顧客起点の経営
企業の成長の壁を突破する改革 「顧客起点の経営」
(西口 一希 著)
序章|経営が顧客を見失う理由
第1章|顧客起点の経営改革の全体像
顧客理解:顧客の心理
経営が取り戻すべき顧客理解の第1は、顧客の心理と顧客の行動の関係顧客理解:顧客の多様性
マス思考での意志決定は、どの顧客に対しても最適化されず、プロダクトの便益も凡庸になる顧客理解:顧客の変化
顧客は常に変化し続けている。今日と1年後では異なる。
「課題解決の3つのフレームワーク」
第1のフレームワーク:顧客起点の経営構造
第2のフレームワーク:顧客戦略(WHO&WHAT)
第3のフレームワーク:顧客動態(カスタマーダイナミクス)
第2章|経営の視界に「顧客の心理と行動」を組み込む 顧客の心理を捉える
顧客心理と顧客行動の関係を可視化し、経営と組織全体に実装することで、投資対効果を高め、収益性を向上することができる
第3章|基礎編|収益を生み出す顧客戦略(WHO&WHAT)の立案 顧客の多様性を捉える
マーケットを定義し、顧客を適切にセグメントしてその多様性を把握する
・手法
顧客へのネットアンケート調査を実施し、4千人のパネルに「認知の有無/購買経験の有無/購買頻度」を尋ねて3千人が「知らない(認知なし)」と答えた場合、未認知顧客は3千万人(TAM顧客数の75%)と推計
・スマートニュースの顧客戦略例
・顧客戦略の洞察|実在する一人の顧客を深く理解する「N1分析」
一般顧客からロイヤル顧客への「ロイヤル化要因」が「ベタつくほどの保湿」であると仮説を立てることができ、加えて、まだ購買したことのない層も含めて「保湿に課題を感じている方=WHO」&「ベタつくほど保湿された肌(WHAT)」という顧客戦略を見いだした。N1の目的を「その一人の顧客が価値を見いだす可能性のあるWHAT(自社プロダクトが提供し得る、訴求し得る便益と独自性)を見つける」と定めること。
→5セグズごとに N1分析を行う。二十人ほどのインタビュー
第4章|基礎編|継続的に収益を高める「カスタマーダイナミクス」 顧客の変化を捉える
・セグメント間の顧客の動きを可視化する
・「一般顧客のロイヤル化」「ロイヤル顧客のさらなるロイヤル化」「潜在的なロイヤル化顧客」
・「認知未購買顧客の新規顧客化」「未認知顧客の新規顧客化」「潜在的な新規顧客」
第5章|応用編|NPIを加えた「9セグズ カスタマーダイナミクス」
・9 セグズ
5セグズの未認知顧客より上位の4セグメントを、次回も自社ブランドを購買する意向があるか、すなわち「次回購買意向」の有無でさらに2分割
9つのセグメントは、
1. 5セグズでの分類である認知の有無・購買経験の有無・購買頻度(ロイヤル、一般、離反、認知未購買、未認知の5層に分かれる)と
2. NPI 次回購買意向(あり=積極、なし=消極、と表す2層に分かれる)の2軸で分けられている
第6章|顧客起点の経営改革とビジョン
「経営は顧客を見る」
創業者、経営者、経営陣の視線は顧客に向いている。顧客を通して社員や従業員、株主、競合、財務結果を見ている。
財務数字の変化は顧客行動の結果であり、顧客心理が変化した結果だと理解している
よって、売上や利益が増減しても、その理由を「顧客の変化」と「その心理と行動の関係」に求め、それによってマーケットを構成する顧客全体と自社の顧客の変化を理解しようとしている
「組織は顧客を見る」
組織に属する従業員は、自身の業務が価値を提供しうる最終顧客が誰かを考え、その顧客にとってどんな便益と独自性が価値になるかを考える
競合の動きを通じて顧客を理解しようとしない
顧客が自社プロダクトに価値を見いだしてくれることにモチベーションを感じる。上司や経営陣の評価に対してではない
→顧客のリーダーシップが発揮されている状態とは、経営の深い「顧客理解」の継続的実践
第7章|ドラッカーを顧客起点で読み解く
常に「顧客にとっての価値」から構想する「企業が自ら生み出していると考えるものが、重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値を考えるものが重要である。それらのものが、事業が何であり、何を生み出すかを規定し、事業が成功するか否かを決定する」