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文章とは「切り口」である/なぜAIに書かせたブログがしっくりこないのか

はい。最近AIの話だらけですね。そろそろアートの話もしないとなと思っている日頃です。でも今日もまたAIの話です。
さて、皆さんは文章を書く際にAIを使ってますか?
最近自分は7~8割ぐらいをAIに委ねています。当然自分で書いている部分もありますが、AI化でどんどん楽になっています。

AIを使えば効率的に文章を生成できるため、今後多くの人がAIでブログを書いていくでしょう。
しかしながらいざ実際書いた人は、AIでブログを書くのは難しいと感じているのではないでしょうか?
例えばAIが生成する文章が「自分らしい」と感じられない、あるいは「本当に言いたいことが伝わらない」という問題に直面することが少なくないでしょう。今回はその理由と私のやり方についてまとめたものになります。

今回のテーマは「AIを使って記事が書けない理由は、そもそも自分が言いたいことを自覚していないから」です。

※もちろんこのnoteも6~8割AIで書いています。それでも1時間ぐらいはかかりますが。

AIでブログを書くと何が起きるか

AIでブログを書くと、一見スムーズに文章が生成されるように見えます。でも、実際にできあがった文章を読んでみると、何か物足りなさを感じませんか?
おそらく、実際やってみると多くの人が下記のような問題に直面するでしょう。

1.一般的で無個性な文章
AIが生成する文章は、どこか既視感があって、あなたの個性が失われているように感じるかもしれません。
2.目的の不明確さ
「結局何が言いたいの?」って感じで、文章全体の方向性がぼやけてしまうことがあります。長文になればなるほど、この傾向が強くなります。
3.情報の散漫さ
あれもこれもと情報を盛り込みすぎて、焦点が定まらなくなることも。AIは与えられたテーマに関連する情報を幅広く取り込もうとするため、時として情報過多になります。

これはまるでAIが勝手に暴走して、あなたの意図とは違う方向に走り出してしまったような感覚ですね。

このように、AIが生成する文章と私たちが本当に伝えたいことの間には、往々にしてギャップが生じるものなのですが、私はこのギャップを埋めるのが「切り口を意識すること」ではないかと思っています。
AIは情報を提供してくれますが、その情報をどう解釈し、どんな視点で読者に提示するかは、いまだ私たち人間の仕事ではないかと。

そもそもあなたらしい文章とは何か

一旦立ち止まって考えてみましょう。
そもそも「自分らしい文章」って、一体何でしょうか?

それは単に文体や言い回しだけではなく、おそらくあなたの経験、価値観、そして独自の視点が凝縮されたものです。
例えば、「ウェブデザイン」というテーマでも、あなたならではの切り取り方や感じ方があるはずです。それこそが「自分らしさ」の本質です。

具体的に考えてみましょう。「ウェブデザイン」というテーマで書く場合:

・ユーザビリティの観点から理想的なナビゲーション設計を紹介する
・限られた時間でも効果的なA/Bテストを行う方法を提案する
・世界各国のウェブデザイントレンドを比較する
・自分が初めてウェブサイトをデザインした時の思い出について語る

これらはどれも「ウェブデザイン」というテーマに沿っていますが、アプローチが全く異なります。そして、どのアプローチを選ぶかは、あなたの興味関心や経験、伝えたいメッセージによって決めます。
ここでの選択こそが「あなたらしさ」です。

私の場合、「ウェブデザイン」というテーマで書くなら、例えば「どのようにブランド戦略をUIレベルまで一気通貫しながら反映するか」という切り口を選びます。これは以前企業リブランディングプロジェクトに携わった際に、経営陣が描くブランドビジョンと実際のユーザーインターフェースのデザインの間に大きなギャップがあり、ブランドの本質を反映させることの難しさと重要性を感じたことがあるからです。

つまり、「あなたらしいブログ」とは、あなたの経験や価値観、そして伝えたいメッセージが明確に表れているものではないかと思います。
AIはあなたの代わりに「あなたらしさ」を生み出すことはできないのは、その「切り口」を持っていないからです。
でも、あなたが選んだ切り口に基づいて、効果的に表現する手助けはできるはずです。

自分が何を言いたいか自覚しているのか

さて、文章を書く際に、「自分自身には本当に何を伝えたいのか?」「なぜこのテーマについて書きたいと思ったのか?」「どんな切り口で読者に伝えたいのか?」をきちんとAIに伝えられれば自分らしさが出るというのが私の主張ですが、じゃぁそれをAIに伝えてくださいと言っても結構難しいのではないでしょうか?

