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組織で生きる男性・女性が考える!これからの「働く」カタチ/中小企業ワークスタイル研究会のこれまで⑥

今から9年前にあたる2015年1月28日(水)。中小企業ワークスタイル研究会・日本ワーク/ライフバランス研究会との合同企画セミナー、「組織で生きる男性・女性が考える!これからの『働く』カタチ」を開催しました。

女性の働き方の選択肢を拡げようとすればするほど、男性の働き方の選択肢も多様さを求められていこうとします。
今回は組織の中で働く男女、それぞれの「働く」にまつわる固定観念についても紐解いていきます。


1. イベント開催の背景

これまでArrowArrowでは、多くの女性の「選択できない働き方、生き方」を見てきました。でも、選べない苦しさは女性だけではなく、きっと男性も同様ではないだろうか…と感じる機会もありました。
男性も女性もそれぞれの状況を理解し、方向性は違っても手をとって前に進めないだろうか。そう考えたのが今回のセミナーのきっかけでした。


今回は、男性の抱える問題を浮き彫りにしながら、新しい生き方を提案&実践されている3人のゲストをお招きしてトークセッションを行いました。

2. 開催概要

男性学を研究されている田中俊之(たなかとしゆき)先生、

<プロフィール>
現:大妻女子大学人間関係学部准教授、男性学研究者、[当時:武蔵大学社会学部助教、博士(社会学)] 専門は男性学・キャリア教育論。”男性学”とは”女性学”と対をなす形の研究分野の1つ。男性だからこそ抱える問題等を研究するジェンダー論。
著書:『男性学の新展開』(青弓社)、『男がつらいよ──絶望の時代の希望の男性学』(KADOKAWA)、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト新書)、『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社+α新書)、共著に『不自由な男たち──その生きづらさは、どこから来るのか』(祥伝社新書)、『中年男ルネッサンス』(イースト新書)


産後サポート事業と父親学級を開催されている株式会社アイナロハ、渡辺大地(わたなべだいち)さん、

<プロフィール>
1980年、北海道札幌市生まれ。 明治大学法学部卒業。就職ののち、2007年に結婚。2009年に第1子を授かる。ところが、子煩悩なありふれた一般的な平和主義のパパとなったつもりが、実は父親としての役割も夫としての役割も果たしていなかったと後に知らされ、呆然となる。
一念発起し、産前産後の男性の役割を模索。2011年に株式会社アイナロハを設立し、2012年より「産後サポート “ままのわ”」事業を開始。
著書:『産後が始まった!』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『お産とオッサン。-SANGO ON FIRE!-』、「産後手帳」シリーズなど。


「働き方と組織の未来」ダイアローグ(現:一般社団法人Work Design Lab)を主宰されている石川貴志(いしかわたかし)さんです。

<プロフィール>
“働き方をリデザインする”をテーマにした対話イベント「働き方と組織の未来」ダイアローグ主宰(現:一般社団法人Work Design Lab)。リクルートエージェント(現リクルート)の事業開発部門マネージャーを経て、当時丸善CHIホールディングスにて勤務。第一子の出生を期にプロボノ・地域活動を開始。2012年より本業外の活動としてNPO・社会起業家に対して投資協働を行うソーシャルベンチャー・パートナーズ東京に参画しパートナーとして活動。1978年生まれ、当時は二児の父、現在は三児の父。


まずは「働くことにおける男女の固定観念」から話を始めていきました。
幸福度、自殺率などの様々な数値から考えられる、男性の置かれている状況について田中先生にお話いただきました。

また、男性故に実際に企業や家庭から求められてきた期待について、それら現場での体感と、多くの両親学級で男性の声を集める渡辺大地さんからお伝えいただきました。

そして現在企業に勤めながら別団体の取組みも展開される中で、2人のお子さんを育て働く共働き家庭の「実践」としてどんな取組みをおこなっているのかを、石川さんに語っていただきました。

「固定観念・固定概念をどのように打破していくのか」という問いにおいては、3者の視点からお話いただきました。共通点として、それぞれの企業でも家庭でも、これまでにない働き方や暮らし方を自ら創っていくという「実践」を繰り返していくこと、その重要さが重なりました。

3. 参加者皆さんとのワークショップ

スピーカー皆さんのトークセッション終了後、参加者皆さんと共に小さなワークショップも行いました。男女関係なくこのテーマについて参加した皆さんが熱心に話し合ってくださり、関心の深さを感じるものでした。

数名の方にワークの内容をシェアしていただきました。
参加した皆さんにおける固定観念・固定概念もすでに差異があり、だからこそ個人として何ができるか、組織にどう働きかけるか、そして、ゆくゆくは次の世代にどう伝えていけるのか、そんな未来の話にまで繋がりました。

田中先生が最後に皆さんにメッセージをつたえてくださいました。

(働き方、生き方を変えていくには)
『私たちは考え続けないといけない。
考えないと人は今あるパターンに陥ってしまう』

この言葉には参加者皆さんが頷いており、強く印象に残りました。


男性も女性も多様な生き方、働き方が当たり前になる社会のためには、
今の私たち世代が考え続け、
アクションを起こして、
少しずつでも変えていくこと、
それが必ず未来に繋がる…、
そう信じて進んでいこうとあらためて感じる機会となりました。

スピーカーとしてご登壇いただきました田中先生、渡辺さん、石川さん、
場所をご提供いただきました協働ステーション中央の皆さん、
そして何より参加してくださった皆様、ありがとうございました。

4. 2024年の今、ふりかえって

-2024年の今、男性の働き方は多様になってきているでしょうか。
2022年に法律化された「産後パパ育休」が開始し、男性自身も出産というライフイベントが起こった際、暮らしに関わっていく選択肢が一層後押しされる状況になってきました。

これまでの働き方、生き方とは違う在り方や選択肢をとれる仕組みが出来た今、男性自身もどのように働いていくのか、どのようにライフイベントに関わっていくのか、ご自身で考え、家族・組織と調整していく必要性が高まってきています。

5. 組織の中で、男性も女性も性別に関わらずとも多様な働き方をしたい


これまでもArrowArrowでは男性の働き方の多様さを求めて実際に動いている男性の話を聞いてきました。
・会社で初めて育休を取ろうとする男性
・保育園の送迎によって出退勤調整が必要になっている男性
・こどもの病気や体調不良によって仕事の調整を必要とする男性
個々人が会社に向かって、パートナーに向けて、調整や相談や対応をしている男性が増加しているかと思います。

女性も同じ道を通ってきました。
・会社で初めて育休を取ろうとする女性
・保育園送迎によって出退勤調整が必要になっている女性
・こどもの病気や体調不良によって仕事の調整を必要とする女性
同じように「無かった」働き方を創ってきた人たちがいました。

出産・子育てというライフイベントを女性も男性も経験していくことが重なろうとしている今、組織の中で働き方を調整したいと思う人は少なくないと思います。
組織規模体の大小に限らず、働き方を調整したいという個々の希望を、組織と調整してきている人たちのこれまでがあります。そしてそれらの声が法律や制度に繋がっていくのだとすると…多様な働き方をやろうと決めてトライしてきた人たちのこれまでがあったことが如何に大きな一歩であったかを感じます。

組織の働き方がもっと多様になっていくだろう未来。
共に働き方を学び合う場をつくりたいと思いました。皆さんと共に、多様な働き方に向かうその挑戦や模索や継続を学び合える場所を創っていきたいと思います。

小さな組織の働き方を学び合うコミュニティ CAMPFIREコミュニティ (camp-fire.jp)

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