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未顧客理解

「未顧客理解」 なぜ「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか(芹澤 連 著)

なぜ未顧客理解なのか

・ヘビーユーザーとライトユーザーはすぐに入れ替わってしまう
・ブランドの売上の半分は、そのブランドに興味のないライトユーザーに支えられている
・市場の大部分を占めるノンユーザーに目を向けるべき
・顔が見える顧客と、顔が見えない未顧客(顔が見える顧客が市場のすべてだと思いこんでしまう)

顧客視点は、特徴や属性ではなく、主観的な行動原理の理解。顧客が置かれた文脈や状況の理解、規則性に気付くべき。(ヘビーユーザーではプロファイルが有効かもしれないが、ノンユーザーにペルソナはない)

→未顧客の文脈に応じてブランドを再解釈することで興味を持ってもらう
(お風呂嫌いな子供に、お風呂は遊びを邪魔されるものから、別の遊び場の一つにしてしまう)

未顧客の行動

Q: どうしたらチーズケーキが売れるか
(商品の特徴:糖質オフで甘さ控えめ、3種類のナチュラルチーズを利用)

・昼の文脈:甘いものを買わなかった(健康を考えた)
・夜の文脈:甘いものを買った(一日の終わりの充足感が欲しい)

→再解釈後のベネフィット
「今日を締めくくるぜいたくな時間。糖質オフで夜でも食べられる」

未顧客へのマーケティング戦略

従来のマーケティング理論の中には、ヘビーユーザーには効果的でも、ライトユーザーやノンユーザーの獲得に向いていないものもある。

・データ、調査、ペルソナは、人の理解ではなく、未顧客向けには文脈の理解が重要
・STPは未顧客には、人にターゲティングする前にポジショニングを決め、P-T-Sの順が良い場合がある(※ジョブ理論と同様の考え方)
・ブランドとのつながりが弱いライトユーザーには、浸透率(顧客数)の方が重要(利用シーンを増やす)

新しい利用機会を生み出す未顧客理解の5原則

浸透率を高めてブランドとの利用機会を増やし、ライトユーザーを獲得する。未顧客の獲得は、未顧客の生活文脈&カテゴリーとブランドを結びつける施策。

原則1:文脈が変わると意味が変わる。意味が変わると価値が変わる
原則2:未顧客は本来戦うべき市場を見通すためのレンズ
原則3:行動の背後にある欲求、抑圧、報酬から顧客の合理を理解する
原則4:ブランドの特徴 × 顧客への報酬 = 文脈最適のベネフィット
原則5:売り方ではなく、モノが使われる行動の増やし方を考える

自社ブランドとしてみているカテゴリよりも顧客文脈の市場は広い


顧客の合理を捉える4つのポイント

きっかけ:その行動はどんな状況で起こったのか
欲求:その行動は、どんな欲求に根ざしているのか
抑圧:どの行動はどんな制限や条件づけを受けているのか
報酬:その行動をするとどんな良いことがあるのか

未顧客を動かす
・未顧客理解は課題解決ではない。無関心に理由も原因もないから。
・好きになる文脈と好きでい続ける文脈は別モノ。
・どうすれば好きになってもらって行動が増えるか、ではなくどうすればブランドを利用する行動が増えるかを直接的に考える
・ブランド価値の再構築

<施策例>
・行動し易い場所やイベントを用意する
・ゴールや行動に名前(ラベル)をつける
・行動に有益な情報を与える