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進化思考 生き残るコンセプトをつくる変異と適応

「進化思考 生き残るコンセプトをつくる変異と適応」(太刀川 英輔 著)

■序章:創造とは何か
・いいデザインは、人と物との新しい関係性を生み出す
・古来から創造性を発揮してきた人たちは専門分野ではなく、技術と思考があった(理系や文系のような分断は、人の創造性を潰してきている)
・創造性を発揮する人は、建築家やデザイナーに限らない
・創造は人の根源的な欲求。にもかからず「創造」を理解できていない

1美の概念:美しさとは何か、何が美しいと感じるのか
2発想の強度:アイデアの強さ、発想の強度とは何か
3関係性の把握:複雑な関係をどう捉えるか良し悪しを決めるのは周囲との関係性
4創造の目的:飽和した時代に真に作るべきものとは
5自然の創造性:自然界の方が創造が上手いのは何故か
6創造する人:人が創造するのは何故か、動物は創造しない

■1章:進化と思考の構造
・「強靭的な思考(変異)」と「適応的な思考(適応)」
・感覚的な右脳と論理的な左脳:それぞれの働きの違いが互いにやりとりする(発想と取捨選択を高速で繰り返す)
・バクテリアは、真っ直ぐに走り方向転換する。効率的に食物を獲得できる
・生命の進化にヒント

・ダーウィンの進化論の4つの現象
1変異によるエラー:遺伝するときに個体の変異を繰り返す
2自然選択と適応:自然のふるいによって適応する個体が残りやすい
3形態の進化:世代を繰すと細部まで適応した形態に行き着く
4種の分化:住む場所や生存戦略の違いにより分化する
進化は創造に生かす手法になりえるのか

■2章:変異 HOW
・人間だけが多くの道具を創造できたのは「言語」の発明なのではないか
・言語と遺伝子の類似性。言語に創造性の源泉がある可能性。

発想の型になる変異の9パターン
1変量:量を変える
2擬態:まねる
3欠失:減らしてみる
4増殖:増やしてみる
5転移:新しい場所を探してみる
6交換:違うものに入れ替える
7分離:別々に分けてみる
8逆転:真逆にする
9融合:意外なものとくっつける

■3章:適応 WHY
・生物の生態を監察する手法「時空間学習」
1解剖:中身を分けて理由を監察する
2系統:物事の古くからの文脈を知る
3生態:物や人の繋がりを理解する
4予測:未来の課題を知り希望を描く
→時間と空間を網羅できるフレームワーク。好奇心を発揮する武器になる。

1解剖
生物学における解剖
i 内部にあるものを分類 WHAT
ii 各部位が何のためにあるか理解 WHY
iii 要素がどのように発生するか HOW

・最適化の圧力が不要なものを減らす。少ないもので多くを実現する
・植物はわずかな構成要素で機能している。扇風機は多くのパーツがある。
・最適化はエネルギーの効率化にもなる
・収斂進化:異なる種別でも同じ環境であれば進化が似る
・美しい形には自然選択による調和がある
・作り方を理解しなければ創造を実現できない

2系統
・ダーウィンの進化論(神が作り出したものではないという弾圧)
・ラマルクの獲得形質の進化論を提唱(神が作り出したものにしては個々の生物の生存戦略が反映され過ぎている)
・系統が分岐した後に再結合することがある(進化の結び目と呼ばれる)
・微生物のクマムシをDeNA研究すると、植物やウイルスなどのDeNAが含まれる
・50年前の道具はほとんど使っていない。50年後は今のものは使われていないだろう
・進化の失敗を避ける方法(失敗したものを次世代に受け継がない自然選択、うまくいった方法は保存しようとする)
→「変わるもの」と「変わらないもの」
・系統の分岐ごとに生命維持に必要なので本能的欲求も現れる

3生態
・エコロジー(生態学)の登場:繋がりを理解する
・エスノグラフィー(行動監察)
・登場人物だけでなく道具や状況の繋がりも存在。マクロな社会動態が見えてくる
・性競争(魅力で勝てるか)による生存競争→鳴き声を競う鳥など。
・ランナウェイ現象:行き過ぎた進化(乗りこなせないスポーツカーなど)
・専門領域が異なると意識しづらい競争:電車と車は同じ目的に競争を生み出す

複雑ネットワーク
・食物連鎖、寄生者の存在、感染症、など複雑なネットワーク
・生態系の繋がりの先には、未来への成長
・見ず知らずの人間をつなぐ手紙は6回で自分に届く(スモールワールド)
・少しだけランダムにつなぐことが短縮するポイント
・越境者の存在により世界の距離を近くする。約7回(友達の人数よりも種類の多さが幸福性を上げる)

4予測
Fore cast:過去から未来の傾向を予測する
Back cast:未来のイメージを分解して予測する

・カンブリア期:目の獲得から急激に種が増えた可能性(見えることから、繋がりが見える)
・見えることで相手の存在を知れば、競争が始まる。
・自然の自然選択は何度でも作り直すプロセスの更新の数が多い

解剖:関係と形が一致するか
最適化:無駄がないか
生産性:効率的に実現できるか
系統:失敗を繰り返さないか
意志:普遍の願い
生態:魅力で競争に勝てるか
資源:持続可能な資源か
天敵:簡単に破棄されないか
より早く進化できるか
生態系の変化:変化についていけるか
寄生:敵にハックされないか
共生:相手と一体感を生むか
ニッチ:状況を生かし切れるか
群れ:目的を共有しているか
越境:領域を超えてつながるか
ハブ:声の求心力を持つか
予測:悪い予測を回避するか
希望:未来の希望となるか

■4章:コンセプト
・変異と適応を繰り返すと新しい創造の種が生まれる
・変異の9パターンと適応の4パターン

変異の9パターン
1変量:量を変える
2擬態:まねる
3欠失:減らしてみる
4増殖:増やしてみる
5転移:新しい場所を探してみる
6交換:違うものに入れ替える
7分離:別々に分けてみる
8逆転:真逆にする
9融合:意外なものとくっつける

適応の4パターン
1解剖:中身を分けて理由を監察する
2系統:物事の古くからの文脈を知る
3生態:物や人の繋がりを理解する
4予測:未来の課題を知り希望を描く

創造性の5原則のチェックリスト
1変異:明確で非常識な挑戦を繰り返したか
2解剖:シンプルで無駄がないか
3系統:過去からの願いを引き受けているか
4生態:人や自然の間に美しい環境を築くか
5予測:未来に希望を与えるか

創造の螺旋
・遊びも好奇心も最初から価値が存在しない。
・遊びのように試しながら、好奇心で選択していく。その結果、創造につながる
・多くの人がたどり着かない領域に来たとき、創造は価値になる
・創造は生存戦略そのもの、生き残るためのコンセプト

■終章:創造性の進化
・生態系の全てのものは繋がっている
・地球の生態系は崩れてきている
・人間中心から脱していく、未来への共生のデザインへ。