見出し画像

グラフィックデザイン ブックガイド

「グラフィックデザイン・ブックガイド」 文字・イメージ・思考の探求のために (グラフィックデザイン・ブックガイド編集委員会)

デザイン思考やイノベーションなど新しいビジネスやサービスを作るには「デザイン」というモデルを使う風習が増えた。かと思うと、画面や紙面上での情報を”わかりやすくする”、”読みやすくする”ことが求められるが、グラフィックデザインが扱う射程はさらにその先にある。

人間が社会を形成できるようになったのは、知識や記憶を他者と共有できるようになったから。そこからルールや神話、コミュニティが生まれた。

グラフィックデザインは社会の中でそのような根源的につながる部分を扱ってきた


・人体と文体の間で起きること

同じ内容であってもどのような物質(媒体)を通じて読むかで読む体験が変わる。映像、音声、電子書籍。文体で言うと、ですます体、である体、文語口語。人は、本のページを構成する物質とデザインを通じて、文字や図版を知覚し、意味を理解する。

・わかりやすさとその周辺

わかりやすいとは何か?
何かを情報に置き換えるときにわかりやすさと言う観点が現れる。では情報とは何か。
・認識情報(世界を知るための知識)
・行動情報(人の行動に左右する情報)
・美としての情報(生きる上での喜びに作用する情報)

・デザイン思想によるポイエーシス(制作)

デザインという分野は思想らしきものが根付きにくい。なぜデザインすべきかを考えるよりも作ってしまった方が早いとなるから。思想は多様に複雑化した世界をいるための類型。
デザイン思想はデザイナーの視野、未来の見通しをよくする。思想から制作へと向かうことができる。

・流転する時代のデザイン理論

デザインは科学と違って統一的に扱える定義ができない。言葉の使い手によって変形する言葉になり得る。

1 拡散する現場
・情報*デザイン
・ビジネス*デザイン
・社会公共政策*デザイン
・福祉*デザイン
・教育*デザイン
・医療*デザイン

2 統合する視点
・全体性に焦点を当てる
・態度姿勢に焦点を当てる
・批評解釈に焦点を当てる
・相互関連に焦点を当てる
・対話に焦点を当てる

3 問い直し
・倫理
・文明批判
・人間以後

・広告デザインの社会学

広告やデザインがなされた時代や社会のありようについて考えていくこと。その広告表現をそうさせている社会的要因について考える視点や当時の社会の姿に迫る姿勢。

・認知にまつわる本のガイド

デザインはイメージを伝えることで行動の変化を起こそうとしているので、相手の頭の中で判断を促すための手がかりを作っているといえる。そのため人がどのように世界を認知しているかをデザイナーは知る必要がある。

・知覚の仕組み
・心の働き
・人間の判断と行動

・文字とことばのための50冊

日本語をデザインするということ。漢字、カタカナ、ひらがなを使い分けるだけでなく送り仮名などが明確でない日本語。
文字が生まれたのは言葉よりもずっと新しい。近代の言語学では、文字は言葉の影にすぎないという考え方がある。しかし文字を経由して考えているはずなので文字は言葉に影響を与え、言葉も滲んで揺れる。

・色彩についての本

色彩と視覚文化は多様な学術的アプローチがある。(物理学、美学、心理学、美術史、社会学、人類学、宗教学)

・伝統色:文化ごとに色彩の特徴がある。なぜ普遍性と多様性があるのか。

・グラフィックデザイン史を再訪する

モダンデザイン史
西洋のグラフィックデザイン史
日本のグラフィックデザイン史
デジタルメディアとデザイン

20世紀の日本のグラフィックデザインと西洋を見比べながら、戦後だけでなく近代の100年でグラフィックデザイン史を見ていくとおもしろい。

・日本語タイポグラフィを考える本

2000年代以降のタイポグラフィは、文字を主体としたデザインのこと。活字書体であれレタリングであれ文字にまつわるもの。言語における文字形象、文字伝達について考えること。文字の演出とは、活字を並べて版面を形成し言葉を伝達すること。

・視覚情報化とインフォグラフィックス

現在における情報可視化はグラフにするだけでなく、ナラティブやストーリーテリング(すなわち物語を語ること)が重要になる。
優れたビジュアルでも分解すると丸や曲線が組み合わさっているにすぎない。なのに私たちは様々な感情を感じ、具体的なメッセージを感じて行動してしまうのか。