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久々の学会参加

 6月に日本緩和医療学会に参加してきました。看護師の知り合いの方から学会について教えていただき、初参加でしたが、思った以上の規模にびっくり。もちろん内容もかなり濃くて、興味深い演目ばかりでした。

 まず、初日の一番最初に参加した在宅医療に関する演目。

 病院から在宅へ療養を移す時、「もうだめってこと?」と感じる患者様がいるというケースワーカーさんのお話にはっとしました。患者様は家に帰るということは、医療と断絶されると考えてしまう可能性があるということでした。
 そのような不安を解消するためには、在宅療養の意義・価値をお伝えすること、ACPの確認、自宅療養で望ましい生活をどう描いているかの聞き取りが必要であることを学びました。
 そして、患者様が主人公の「人生劇場」の観客になるという視点がとても印象的でした。

 次に、在宅医の演目の中で私が注目した内容は、病院と全く同じことはできないし、する必要はないかもという内容です。病院とは違ってできる治療も限られていますし、やはりご本人の望むことを丁寧に確認することが大切だと思いました。
 また、そのケアが誰のため、何のため、ルーチン化されていないかなど適宜ケアの見直しが必要であるというお話も非常に納得しました。たしかに、日頃のケアが何となく継続していることはよくあるなと振り返り、改めてお相手にとって意味あるケアを提供していくことを意識付けたいです。

 続いて薬剤師さんの演目では、患者様に嗜好性の確認をしているというお話がありました。例えば、大きい薬は飲めるけど、溶ける薬は飲めないという方や、苦い薬は飲めるけど、甘い薬は飲めないなど嗜好は様々だそうです。正直、今まで薬の嗜好については考えたこともありませんでした。
 薬のセットにも在宅には個別性があり、ご本人のお気に入りのカメラフィルムや、カップスープのカップにセットしたりという所に在宅らしさを感じました。また、こういったご本人のこだわりを一度受け入れると、次に何か提案したときに受け入れてくれやすいという部分はとても共感しました。
全てご本人の望むようにとはいかなくても、ご本人の意思に極力寄り添う姿勢を持つことで、医療側の意見を受け入れてもらえることは過去に経験があります。薬剤管理にも対話が必要ということで、薬剤師さんの丁寧な仕事ぶりにとても感動しました。

 最後に訪問看護師さんの演目では、たとえサマリーや情報提供書があっても、体や病気のことを自分の言葉で語ってもらうというお話がありました。そして、ゆっくり向き合い、グイグイ攻めないこともポイントとのことでした。
 また、訪問頻度の適正を見極めることや、事前に指示受けをしておくこと、衛生材料はクリニックで出してもらえるものは出してもらうなど、わかってはいるけど改めて確認するいい機会となりました。とても参考になるなと思ったのが、踵の褥瘡出現時に、母乳パットがちょうどフィットするというアイデアでした。こういった在宅ならではの知恵は、ぜひシェアしたいなと思いました。

 質疑応答では、外来で訪問看護の必要性をどのように説明したらいいかという議題があがりました。対応の例として、訪問看護が介入することのメリットをお伝えするという内容で、例えばせっかく朝まで待って病院受診をしても、家に帰ってくることになることもあるけれど、訪問看護が入っていれば電話でいつでも相談できるということを伝える、また排便管理や疼痛管理をしてくれることを伝えることで、訪問看護の介入に前向きになることもあるとのことでした。また、予定外の外来受診が増えることも一つの目安として、訪問看護の必要性をお伝えするきっかけになるとお話されていました。いざという時の提案がしやすいように日頃から患者さんとの関係構築も大切で、「この人が言ってくれるなら」と思ってくだされば、スムーズに訪問看護の介入がいくのではというアドバイスもでていました。

 病院においても、在宅においても医療はチーム力だということを改めて実感し、初日の最初の演目からとても充実した勉強ができました。

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