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④『かがみの孤城』辻村深月著

初辻村深月作品。『かがみの孤城』読了です。


『かがみの孤城』辻村深月著/ポプラ社


本屋大賞受賞(2018)、映画化もされた大ベストセラー。本屋さんに行くとよく目にしていたのでずっと気になっていました。

先日の『マトリックス』からつながるような「目の前に見えるたった一つの現実」という思いこみを外すためのヒントがたくさんあるお話。物語が動き出す後半から一気に読ませ、伏線回収もお見事。


中学生や高校生は、しゃべらないんじゃなくて、しゃべれないんです。(中略)自分の腹の中にある、一番これが言いたいっていうことだけを言いたい。だけど、そのための言葉がない。自分が捕まっていることと自分が使える言葉というのが、離れすぎている。

生きるとは、自分の物語をつくること/河合隼雄、小川洋子著/新潮社


偶然同時に読んでいた『生きるとは、自分の物語をつくること』の河合隼雄先生の言葉が、中学生である主人公たちの感情と、それを説明する手段を持たないために周りに理解してもらえない辛さ、苦しさを解きほぐしてくれて、頭でっかちな大人である私にもよく分かりました。


ここからちょっとネタバレ。

「かがみの孤城」のキーワードは時間軸だったわけですが、はじめて会った人になぜかなつかしさを感じたり、同じような経験や感覚を持っていたりする人との出会いは実際に人生のなかでも起こること。

「どこかで会ったことがあって、また巡り合えたのかも」

それはとてもあたたかで、しあわせな思いつき。

ファンタジーだけどこの世界でも、自分にもおこっていることかもしれないと思わせてくれる作品でした。


#かがみの孤城 #読書感想 #辻村深月 #100チャレンジ




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