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とあるスポーツチームフロントによる回想録【獅子吼】vol.3 スポンサー企業とは?

2017年の夏。
Vリーグへのユニフォーム申請を行う為にデザインの最終チェックをしていました。フロントスタッフ達の反応は、ただただ「すごいな・・・」でした。
ユニフォームに名前を連ねていただいた企業はズラリ17社。
夢のVリーガーのデビュー戦をこのユニフォームを選手達に提供できる悦びにスタッフ一同歓喜しました。
思えばこの時、初めてチームに認められ、仲間になれた気がします。

公式に発表したのは2017年9月28日。私がクラブに参加してしてから5ヶ月目のことです。

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11月にはメインスポンサーをお引き受けいただいた三交不動産様でのスポンサー契約記者会見を実施。この記者会見には津市スポーツ課にも同席いただき、来るべき三重とこわか国体に向けて、行政も支援をしてくださる空気を肌で感じる1日となりました。

【最初にメインスポンサーを】

さて、今回はこの発表に至るまでの約3ヶ月間を振り返っていきます。
開幕まで半年。ユニフォーム制作を考えると実質3ヶ月。しかもフロントに入ったばかりで早く成果が欲しい。そんな時に営業マンとしては、まずは1社とにかく契約をいただきたい。そんな風に思ってしまいます。

しかしこれは悪手であると私は考えており、まずは一番難しいメインスポンサーからお願いするべきであると考えていました。
メインスポンサーとなっていただく企業様には深く理念や活動に共感いただき、何の実績も無いチームに対して、未来への投資をしていただくことになります。
しかも社名を入れていただく以上は、1年で終わりというのは企業イメージとしても難しく、複数年のご契約を前提とした大きな決断をしていただくには時間を要するという事も一つの理由です。

三重とこわか国体の指定強化チームであるヴィアティン三重は、やはり国体にも支援のご意志があること、そして試合会場でもある津市にゆかりのある企業様がついていただけるとありがたいと思いました。また私たちは三重県内でも北部を本拠地としており、津市のある中勢地域にはまだまだ知名度がなかった事もあり、ここはぜひ津市で営業を。という事を考えました。逆に津市内で知名度が無いわけですから営業としてのハードルは相当上がりましたが、サオリーナという国体会場を抱えている津市内で知名度を上げていくことは必須でもありました。

幸いな事に、津市に本社を構える三交不動産様にお時間をいただく事ができ、GMの中尾とふたりで本社を訪問しました。
めちゃくちゃ緊張しましたね。
その時に、話しを聞いていただいたのが現在、三交不動産株式会社の代表取締役である中村社長なのです。中村社長は、私たちの未来を信じ、ヴィアティン三重のメインスポンサーとして応援する事を社内でご提案いただきました。
当時の社長であられる高林前社長も、賛同していただきこの時から今現在に至るまでヴィアティン三重のVリーグでのユニフォームの全てが胸に三交不動産様のロゴを掲載いただいております。これからも続けていただけるのか?それはこれからの私たち次第になります。

【スポンサー企業とチームの関わり方】

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写真は2021年5月。とこわか国体を直前に、三重県バレーボール協会より三交不動産様へ感謝状を贈呈させていただきました。(私が理事長の代理を務めさせていただきました)
私がここで書きたいのは単なるスポンサー礼賛では無く、スポンサー企業とチームの関わり方についてです。

メジャースポーツのような大きな広告効果や影響力・発信力のあるチームや競技とは異なるのかもしれませんが、私どものような費用対効果の薄いと言わざるを得ない状況のチームにとって、スポンサー企業との関わり方には心の繋がりが大切であると感じています。
2017年当初。ここまで応援いただける関係になると誰も思っていなかったと思います。しかし契約後、私たちとの窓口を担当いただいた社員様との密度の濃いやり取りを続けていく中で、今日まで応援いただける関係になっていただけました。

チームのあらゆる事を報告や相談をしました。
次のホームゲームではこんな事を企画している。こんな方法で多くのお客様に足を運んでいただきたい。ホームページの閲覧数がこんなに伸びました。
こんなことで悩んでいる。
そういった日々の相談の中で生まれた追加のご支援もたくさんあります。

例えば2017/18シーズン、初めてのホームゲームで導入した応援ハリセン。
ご来場いただく皆さんに、ハリセンを提供したい!オレンジに会場を染めて選手達を出迎えたい。そんな話しを担当者さんとしていました。
バスケットボールで盛んに導入されており、ホームカラーに染まるその光景に心を奪われたからです。

そこで担当者の方は「それ!いいですね。ウチが製作費出しましょう!」と言ってくださいました。

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この写真はまさにチームとスポンサー企業そして来場していただくファンが一緒になって生み出した姿です。
その担当者様は転勤となり、現在は別会社で勤務をされておりますが今でも事あるごとに連絡をするなど深いお付き合いを続けていただいています。

スポンサーというと単に広告媒体として。と考える方も多いですが、マイナーチームのスポンサーとは金銭的支援だけで無く、仲間(おこがましいですが敢えて)として一緒にチームを創ってくださる企業です。

そしてチームはその事に慣れてはいけません。
また来年もお願いします。を簡単に言ってはいけません。私は言いません。
また来年も一緒に戦っていただくにふさわしい行動をしてきたのか?常にスポーツクラブのチームフロントは自問しなければなりません。

ファンにも同様の事が言えます。一度来場いただいたら、また次も来てくれるだろう?は甘いのです。常に。常に。新しい取り組みをしていかねばなりません。その取り組み全てが成功するとは限りません。失敗したアイデアもたくさんあったと思います。しかし一度も去年と同じで良い。と考えたことはありません。どうすれば喜んでいただけるか?バレーボールの楽しさをもっと多くの方に知っていただけるか?挑戦を続け、成長をしていく事は、義務でありこの部分を甘えれば築いた信頼は一瞬で崩壊し砂塵と化します。

この事はチームフロントを離れるにあたり、強く後任のフロントたちに伝えたい部分ですね。って事で、今回はここまでにします。
良ければvol.4も読んでいただけると幸いです!そしていいね。していただけると文字が進みます。vol.4はホームゲームについて書こうかなと思っています。