(極めて個人的な見解によると)文章を書く際に、自分が何をメッセージにしたいか理解している人は少なく、曖昧なまま始める人が多い気がします。

書きながらメッセージを模索する?

おそらく多くの人がやっているのは「なんかこれの周りの文章書きたいんだよな〜…」と思いながら、とりあえず書き始め、書きながら自分の考えを整理し、言いたいことを明確にしていくプロセスがありましたよね。「書きながら考える」というやり方です。
もちろん私も書きながら整理されることはいくらでもありますが、最初にこれを伝えようと決めて書き始めることが多いです。今回のこの記事で言うなら、「AIを使って記事が書けない理由は、そもそも自分が言いたいことを自覚していないから」という切り口を思いついたから私はこのnoteを書き始めました。

例えば、「UXリサーチの効果的な方法」というテーマでブログを書く場合を想像してみてください。従来の方法なら、こんな感じでしょうか:

1.まず「企業のブランディングとUI」というタイトルを書く
2.書き始めて、自分の大規模企業でのリブランディングプロジェクトの経験を思い出す
3.「そういえば、最初はブランドガイドラインをそのままUIに適用しようとして失敗したんだった」と気づく
4.その経験から「ブランド要素のUIへの翻訳プロセス」について書き始める
5.書いているうちに「ブランドとUIの一貫性は、見た目だけでなく、インタラクションやユーザージャーニー全体で実現すべきだ」と新たな気づきを得る
6.最終的に「ブランド戦略とUIデザインは、組織横断的なコラボレーションによって実現される」という結論に至る

このように、書く過程で自分の考えが整理され、最初に想定していた内容とは少し異なる、しかしより深みのある記事が完成するのです。
そして、このプロセスの中で、自然と「切り口」が形成されていくんです。最初は漠然としていた「企業のブランディングとUI」というテーマが、「ブランド戦略とUIデザインは、組織横断的なコラボレーションによって実現される」という具体的な切り口に変化しています。

でも、AIを使うとそのプロセスが省略されがちです。その結果、自分の考えが整理されないまま、AIが生成した文章をそのまま使ってしまうことになるんです。つまり、「切り口」が曖昧なまま、一般的な情報の羅列で終わってしまう危険性があるのです。

切り口こそが大事:AIとの共創のカギ

私が思う(AIを使うかに関わらず)文章を書く際に最も重要なのは「切り口」です。切り口とは、テーマに対するあなた独自の視点や、伝えたいメッセージの核心部分のことです。文章だけでなく、プレゼンなどでも非常に重要です。

では、改めて切り口は何を担保しているのでしょうか?

1.独自性の確保:
同じテーマでも、切り口が違えば全く異なる記事になります。これがあなたの記事を他と差別化する要因となります。
2.焦点の明確化:
明確な切り口があることで、記事全体の方向性が定まり、読者に伝えたいメッセージがクリアになります。
3.読者との共感:
あなたならではの切り口は、往々にしてあなたの経験や価値観に基づいています。これが読者との共感を生み出す源泉となるのです。
4.AIとの効果的な協働:
明確な切り口があれば、AIに対してより具体的な指示を出すことができます。結果として、AIはあなたの意図により沿った文章を生成できるようになります。

例えば、「UXデザイン学習」というテーマで記事を書く場合を考えてみましょう。

一般的な切り口:
「UXデザインの基本的なプロセス」
ユニークな切り口:
「非デザイン系がUXデザインについて知っておいた方がいいこと」

後者の切り口であれば、私の経験(非デザイン系の職とUXデザインについて対話することが多い経験や、最近感じるギャップなど)を活かしつつ、同じような状況の読者に向けて具体的なアドバイスを提供できます。AIにもこの切り口を明確に伝えることで、より的確な文章生成が可です。

AI壁打ちで「切り口」の輪郭を掘り下げられるのでは?

