社会はなぜ存在するといえるか?(ジョン・サール『社会的世界の制作』批判)
ジョン・サールは『社会的世界の制作――人間文明の構造』において、社会がどのように存在するかを解明したと主張した。サールの社会存在論は、制度的事実が言語によって創出され維持されるということから、「言語が成立すれば社会も既に成立している」と考えるものである。サールはこれをもって「社会はいかにして可能か」という古くからの問題に終止符を打ったと宣言している。
しかし、これは単なる問題の一段ずらしに過ぎない。サールは「言語はいかにして可能か」という問題にいまだ答えていないからであ