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クリスマスと香りの歴史;1「フルーツポマンダー」

今月はクリスマス月間。前回に引き続き、クリスマス関連の記事を書いていこうと思います。本日は、「クリスマスに関連した香りの歴史①」です。

第一回目は、ヨーロッパではクリスマス時期に贈ったり飾ったりする
香りのお守り「フルーツポマンダー」について

ポマンダーとは・・・

ポマンダー(pomander英語)とは、フランス語のpomme(リンゴ)とambre(琥珀色の、竜ぜん香) から出来た言葉で、香り玉です。

はじまりは、17世紀の中世ヨーロッパ

中世ヨーロッパでは12世紀ころから都市の誕生により商業貿易も盛んになり、遠方から香料や宝石などが運ばれてきました。

しかし、同時に恐ろしい病気(ペスト)まで運んでしまったのです。衛生状態が悪かった事や医療が未発達だった事もあり、あっという間に病気は広がり、長い間ペストに悩まされた。特に14~17世紀は被害が大きかったようです。
(大流行で、「ぺスト患者を出した家族は外出を禁止され、座して死を待つのみだった」という話も残っています。。。。。(T ^ T)
しかし、ペストが大流行したこの時代、香水工場で働く人々は病に罹りにくかったそうです。
そこで、医師は香料入りのポマンダーを首にさげ、床にはカモミール・タイム・ラベンダーを撒き、ローズマリー・フランキンセンスは消毒の為に焚いたそうです。(この当時は修道院が病院の代わりもしていました。)

ドイツのカルペッパーは「香水は確かに複合した薬物である。これは熱しないで心に影響を及ぼし、あらゆる悪臭を取り除き、私たちを取り巻く空気中の感染源を除去する」と言っています。
(引用;日本アロマコーディネーター協会アロマコーディネーター教科書より)

ペストの流行から守るために始まったお守り

芳香植物(ハーブ)の芳香物質には、抗ウイルスや抗菌作用が含まれている物もあります。中世ヨーロッパの貴族たちは練り香を入れたポマンダーを首から提げて身に着けて、 流行り病から身を守ったと言われています。
身分の高い人たちは金や銀で作られた物を身に付けましたが、一般の人たちには高級すぎて買えません。ハーブを布で包んだだけの物を身に着けていました。
ぺスト(=災、厄)から身を守るお守りから、香りのお守りが誕生しました。
現代では、オレンジやレモンなどのフルーツで作った「フルーツポマンダー」が一般的です。

余談:日本の「にほひ袋」

日本にも古くから「香り袋」が存在していました。

日本では、正倉院に8世紀の「えび香」という衣類の防虫を目的としたお香が現存します。沈香、白檀、丁字、麝香など組み合わせたもです。同様にお香を入れる小袋も見られることから、にほひ袋は奈良時代に存在したと考えられています。

https://kyukyodo.co.jp/product/incense/fukuro.html

(現代の防虫剤の代わりですね。ちなみに、ハーブでは「丁子(クローブ)」、精油は「パチョリ」が役立ちます。)


幸運を呼ぶお守り

ポマンダーは幸運を呼ぶお守りとして、イギリスや欧米ではクリスマスや新年のプレゼントとして交換したり、クリスマスのオーナメントとしてお部屋に飾ったりして香りを楽しむそうです。

寒くなるこれからの季節に

フルーツポマンダーを作る時、丁子(クローブ)をたくさん刺してスパイスパウダーを塗します。
フルーツとスパイスの香りで気持ちも温まると共に、ポマンダーに使用するスパイスには、消臭と抗菌に有用な成分が入っているものもあるので、フルーツとクローブとスパイスの香りで風邪予防やお部屋の空気清浄にもオススメです。

我が家のオレンジポマンダー


ちなみに、↑こちらの画像、私が2016年(5年前)に作ったポマンダー。
水分が抜けて、ミイラ化します。作った当初よりも二回りぐらい縮んで何度かリボンを縛り直しました。(これを作っている最中は、オレンジとシナモンとクローブの香りが部屋中に充満。シナモンの香りを一年分嗅いだ気がしました(笑)
また、このポマンダーはクローブの作用で「永年」持つとの事ですが、
リボン部分にクローブを刺さなかったらカビが発生してしまったことがあります(^^;;   カビが心配な方は、リボンのスペース(刺さなスペース)にも少しクローブを刺すことをお勧めします(^ ^)

意外と簡単に作れますので、ぜひ作ってみてくださいね。

次回の「クリスマスと香りの歴史;2」は、

12月25日に更新します。クリスマス当日なので、キリストと香りのお話を書く予定です。
また、ラジオアプリvoicyの「母親アップデートラジオ」にて、12月9日(木)、「クリスマスとアロマテラピー」のお話もしますので、合わせて聞いて頂けたら大変嬉しいです。

本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。