったと思うが、それで言うと欲をさらけ出そうと見えてちょっと隠そうとしているのが面白い。
    下にあるのが短剣だとしたらチョットだけ隠してあったり、上の右のテント?周りの装飾が武器をクロスさせているような飾りに見えて黄色のものも盾のようで警察や武力的なものをきれいにみせつつ~チョット裾がぐちゃぐちゃとされて隠そうとされている感じに見えました。



【後半】

後半では、ヒューゴ・シンベリ『傷ついた天使』の作品を使い、参加者同士で対話を行って頂きます。こちらも作者名やタイトルは明かさずに始めていきます。

ヒューゴ・シンベリ『傷ついた天使』(1903年)


参加者から出た意見 

  • この三人は兄弟姉妹なのかなと思った。みんな悲しそうで真ん中の女の子が天使の服装をしていてお花を持っていて、まるでどこかの生贄にささげられそうな。

  • 三人とも生まれも育ちも違う子どもで靴や服装から靴の汚れとかから。前(左)の子の方が育ちがいい(靴も綺麗)。この三人は劇か何かをしていて女の子の怪我が原因で医者に見せに行くところで三人とも凹んでいるのかなと。

  • 真ん中の女の子が病気か何かで亡くなった後なのかよくわかりませんが、どこか向こうの世界に連れていく風に見えた。川か何か‥男の子二人が女の子をお連れする感じ。

  • 右の男の子がジッとにらんでいるというか悲しい目つきで見ているが戦争をしている所の子どもがこういう表情するなと思った。大人の社会に対して不満や思うところがあるのかなと、女の子が犠牲者なのかなと思った。血がついているのか汚れている?ので生きてはいるんだろうなと思う。

  • アンバランスな絵だと思った。みんな子どもだというのも印象的。女の子だけきれいで繊細。色彩も白で表わされている、あの世とか生贄とかそういったメッセージ性を感じる。

  • さわやさんと私も似てて…この真ん中のたぶん天使の子がどこからか迷い込んできたのかなと。周りの色味、左右の男の子の色味との違いからも感じた。
    なんとなく男の子の表情からこちらを憎しんでいるような。左の男の子の納得いっていない感じの表情からも、これからどこか良くないところに行くところのように思う。
    女の子も怪我をしていて裾を引きずっていて大切に扱われず異端な人というのを現わしているのかなと。

  • 大人かな?と思う。子どもが納得いかない相手先は大人かなと思うので。自分たちは仲良くしているけど大人からみると異端なものだから粗末に扱っても良いとされて。

  • リアルに描かれているのでリアルかと思ったが関連的なものをリアルに描いていると感じる。キューピットかなと思った。愛とか自愛の象徴。そういったものの喪失、ないがしろにされている世界を描いている。目隠しされているのかと思ったが殴られて捕まえられたような感じ。子どもたちがやったかどうかわからないがそういう状況に置かれていて納得いかない、悲しいし、やりきれない表情がある。キューピットも逃げられるし力もあるが男の子たちを考えて捕まえられたままでいる。そういう状況なのかなと。

  • 皆さんの話を聴いてこの天使=愛の象徴という気がしてきて。前の男の子が真っ黒で真ん中の女の子が真白。喪服と死に装束~後ろの男の子が「この状況どうですか?」と鑑賞者に訴えかけているように思えた。

  • この子達はよほど辛いことがあったんだと思う。子どもってどんなに大変なことがあっても一つ夢や希望を持っているんだなと思うと辛くなった。

  • 荒廃している風景の中で女の子が花を握りしめていてその後ろにも幾つか花があって、希望のない世界でも希望とか幸せとかあるのでそれをしっかり掴んで!といったメッセージ性としてもとれるのかなと。作者からのメッセージとしても見えてきた。

  • 三人の顔に違いがあるのかなと思って。真ん中の女の子と両サイドの二人に温度差を感じる。男の子は不安げ等を感じるが女の子はそこまで不安は感じていないようにみえる。しょうがないと受け入れているようにみえた。

  • 右側の子の口角の下がり方などから後ろめたさ、後ろの男の子はやるせなさのあるような感覚の目をしていると思う。

  • 並行した棒?真ん中の子ども(天使)と助けあいをしようとしている構図なのかなという気がする。平行な棒で運んでいるように見えるからお互いに連帯して助け合おうとしているように思う。

  • 愛の象徴が気になっているが、助け合いもそうだなと。三人が同じ棒を握っていて。厳しい状況を受け入れながら三人で生きているのではないか。

  • 画面右の方に小川というか側溝なのかわからないが奥の大きい川が海に繋がっているような気がしないでもないが。
    小さい川も大海に、という希望的な部分も実際には見えていないが繋がっているんでしょうという、そういったものを想像させる。
    寂しい中にも希望が。


今回のアート対話カフェも参加者の様々な視点から意見交換を行なって頂きました。ご興味ある方、ぜひ一度ご参加ください!
次回もお楽しみに。

お申し込みはこちらから。

https://www.kokuchpro.com/group/adcf/