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「ゆめうつつ草紙」(1)

眠れない
何の気なしに手を伸ばした「ゆめうつつ草紙」
友人からもらった本
明け方に読み出した

完全にこの小説の影響でしっぽりしたリズムの文体を好むようになった。
上の4行はそれを意識してみて書いたやつ。
こういうの慣れてなくて、書いててちょっと恥ずかしくなった。
慣れてサッとかけるようになったら格好いいなぁ。

15の短編が収められた「ゆめうつつ草紙」、
1つずつ感想を記すことにする。
あらすじは書いてないから、本全体の感想を希望なら次の記事へ。
★はお気に入りの話。
以下、ネタバレ注意。

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1. 嘘の女王
分かってしまう結末。でも良かった。最初の掴み完璧。

2. 誰かが誰かを ★
結末は薄々感ずいていたのに全然心の準備出来てなくって、
最後の3行の風刺文章にたまらん痺れた。

3. 3人めの天使
世の中には「中庸」とかいう、
極端に走らず真ん中で(が)良いのだという風な意の言葉がございますが。
そんなグレーゾーンに収まる人生、面白くないよねっていうキレキレのテンションで読んでいて楽しかった。し、ちょっと共感した。
けどここまで切れ味良い文章だと思ってなくて。
最後はちょっと心がチクッとしたから、そんな私はまだ3人めの天使の存在に甘んじていたんだな。

4. 失われた女
悲しすぎる、嫌だ。
女の仕返しは当然。
仕返しの持っていき方がゴリゴリで好き。

5. 消す魔術師 ★
なに消すんだろ〜?その後はなにを現せるようにするんだろ〜?
とか先に起こることを想像して読んでいたのに。
道半ばで、しかも一瞬で笑いを消したところに鳥肌がたった。
おもしろい世界を作るっていう最初の設定(約束)を、主人公はまぁタカをくくって少し記憶から遠ざけてたら、まんまと引っかかってしまってて。読者である私だって似たような態度で先の方まで想像して読んでたから、その点で主人公の態度と同じだなぁと。
だからこそいきなりピシャン!って道閉じられた後に元の約束を思い出すとじわじわ心に来た。
ぶっちゃけ読んだ時は印象に残らなかったけど、今こうして感想を書いてると、自分がストーリーに対して舐め腐った態度をとってたなぁと結構ショックだったから★付けた。

6. 願いの壺 ★
ブエノスアイレスゥ⤴︎
それまでつまんない世界とか死とかについて書かれてたから、
不意打ちの素敵なほっこり話に心持ってかれた。

7. 一途なハモニカ ★
物に命を宿らせると…っていうよくする白昼夢を言語化しててすごいし、好き/嫌いっていうハモニカの気持ちだけじゃなくて、「違う女の口紅の匂い」とか感覚まで書かれてたからもう完全に感情移入して最後泣いた。

8. 漂う町にて
胸の穴と悔い、杭…天才か?
その表現天才か?

9. 矢印の方向へ
こればっかりは何となくわかる。

10. ぜつぼうの濁点
各ひらがなだけじゃなくて単語を生かしてるの、とっても新鮮だった。
「ぜつぼう」が「きぼう」へってクサイ話だけど全然読めちゃうし、「゛」の自己肯定感の低さがちゃんと最後に報われたのが嬉しかった。

11. ひとりと云う鳥
めちゃめちゃ怖かった。
世にも奇妙な物語じゃんか…夜中に読ませるなよ…
鳴き声まで練られてて面白かった。

12. シンユウ記 ★
だめだ…これは本当にだめだ。
とても好きなタイプのあれだ…無理だ。
ずっとずっと、これ以降のどの話を読んでも引きずってる。
やばい…読み返す勇気がないけど1番好きだった。

13. 2006歳になったぼくの話
最初はガチで読み進めたけどだんだんんっ?ってなってきて。
最後は言い訳かわいいかよ。
たかが6歳の子が言ってることでしょう、なんて一笑に伏せない感覚の現実味を言葉で表現してて、最後のオチまで合わせてスッゲェ!って言っちゃった。

14. 水差しを手にした女
こんな風に絵画を見たら面白いだろうなぁ。
自分のお気に入りの絵だって、月日をまたいで見ると以前と違う表情をしてるように見えたりするのかも。
その空いた月日を自分の中でストーリーとして組み立てたら面白そうって思った。

15. 秘密
告白します。
最後はちゃんとお母さんの秘密を知れると思ってました。
というより私がその秘密を非常に知りたかったので…
このラストは自分の怖いもの見たさっていう愚かさと恥と人格が露呈されてしまって、穴があったら入りたいって感情を抱いたまま読み終えた。
…恥ずかしいや!
くそ〜〜でも私と同じ読者はたくさんいるはずだし、そういう人間性?に向き合わせるこの短編小説風の小説、すごすぎる

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以上。
読後に友人へ送った感想をベースをほぼそのまま記した。
次はこの本1冊の感想を書く。

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