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The Art of Marketing マーケティングの技法

The Art of Marketing マーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説(音部 大輔 著)

■パーセプションフロー・モデルとは
・消費者の認識変化を中心としたマーケティング活動の全体設計図
・現状認識や将来像を共有し市場創造やブランド構築を計画実行し、的確な判断を行うための技法
・どのように売るかではなく、どのように欲しくなり満足するかを可視化
・全活動を把握できれば部分最適に陥らない

■ファブリーズの例
・戦略:売上の達成に必要なユーザー数を確保するために「布のにおいが部屋のにおいの原因である」という認識を確立し、快適な室内空間を維持するためのファブリーズのルーチン使用を促す

■本モデルとAIDMAなどの消費者行動モデルとの違い
以下の8段階を標準型としている
1現状:消費者の関心事、消費者が解決したい問題
2認知:課題の認知
3興味:聞く耳を持っている状態
4購入:何らかのきっかけにより購入
5試用:初めて製品サービスに触れる瞬間
6満足:期待を超える状況
7再購入:使用の継続
8発信:口コミやSNS

・違い1:現状から開始する(つまり注目から始まらず関心から始まる)
関心のないものに注目はない。現状の理解を通して関心へと移る。
・違い2:購入で終わらず、再購入を目指す
・違い3:試用と満足を重視する

■記載シートの記入項目
・消費者の行動
・消費者のパーセプション(行動を動機づける要因)
・知覚刺激
・KPI(質や量)
・メディア・媒体

■カスタマージャーニーとの比較
・類似点1:消費者の理解を可視化
・類似点2:変化の全体を俯瞰する
・類似点3:活動のフェーズごとに分割、効果測定ができる
・相違点1:行動だけでなく知覚認知の記載
・相違点2:現在ではなく未来か
・相違点3:既存市場ではなく、市場創造や差別化

■購入のパーセプション
1時限制のお値打ち感(最後の一つだなど)
2経済性の強化(長く使えるならお得だなど)
3必要性の強化
4他者を巻き込む(家族も欲しがっているなど)
5社会主義の規範(環境にやさしいなど)
6準拠集団の規範(みんな持っているなど)
7動機付けや御褒美(やる気が出るなど)
8記念日やお祝い

■KPI
1消費者の行動やパーセプションの変化の度合いの指標:アンケート調査
2広告表現や製品性能などの知覚刺激の質の指標
3宣伝費用やメディア量の到達度合いの指標

・現状から認知:課題の認知率、市場カテゴリーの認知率
・認知から興味:購入意向率、ブランドの認知率
・興味から購入:購入率、店頭での露出率
・購入から試用:試用後の期待値
・試用から満足:試用後の満足の割合
・満足から再購入:再購入意向、使用頻度
・再購入から発信:NPS、SNS投稿量

■用語:MOT・顧客の思考プロセスのモデル
ZMOT(Zero Moment of Truth):インターネットを利用する現在では、顧客が来店などのファーストアクションを起こす前、つまりゼロの段階で起きている
FMOT(First Moment of Truth):顧客は店舗に並べられた商品を見て、3秒~7秒程度でどの商品を購入するかを決定する
SMOT(Second Moment of Truth):SMOTとは商品を購入した顧客が商品を持ち帰り、使い心地を実際に体感するプロセス
SMAC(Specific Mesurable Achivable Consistent):具体的で、測定可能で、論理的に達成可能で、上位概念と一貫性がある→全員が同じ理解をする際のチェック項目

■用語:戦略
・目的達成のための資源利用の指針
・戦略記述のテンプレート
「〇〇を達成するために、〇〇までに〇〇を実現するべく、〇〇を活用した方針に注力する」

「例:年率5%の売上成長を達成するために、本年度中に、10万人の継続的に使うユーザーを獲得する」

■用語:マーケティング
・マーケティングとは、企業及び他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である(日本マーケティング協会)→市場創造のための総合的活動

■用語:ベネフィットと機能
・ベネフィットの主語は消費者(購入理由であり、消費者にとってのいいこと)
・機能の主語はブランド(ベネフィットを産むための製品、成分)

■用語:ブランド
・ある売り手あるいは売り手の集団の製品を別の製品と識別させることを意図した名称、言葉、サイン、シンボル、デザインあるいはその組み合わせ
・ブランドは意味でありベネフィットの創出

■マーケティングで成果を出すには
・普遍性(仕組みの理解)と実践性(働きかけ方の習得)の両方が必要