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夢を叶えるための最終手段!? 「GRIT/やり抜く力」とは

「夢」は、現実とは違う憧れの様なもの
「夢」は、運が良くなければ叶えられないもの
「夢」を追う資格があるのは、お金持ちや、才能がある人だけ

この様に考えている人には、ぜひこの記事を読んで頂きたい。
アメリカの心理学者であり、ペンシルバニア大学教授の
アンジェラ・リー・ダックワース氏は次のように提唱しています。

成功のカギは「才能」「知能指数」「生活環境」などではなく
「GRIT(グリット)」であると。
グリットとは、日本語にすると「やり抜く力」のこと。

大きな成果を達成するための重要なカギになると言われ、
教育やビジネスの世界などでも様々な応用が考えられています。
重要な点は、この成功のカギを握るグリットは、
誰でもトレーニングによって獲得できるのです。

この記事ではグリットの可能性や生活に取り入れるポイントなどを紹介。
一人一人が抱いている「夢」を叶えるための参考になればと思います。

GRIT(グリット)の正体とは

「グリット/やり抜く力」は、さまざまな分野で
高い成果を上げている人たちが持っている共通する特徴。
ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、バラク・オバマなど
世界のトップリーダーたちも「グリット」の重要性を認めています。

前述のアンジェラ教授の最初の著書
「GRIT / The power of passion and perseverance」は、
今やアメリカではベストセラーとなり、日本語版も発売されています。

「GRIT」は次の5つの単語の頭文字を取って名付けられている。
・Guts(ガッツ):逆境にめげない度胸・根性
・Resilience(レジリエンス):挫折から立ち直る復原力
・Initiative(イニシアチブ):率先して取り組む主体性、計画性
・Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる粘り強さ

アメリカ社会に大きな影響を与えた、
「やり抜く力」と「成功」を結びつけた理論がグリットなのです。

アンジェラ教授の大発見

ここに3人の偉人の言葉を紹介します。

ウィンストン・チャーチル
「成功とは、意欲を失わずに失敗に次ぐ失敗を繰り返すことである。」

ウォルト・ディズニー
「勝者と敗者の違いはたいていの場合、やめないことである。」

ネルソン・マンデラ
「成し遂げたことで私を判断するのではなく、失敗して再び立ち上がった回数で判断してほしいものだ。」

彼らも「やり抜くことが成功への道」ということを、
自身の成功体験で知っていたのでしょう。
しかし、科学的な調査データの裏付けに基づくアンジェラ教授の理論は、
偉人たちの言葉とは全く重さが違います。

アンジェラ教授が提唱するグリット理論は次の二つの言葉で
言い表している。

『成功する人に共通する特徴は「情熱」と「粘り強さ」、すなわち「やり抜く力」である』

『才能やIQや学歴ではなく、個人のやり抜く力こそが、成功を収める最も重要な要素である』

彼女は成功のカギを解明するために、業界屈指のビジネスパーソン、
アスリート、アーティスト、ジャーナリスト、弁護士、医師、学者などの
インタビュー調査を行いました。

その結果、成果を出した人たちがみな「情熱」と「粘り強さ」を
あわせ持っていることを発見した。

そして、目に見えない「やり抜く力」を測定するために、
次項で説明する「グリット・スケール」を開発し、
次のような年齢・分野の異なる大勢の人たちのアンケート調査を実施。

・超エリートだけが入学を許可されるアメリカ陸軍士官学校の生徒
・シカゴの高校生
・アメリカ陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の訓練生
・英単語のスペルの正確さを競う大会「スペリング・ビー」の決勝進出者を決めた子どもたち

これらの多くの調査結果から「グリット・スケール」のスコアと
「やり抜く力」の相関性を確認しました。
つまり、グリット・スケールのスコアが高い人ほど
「やり抜く力」が強かったそう。

グリットスケールとは

アンジェラ教授が「やり抜く力」と「成功」の
相関性を調査するために使用したグリット・スケールは、
彼女のウェブサイトでだれでも利用することが可能。
ANGELA DUCKWORTH GRIT SCALE TEST

上記のサイトは全て英語なので、番号順に日本語訳を紹介します。

⒈新しいアイデアやプロジェクトが出てくると、ついそちらに気を取られてしまう。
⒉私は挫折してもめげない。簡単には諦めない。
⒊目標を設定しても、すぐ別の目標に乗り換えることが多い。
⒋私は努力家だ。
⒌達成まで何か月もかかることに、ずっと集中して取り組むことがなかなかできない。
⒍いちど始めたことは、必ずやり遂げる。
⒎興味の対象が毎年のように変わる。
⒏私は勤勉だ。絶対に諦めない。
⒐アイデアやプロジェクトに夢中になっても、すぐに興味を失ってしまったことがある。
10.重要な課題を克服するために、挫折を乗り越えた経験がある。