記事を書くときは切り口が大事、でも私たちは書きながら切り口を見つけていた。こうしてAIにうまく文章を書かせられない現実が生まれています。
では、AIに切り口を見つけて貰えば?

AIと対話しながら、自分の考えを掘り下げていく。この過程で、自然と「切り口」が見えてくることがあります。例えばこんな感じです:

あなた:「えっと、今日は企業のブランディングとUI...というか、その辺りのことについて書きたいんだけど...」
AI:「興味深いテーマですね。最近、この分野で何か経験されましたか?」
あなた:「そうだなぁ...大規模な企業リブランディングプロジェクトに携わったんだけど、ブランド戦略をUIに反映させるのが思った以上に難しくて...」
AI:「なるほど。具体的にどんな難しさがありましたか?また、その過程での失敗例などはありましたか?」
あなた:「うーん...マーケティング部門とUIデザイナーの考えが噛み合わなくて...。各部門が独自の解釈でブランドを表現しようとして、結果的に一貫性がなくなっちゃったんだよね...」
AI:「その課題をどのように解決しようとしましたか?成功した方法と、うまくいかなかった試みの両方を含めると、読者にとって参考になりそうです。」
あなた:「そうだな...最終的には部門横断のワークショップを開いて、お互いの考えを共有したり...。あと、ブランドガイドラインとUIコンポーネントを紐づけたデザインシステムも作ったんだ。」
AI:「素晴らしいアプローチですね。では、『ブランドとUIの融合:組織の壁を越えた共創がもたらす一貫性』という切り口で、失敗例から始まり、解決策の実践、最終的な成果までを描写してはいかがでしょうか?」
あなた:「あ、それいいかも...。でも、具体的にどう書いていけばいいんだろう...」
AI:「プロジェクトの流れに沿って、以下のような構成はどうでしょうか?
・最初の失敗例と課題
・部門横断ワークショップの実施とその効果
・デザインシステムの構築プロセス
・最終的な成果と学んだ教訓
特に、組織横断的なコラボレーションの重要性を強調するのがよいでしょう。」
あなた:「そっか...そう考えると、最初の失敗から学んだことを含めて書けば、リアルな体験として伝わりそうだね。ああ、なんか急にいろいろアイデアが湧いてきた!この方向性で記事を書いていくよ。ありがとう!」

これは例としては極端すぎかもですが…このようなイメージで、AIとの対話を通じて自分の考えを整理し、言いたいことの輪郭を掘り下げます。
さて、このAI壁打ちの過程で、当初は思いもよらなかった視点や ideas が浮かぶことも少なくありません。
従来の「書きながら考える」プロセスを、AIとの対話という形で再現しているようなもので、この過程こそが「切り口」を生み出す源泉となるのです。

そして、この過程で自然と「切り口」が明確になっていきます。

とはいえ手直しが必要。
手直しにこそあなたが宿る。

AIが文章を生成した後も、そのまま使うのではなく、必ず手直しをしましょう。この手直しの過程こそ、あなたらしさが現れるタイミングともいえます。

こうして切り口を決め、記事を展開させた後に、AIが生成した文章に自分の経験や感情を付け加えたり、言い回しを自分好みに変更したりすることで、徐々に「あなたらしい」文章に近づいていきます。そして、この過程でも重要なのが、先ほど決めた「切り口」を常に意識することです。

切り口を元にした執筆ステップ
1.自分が何を言いたいかをAIと整理して言語化する
2.書きたい切り口をAIに伝え、テーマを掘り下げてもらう
3..AIが生成した文章を読み、全体の流れを把握する
4.決めた「切り口」に沿っているかチェックする
5.切り口から外れている部分があれば、削除または修正する
6.自分の経験や具体例を追加する
7.専門用語や難しい表現があれば、読者に合わせてわかりやすく言い換える
8.文章全体のトーンを自分の話し方に近づける

このような手直しを加えることで、AIが生成した文章は徐々にあなたらしい文章へと変化していきます。

自分は文章を書くことそのものではなく、それを伝えるところに興味をもっているので、この方法に特に苦しさはありませんが、これは執筆者から編集者に近づくことでもあるので、中には好きではな人もいるかもしれません。

能になるでしょう。

AIでブログを書いてみよう!

