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ルール展(21_21DESIGN SIGHT)

2021年7月から始まったルールをテーマにしたデザイン展。普段、考えていない頭の奥底を刺激されました。感じきれていない部分を突かれた気分です。

ルール展(21_21 DESIGN SIGHT)http://www.2121designsight.jp/program/rule/
”私たちは、さまざまなルールに囲まれながら暮らしています。本展は、日常のさまざまな場面で遭遇するルールの存在と影響を取り上げ、デザインによってどのようにかたちづくることができるのか、多角的な視点から探ります”(展示会主旨より抜粋)

(#ネタバレ注意。まだ体験していない方は見ないで下さい)

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ルール展

最初は14名まで入れるインスタレーションコーナーです。(30分で入れ替わる企画です)。このような円形のステージが設置されており、人の動きをリアルタイムで感知しています。

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内容は直接体験いただくものとして、立ち位置を自動的に把握して様々なアンケートの結果がその場で集計されて前方に投影されます。ドキドキが止まりません。

1:ルールに気付く
身近にはたくさんの規制や暗黙の習慣があることに気付かされます
2:ルールを使う/守る
標識など、ルールに沿うことで快適に暮らすことができます
3:ルールを破る/壊す
時にはそのルールを壊すことで新しいルールが見えてきます
4:ルールを更新する
時代やテクノロジーによってルールもまた進化していきます

たくさんの規制がありますが、面白かったのがこちら。人間の無意識の慣習です。エレベータに乗った人たちは、皆、等間隔に八人の場合、四人の場合、二人の場合、その人数のパターンごとにまるでルールがあるかのように決まった立ち位置に移動している様子が示されています。

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こちらは「鬼ごっこのルール」の分解表。ルールを細かく分けていくと様々な鬼ごっこの派生系が生まれています。タッチすると固まる「氷鬼」や捕まると決められた場所に囚われ、味方が逃がすことができる「ドロケイ」など。遊びの中でルールをつくり、試し、修正し、また試すという工程を繰り返しています。

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ビール系飲料には、ご存知の通り発泡酒、第3のビールなど新しい種類も増え、それぞれ税率などが異なるため線引きには様々なルールが議論されてきました。本展示では、それぞれの種類によってパッケージの表記のルールによってデザインが変わってくることを示しています。

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展示場の木箱はどこに移動させても構わないというルールになっています。

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《真鶴町まちづくり条例『美の基準』》
まちづくりにおける「美」について8つの原則を立て、町、町民、町を訪れる人々、それぞれに参加を促すルールで、1993年の制定から真鶴町の風景を生み出す導線になっています

街づくり、美の基準、外観を守るためには建物には様々なルールがあります。例えば場所や材料など。

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・デジュール・スタンダードとファクト・スタンダード
ルールとして社会に定着するには、2つのプロセスがあります。企業が単独で行っていた試みが公的機関によってルールと定められる「デジュール・スタンダード」と、社会に広く普及したため標準として扱われるようになる「デファクト・スタンダード」です

PCのキーボードのQWERTY配列は、デファクトスタンダード。

・ボイドアルゴリズム
ルール1「間隔」:近くの仲間達と近づきすぎないように距離をとる
ルール2「同調」:近くの仲間達の方向と速度に合わせて動く
ルール3「結束」」近くの仲間達の位置の平均に向かって動く

そのルールを組み合わせると「群れ」という現象が生まれる。以下。

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自分の所有物を街で購入する
自分がキオスクで買ったananを持ったまま、別の書店に行き、自分のananを見せてまたお金を払うというムービーもありました。最初、なんのことやらと混乱しました。物とお金の価値交換があまりにも規則的に行われているのかという。

作家が自身の所有物をわざわざ売り場に置くことで一旦商品に戻し、貨幣と交換することで再び所有物にするという作品。私たちの経済システムが、お金を介することでさまざまな手間が省かれ、中身に関わらず極めて記号的に進められていることに気づかされます。お金で担保された信頼が揺らぐとき、私たちは何をもって商品の価値を判断し、何と交換するのでしょうか。