(※日本語版「GRIT / やり抜く力」より抜粋)

この10の質問に対し、次の5つの中から当てはまるものを選択し
「GET YOUR SCORE」のボタンをクリックすると
自分のスコアがわかります。
・Very much like me:非常に当てはまる
・Mostly like me:かなり当てはまる
・Somewhat like me:いくらか当てはまる
・Not much like me:あまり当てはまらない
・Not like me at all:全く当てはまらない

試しに筆者も回答して見ると、グリット・スコアは4.2で
成人アメリカ人の80%よりも「やり抜く力」が強いとコメントされました。ちなみに、アンジェラ教授のスコアは4.6で、成人アメリカ人の
95%よりも上だそう。

「石の上にも三年」と「やり抜く力」はどう違う?

筆者は子供の頃に親から「何事も石の上にも三年」とよく言われました。
どんなことでも、辛抱して続けているといつかは何とかなるから、
一旦やり始めたら途中で投げ出さず頑張りなさいということ。

この言葉と「やり抜く力」は、どう違うのでしょうか?
冷たい石の上に三年座り続けると言うことは、つらいこと。
忍耐と辛抱の「石の上にも三年」に対し、
情熱と粘り強さの「やり抜く力」は、
同じやり抜くにしてもベクトルの向きがずいぶん違うように感じます。

「石の上にも三年」には、与えられたことをつらくても辛抱し、
よいことがくるまでじっと待っているイメージ。
逆に「やり抜く力」には、主体性を持っていろいろチャレンジをし、
何度失敗しても向かってゆくイメージ。

これは、農耕民族と狩猟民族という民族性の違いなのかもしれません。

「待てば海路の日和あり」とか「果報は寝て待て」のように、
どうも日本の古いことわざはじっと待つことを奨励しているような
印象がある。
はたして、日本人に「グリット/やり抜く力」という理論は
フィットするのでしょうか。

筆者の子供の頃と違い現代では、自分の「夢」のために起業したり
海外に飛び出してゆく若者が増えています。
日本人も「石の上にも三年」型から、アンジェラ教授が大好きな日本語
「七転び八起き」型に変わりつつあるようです。

グリット/やり抜く力に学ぶ4つのポイント

アンジェラ教授がアメリカ人の成人を対象として実施した
大規模な調査で「やり抜く力」がもっとも強かったのは
65歳以上の人たちだったそう。

逆にもっとも弱かったのは20代の人たちで、
アメリカ人のグリット・スコアは年齢に比例して上昇するようです。
戦後のモノの少ない時代を生き抜いてきた世代と、
ある程度豊かになってから育った世代では
ハングリー精神が違うのかも知れません。

しかし、「やり抜く力」は年齢に関係なく
トレーニングによって伸ばすことができます。
そこで、「やり抜く力」を強化するポイントを4つご紹介します。

自分の興味に合ったものを見つける

最初のポイントは「興味」のある対象を選ぶことです。
自分が嫌いなものを行うのは楽しくはありませんし、
情熱を持ちつづけることもできません。

ですので、情熱を持って何かに没頭するためには、
自分の興味に合ったものを選ぶことが重要だとアンジェラ氏は指摘します。

彼女が行ったビジネス成功者へのインタビューでは
「自分のやっている仕事が大好き」が、共通する言葉だったそう。
筆者などは、好きなことを仕事にできたのは運がよかったからで、
誰でもできる訳ではないとつい考えてしまいます。
でも、よく考えるとこの考えは正しくはありませんでした。

好きな仕事を選択するのは誰でも可能で、
誰でもできる訳がないのは、成功するまでやり抜くことです。
子供の頃から自分がやりたいものをはっきりと自覚している人も入れば、
40才以上になってようやく一生かけてやりたいものが
見つけられたという人もいます。

しかし、何才であっても心がときめくような何かを見つけられた人は、
成功に一歩近づいた人ではないでしょうか。

情熱を注げられる「目的」を見つける

2つ目のポイントは、人生をかけても良いと思える「目的」を持つこと。
「目的」は何かをやり遂げるためには不可欠な、強力なモチベーションの源です。
でもどのようにして「目的」を見つければよいのでしょうか。
「目的」の中心概念は、自分の利益ではなく、
他の人びとの役に立ちたいという気持ちです。

スランプに陥っていたオリンピック選手が、
病気で寝たきりの子供から届いた応援の手紙で、
その子のために頑張ろうと再起した、
という話はどこかで聞いたことがあると思います。

