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生物から見た世界

生物から見た世界(ユクスキュル、クリサート著)

■環境と環世界
生理学者は、生物を人間世界にある客体と捉える
生物学者は、生物自身が独自の世界に生きる主体と捉える

・血を吸うダニは哺乳類の体の何百の作用のうち、知覚標識が3つだけであるのはなぜか。
・動物が「世界がどう見えているのか」ということではなく、「世界をどう見ているか」ということ
・環世界は主体が主観的に作り上げた世界であり、客観的な環境ではない。
・環世界は主体の周りに存在している環境とは異なり、その主体が意味を与えて構築した世界

■諸空間
・作用空間:我々の運動の活動空間。3次元性は内耳の中の三半規管による。ミツバチは触覚を使う。
・触空間:触れることで場所と方向歩尺に結びつき形を与える。
・視空間:目のある動物は視空間と触空間がはっきりと分離する
・最遠平面:視空間は貫通できない壁で周りを囲まれている。かく生物がシャボン玉に囲まれているようなもの。地平線。
・知覚時間:時間は主体が生み出したもの。

■形と運動
・形と運動は高等な知覚世界で初めて登場するもの。
・動物の環世界で当てはまらないことが多い。
・動物は静止した形と動いている形は独立した知覚標識。コクマルガラスは止まっているキリギリスを判別できない。飛び跳ねるときに初めて知覚できる。

■目的と設計
・昆虫の場合、自然の設計に直接支配されている。その設計によって知覚標識が決定されている。

■故郷
・故郷は主観的な産物。問題はどんな動物が故郷を持ち、どんな動物が持たないか
・クモは巣を作り絶えずそこで活動する家であり故郷である。
・もぐらも陣取りをする
・犬のマーキング

■探索像
・探索像は知覚像を破壊する(食事の時水差しを探したがデカンタが目に入らなかった)
・我々はただの知覚像を探しているのではなく、ある特定の作用像に対応する対象を探すことの方が多い(同じモノでも、目的によって対象の意味が変わる)

■魔術的環世界
・原則として環世界は外部刺激による知覚記号の産物とされていた。
・主観的産物は個人体験が繰り返されることで形成される
・ホシムクドリが餌の幻影を見る(主観的な現実)

■同じ主体が異なる環世界で客体となる場合
・カシワの木の根はキツネの家になり、カシワの枝はフクロウの屋根に、アリには猟場に