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不合理だからうまくいく

不合理だからうまくいく: 行動経済学で人を動かす(ダン・アリエリー 著)

名著「予想通りに不合理」の著者ダン・アリエリーの続編。人はいつも最適で合理的な判断を下さないことに注意喚起すべきとの観点が多い。本書はそれでもメリットがある点にも着目。人間の本質は複雑でもある。

・高い報酬は逆効果(ビジネス)

一般的に報酬が上がると成績もあがるが高すぎると逆効果。金銭的報酬だけでなく社会的報酬(誰かに認められる等)においても、高すぎるとプレッシャーやストレスがかかりすぎて成績が落ちる場合がある。モチベーションを高めつつ無意味なストレスを軽減するインセンティブにしておく。

・働くことの意味(ビジネス)

働くモチベーションや働くことの意味について。目標を達成したいという感情が本質にある。達成感を持って、働くことの意味を見出すことでモチベーションは大きく変わる(例:登山など)。簡単に手に入ることによりも、わざわざ困難な方法を取ろうとする。

・イケア効果(ビジネス)

私達は自分の作り上げたものに愛着や誇らしさを感じる。簡単に手に入るものよりも、自力で手に入れたものを過大評価にする。イケアの家具を多少の苦労して、自分で組み立てることに意味がある。

・自前主義のバイアス(ビジネス)

自分の意見や自分のアイデアを正当化する(自分のアイデアに執着する)。自分で思いついたと思わせることで、モチベーションは上がる。

・報復が正当化されるとき(ビジネス)

報復は人間の奥深い本能であり、それは不合理だが社会の信頼関係を保つ役割がある。復讐心をバネに成功する人も多い。

・良いことも悪いことも順応する(プライベート)

人間はいいことも悪いこともなんでも慣れる。思ったよりも幸せにはならなし、思ったよりも不幸にもならない。「快楽順応」はいい環境や良い条件であってもそれが慣れて当たり前になってしまう。人生を変えるような大きな出来事であっても順応する。少しづつ贅沢をしたほうが慣れを防ぎやすい。周りの人との比較も大きく影響する。重症を負ったとしても順応は起きる。

・デート相手の外見(プライベート)

デート相手を選ぶとき、外見の魅力に乏しい人は、相手にも外見以外の要素も重視する。外見が魅力的な人は、相手にも外見の優先度が上がる。適応することが幸せの鍵になっている。男性は女性よりも自分の魅力度を気にしない。男性は楽観的(高嶺の花を狙う傾向が強い)。

・市場が失敗するとき(プライベート)

オンラインデート市場では、人間の感覚の限界を知るべき。一緒に同じ体験をするなど。現実の体験に近づける。人間を商品のように扱うと失敗する。

・感情と共感(プライベート)

一人の困っている人は助けるのに、世界で起きている大勢は助けないのはなぜか。眼の前で起きていること、心理的に近いものに感情が動く。訴求するときは感情に訴える・リアルに伝える工夫が必要。逆にその仕組を理解することで、大きなパワーが出る。まだ病気にかかっていない未来については、実感が湧かない。

・短期的な感情が及ぼす長期的な影響(プライベート)

感情はすぐ消えるが一時的な感情による判断は、長期的に行動に影響する。強い感情にとらわれているときは何も決定を起こさないのが賢明である。

・不合理が教えてくれること
人間は合理的な存在であると考えたがる。しかし、認知バイアスで間違った判断を下すことが多々ある。自分の判断や直感には、誤りがある可能性も考慮しておくべき。
不合理な側面には私たちを人間らしくしているも言える。仕事に意味を見出し、人を信頼し、新しい環境になれるなど。完全に合理的になろうとするのではなく、不合理さを認識して限界を克服する。自分の行動や政府の言動に疑問を投げかける。