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楽しかった都知事選

東京都知事選挙が終わった。先日の日記にも書いたが、今回はこれまで自分が通った3回の都知事選の中でも特に面白いものだった。というか、選挙が楽しいと思ったのは初めてだ。

投票先は「ひまそらあかね」だった。結果は7位で、約110000票獲得。
普段は「表現の自由」「文化芸術の支援や保護」などの公約を掲げる候補には絵描きの自分を利するとしても滅多に入れないのだが、今回勝っても負けても面白い候補はひまそらあかねの他にいないと思ったため、票を投じた。

お世辞にも品行方正とは言えず、どこか陰謀論を思わせるような推察を繰り返し、頑なに顔出しをしない変わり者。かと思えば、実は真っ当なことも言っている。そんなキャラクターの彼が主要候補者やメディアを挑発し引っ搔き回しながらネット(X)で起こしたムーブメントは非常に大きなものに見えた。実際、期日前投票の出口調査では5位につけた。

しかし一般的にネットの盛り上がりが実際の選挙に与える影響は小さいと言われており、今回も例外なくその通りの結果に収まった形となった。ほとんど全てのメディアに黙殺されていた(それは6位の内海氏も同様)点も、それを後押ししただろう。これは腹立たしかった。

やはり選挙戦においては、まずはマスメディアに乗ること。それと仮想空間の空中戦ではなく候補者自らが表に立つ地上戦ありき。インターネットの個人発信はメインウェポンに成り得ないのだろう。

とはいえ、そのサブウェポンのみの縛りプレイでここまで上り詰めるのはおそらく前人未到の域。この条件下においてはほぼ限界値を叩き出した結果なのではないかと思う。

本人は1位を取ると豪語していたものの到底、力及ばずだった。結果としてビッグマウスに映る彼を笑う人も少なくない。ぽっと出のネットの変人がどれくらい得票するか賭け、大敗を見て楽しむ人もいる。相手がどんなに気に入らなくても、ああいう態度はとてもカッコ悪いと思った。

そんな中、彼は1位以外は負けである都知事選の世界で最後の最後までそのポーズを貫いた。その姿勢は非常に魅力的だった。1位と取ると言っていたからこそ、11万票を取れたのだろう。今回は彼に票を投じてみて良かったと思う。「支持者を背負って戦う」とはどういうことか。いいバトルを見せてもらえた。自分も頑張らないといけない。


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