寝たきりの子供を元気づけたいという目的意識が、
その後のオリンピック選手のトレーニングに対する姿勢を大きく変えたのです。

もう一つ重要なのは、高い「目的」を持つことです。
イソップ童話の「三人のレンガ職人」を例に説明します。
ある旅人がレンガ職人に「何をしているんですか?」とたずねると、
次のような答えが返ってきました。

1人目のレンガ職人「レンガを積んでいるんだよ」

2人目のレンガ職人「大きな壁をつくっているんだよ」

3人目のレンガ職人「歴史に残る大聖堂をつくっているんだよ」


1人目は、親方に言われたからとイヤイヤ働き、
2人目は、家族のためにお金を稼がなければならないのでしょうがなく働き、
3人目は、歴史に残る建造物つくりに参加しているのだと喜んで働いています。

三人とも、同じ作業し同じ収入を得ているにもかかわらず
「目的の高さ」の違いで幸福度が全く異なっています。
仕事がつまらない、何のためにやっているか分からない、
と感じている人は「ジョブ・クラフティング」という手法を
試してみてはいかがでしょうか。

「ジョブ・クラフティング」とは「仕事の捉え方」や「やり方」を
変えることによって、やらされていると感じる仕事が、
自分にとって意義のある仕事へと変化させる手法。

意識を変える方法は、自分が日々行っている仕事をより高い視点で
全体的に捉え直すのです。
すると、つまらないと思っていた作業が最終的には商品やサービスとなり、誰かの命を救っているかも知れません。

「仕事」を単に目先の生活のためと捉えるか、誰かの命を救っている、
あるいは誰かを幸せにしていると捉えるかで、やりがいは大きく変わります。

意図的な練習を行う

「やり抜く力」を伸ばすための3つ目のポイントは成果のでる「練習」です。

アンジェラ教授の研究初期には、「やり抜く力」は練習時間が長い人ほど
強いと思っていたそう。しかし、同じ練習時間でもトップクラスになる
人と、途中で伸びが止まってしまう人がいることに疑問を持った彼女は、
その後のインタビュー調査で次のことに気がつきます。

トップクラスのエキスパートたちは漠然と練習するのではなく
「意図的な練習」を行っていたと。

意図的な練習とは、高い目標設定 ⇨ 練習 ⇨ 弱点の分析 ⇨ 練習方法の改善を繰り返しながら目標を高めてゆく方法です。

筆者も昨年、偶然これと似た経験をしたのでちょっとご紹介します。
筆者は毎年フルマラソンに挑戦しています。
東京マラソンは3回出場しいずれも完走できましたが、制限時間が7時間と
長いので1/3くらいは歩いても制限時間内にゴールすることができました。

3年前から、出身地の北海道マラソンに参加していますが制限時間は
5時間と短いので1年目、2年目は足が吊り途中リタイヤ。
そこで、3回目の挑戦をするにあたり練習方法をゼロから見直すことに。

一番大きな変更は目的を「長い距離を走る」から「筋肉をきたえる」に
変更したこと。
練習メニューも筋肉に負荷をかける内容にし、毎日記録をつけチェック。
その結果、参加レースを「わっかない平和マラソン」に変更しましたが、
15年前の自己記録を更新することができました。
漠然と距離を伸ばそうと走っていたのに対し、毎回テーマと目標を設定し
練習した結果だと思います。

ものごとを楽観的に受けとめる

最後のポイントは「楽観的」になることです。
「やり抜く力」の強い人たちの共通する特徴の一つに
「どんな出来事も楽観的に受けとめる」があげられます。

彼らは例え失敗しても、またがんばろうとか、次は別の方法で
チャレンジしてみようと常に前を向いているのですが、
悲観主義の人は小さな失敗でも何をやってもダメだとあきらめてしまう
そう。

たとえば、漫画家が目標とした場合、楽観的な人は作品を出版社Aに
持っていってダメだったら、BやCに持ってゆけばよい。
それでもダメなら漫画のスタイルを変えてみる。
それでもダメならターゲットを変えてみる・・・
と漫画家になる道は1つだけではないと考えます。
だから、「やり抜く力」の強い人たちは落ち込むことがないそう。

夢は叶わなくても、人生を豊かにしてくれる

実は、本記事の執筆に当たり、アンジェラ教授の著書
「GRIT/やり抜く力」を改めてじっくり読んでみました。
その中で「やり抜く力は何歳からでも伸すことができる」
と言うフレーズにちょっと心を動かされてしまいました。

「三人のレンガ職人」の例に例えると、筆者は2人目の
お金を稼ぐために働いてきたタイプです。
でも、この記事を書きながら、学生時代にあきらめた「夢」に
これから挑戦するのも悪くないなと考え始めています。

たとえ「夢」が叶わなくても夢中になれるものを見つけ、
充実した人生を送ることができればそれだけでも十分幸せなこと
ではないでしょうか。

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