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ウイルスと私たちの「進化的軍拡競争」

はじめに

ウイルスがなぜ存在するのか、ウイルスは人類の敵なのか、そんな観点での研究があります。特に興味深いのは、人の進化に影響を与えているという話です。いわば、悟空とベジータのようなライバルとして競い合うことで進化していると言えるのでしょう。
そもそも、ウイルス目線で見ると、宿主(人間)にせっかく居候させてもらっているのに、宿主をころしてしまったら自分の居場所がなくなるので、不合理なのです。

生物の進化促進、生態系調節の役割も。ウイルスの”存在意義”の解明進む(時事通信2020年6月)
https://www.jiji.com/jc/v4?id=202006sss0001

ウイルスは生物の進化を促す

■ ウイルスは地球に現れてから常に自らを増やす場を求め、生物に感染し続けてきた
■ ウイルスは、ヒトをはじめとする生物の生殖細胞に感染すると、その生物のゲノム(遺伝子の総体)の一部と化してしまうことがある
■ ウイルスは単に「感染するもの」ではなく「進化を促すもの」でもあり得る

ウイルスと私たちは「進化的軍拡競争」をしている

■ ウイルスは生物に内在化する以外の方法でも、生物進化に深く関わっており、その一つが「ウイルスと宿主の進化的軍拡競争」とよばれるもの。
■ ウイルスが宿主に感染するための効率よい手段を獲得すると、私たち宿主も、そのウイルスに対抗するための手段を獲得する。このいたちごっこで常にお互いが進化し続ける
■ 進化的軍拡競争は、ウイルスと生物の間だけでなく、生物と生物の間でも起きるが、ウイルスの進化のスピードは他の生物よりも速く、その速さに生物がつられるため競争となりやすい

ウイルスは生態系の調節の役割

■ 生態系との関連ではプランクトンの急激な繁殖により起きる「赤潮」が、ウイルスの働きによって終息することが明らかになっている
■ 災いをもたらす病原体としてだけでなく、ウイルスは地球生態系の構成要素であり、生物の生命活動や生態系に影響を与えている

さいごに

人類の進化のような長期的な視点では、人とウイルスはライバル関係として互いに切磋琢磨していくわけですが、短期的には決して油断ならない存在とも言えると思います。(決して、人がウイルスによって生態系の調節の対象となっていいわけではないという話)

でも、根本的には互いをゼロに消滅できるわけではないので、withコロナ という考え方で、今のインフルエンザのような当たり前の存在として付き合っていくのだろうと思います。