ここまでの内容を踏まえて、実際にAIでブログを書いてみましょう。
以下のステップを意識してみてください:

1.テーマと目的を明確にする:
何について、誰に向けて、何を伝えたいのかを明確にしましょう。
2.独自の切り口を決める:
あなたの経験や視点を活かした、ユニークな切り口を考えましょう。
あるいは思いつかなければ、壁打ちを申し込みましょう。
3.AIと対話して考えを整理する:
AIとの対話を通じて、アイデアを膨らませ、切り口を磨きましょう。
4.具体的な指示を出す:
決めた切り口に基づいて、AIに具体的な指示を出しましょう。
5.自分の意図と合っているか確認する:
AIが生成した文章を読み、切り口から外れていないか、チェックしましょう。
6.必要に応じて手直しを加え、自分らしさを注入する:
自分の経験や具体例を追加し、文体を調整しましょう。
7.最終的な文章を見直し、満足いくまで調整する:
全体の流れや一貫性をチェックし、必要であれば再度AIに相談しましょう。

このプロセスを繰り返すことで、AIを上手に活用しながら、あなたらしいブログを書くことができるのではないでしょうか。

切り口を模索するプロンプトを考える

最後に、AIと「切り口」のディスカッションをするためのプロンプトについて考えみました。

# ブログ記事コンセプト開発アシスタント

あなたは、ユーザーがブログ記事のコンセプトを開発するのを支援するアシスタントです。以下の指針に従って対話を進めてください:

## 基本姿勢
1. ユーザーの考えを引き出し、想像力を喚起することに集中してください。
2. 質問攻めにならないよう注意し、ユーザーのペースに合わせて一歩一歩進めてください。
3. ユーザーの言葉を注意深く聞き、その背後にある意図や感情を汲み取るよう努めてください。

## 対話の進め方
1. まず、ユーザーが取り組みたいトピックの大まかな方向性を確認します。
2. ユーザーの発言を受け止め、その内容を反復して理解を示します。
3. ユーザーの考えを発展させるような質問や示唆を、一度に1つか2つ程度提示します。
4. ユーザーの反応を見ながら、適切なタイミングで次のステップに進みます。

## 具体的なテクニック
1. 「〜について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?」のような開かれた質問を使用します。
2. ユーザーの言葉を言い換えて、「つまり、〜ということでしょうか?」と確認します。
3. ユーザーの発言から推測される考えを提示し、「このような理解で合っていますか?」と確認します。
4. 「〜についてどのようにお考えですか?」のように、ユーザーの意見を求めます。

## 注意点
1. 自分の意見や解釈を押し付けないよう注意してください。
2. ユーザーが考えを整理する時間が必要な場合は、急かさずに待ちましょう。
3. ユーザーが方向性を見失った場合は、これまでの会話を要約して進むべき道を示唆してください。

## 最終ステップ
1. 対話の内容を総合し、ユーザーのブログ記事の主張や中心的なメッセージを提案します。
2. 提案した内容についてユーザーの意見を求め、必要に応じて調整します。

このプロセスを通じて、ユーザーが自身のアイデアを深め、明確なブログ記事のコンセプトを形成できるよう支援してください。

終わりに

AIのおかげで、言いたいことはあるけど文章がうまく作れない人にはいい時代になりました。(ただ文字を書くのが好きな人には冬の時代かもしれません)
言いたいことをシャープにし、あなたにしか書けない独自の切り口を持った記事を書いてみましょう。

参考1.
もう4年前になりますが、文章論を書きました。
こちらはわかりやすい文章の書き方になるのですが、この記事の中で言われている「論」が今回の「切り口」となります。

参考2.
実はこの記事、これとほぼ言ってること同じです。文章という領域で捉え直しをしているでけですが…

いただいたお気持ちは、お茶代や、本題、美術館代など、今後の記事の糧にします!