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ベンチャー企業の人的拡大における深刻的課題と楽観的展望

0. 考えるべきテーマ

ベンチャー企業と言いますか、中小企業全般において人的拡大は最大のテーマなのではないかと思っています。会社を駆動させるエネルギーの根源とも言える人的リソース。そして常時、入れ代わりもあり人不足に陥いる採用課題。要するになかなか採用が難しいということ。

まあでも、色々採用サイトもありますし、エージェント経由などを含めて、会社が無名でも、それなりに知ってもらえる方法はあると思います。大企業ではなく小規模で自分の意思が反映しやすい環境に価値観を置く人もいるでしょうし、業界スピードの速さや無駄な承認フロー・社内調整が少ないことにメリットを感じる人もたくさんいると思います。

今回のテーマはここからで、

運よく巡り合えた方が入社して、いかにランディングするか(会社に馴染んで、数字を作るなどの会社に貢献できるところまでいけるかどうか)です。

一般的な中途採用であれば、ある程度の即戦力を期待しますので(3ヶ月か半年かはわかりませんが、3年後に花開いてくれればいいやという余裕はないと思います)、なのでそれなりに同じ業界もしくは応用の効きそうな近しい経験を持った人が採用基準の一つになると思います。

ところが、そういう人にはなかなか巡り会えないことも現実かもしれません。条件面やタイミング、役割(ポジション)、転職先の会社とのマッチングなど他にも入社に至るのに必要な要素は多いと思います。

1. 業界の重なりの問題

以下の図で言うと、転職先の会社とならべく近い業界や重なりのある業種からであれば、それなりに早めのランディングが期待できるでしょう。

「現職の業界」と「転職先の業界」の関係性

この距離感が非常に難しいところです。あまりに遠い業界だと、転職先の業界の知識やスキルを身につけるのが大変です。

・教育体制の不備(そんなちゃんとしたプログラムとかない)
・他業界の知識やスキルは、何冊か本を読んだ程度で身に付かない

入社して最初の関門はこの辺にある気がします。もちろんある程度は理解した上で入社するわけですが、実際始まるとどんな会社でもやりながら覚えていくしかないわけで、あまりにもチンプンカンプンだと時間の問題だけでなく、精神的にこの先自分は大丈夫か、と思ってしまいますし、何より自尊心(もっとできるはずなのに活躍の場がない)に傷がついて落ち込みます。多分。

2. スキルレイヤー

次の観点として、スキルのレイヤーの話ですが、以下のように基盤となる基礎的な力・スキルがあれば、またランディングできる速度も変わってくると思います。

3段階のスキルレイヤー

土台となる基礎的なレイヤーとして、論理的な思考力や常にポジティブに考えられるポジティブマインドは共通したスキルとして入社後のランディングに大きな力になると思います。また、言語能力(国語力、英語など)もあれば、社内での役割として力になるかもしれません。

業界スキルは先ほどの通り、応用が効くのなら良いのですが、全く別業界であればなくてしょうがないので、ベーシックスキルを糧にして入社後に身につけるのみでしょう。特定スキル(ツールの使い方やタスクレベルでのノウハウなど)については、もはや業界が違えば論外です。このレイヤーはたまたま同じツールだったら応用が効くと言う感じでしょう。(例えば、Googleアナリティクスの知識や広告運用のノウハウなど)

4. 楽観的展望

と言うことで、業界も全く違っていて、スキルレイヤーでもあまり基礎力で応用するのが難しかったりすると、転職先でのランディングが非常に難しいと感じます。

ただ、年齢でいうと、二十代は何もなくてもなんとかなりそうな気がします。周りの方は人生の先輩も多いと思いますので、元気であればなんとかランディングできると思います。三十代前半もちょっとプライドが邪魔しなければなんとかなりそうな気がします。(30歳前半というと、もう7〜8年社会人をやっている人のはずなので、かなり成功経験がある人やそれなりに管理職をしている人もいるはず)。40代50代であれば、業界が違っても基礎力があるはずなので、これまでの知見を拡張させれば、会社の役割にマッチすると思います。でも、年齢はちょっと置いておいて、

・本質的な結論は「多様性」

多様性は、違った業界から、違った社風や環境でなんとか仕事をしてきた人たちと、ベンチャー企業が融合していく様(さま)なのです。場合によっては、「国籍」も「話す言葉」も違うかもしれません。文化どころか、正月の時期だって違うかもしれません。食べるものの好き嫌いだって違っていいのです。

仕事の経験や基礎的なスキルで応用が効くかどうかは、確かにその会社でランディングしていく(役割を果たして馴染んでいけるかどうか)は死活問題なので大変重要です。しかし、全然違うバックグラウンドを持った人たちが集まって小さな組織として成立していくことはとても刺激的で単純に目新しくて楽しいのです。

採用活動として、ベンチャー企業・中小企業がうまくポジションに当てはまる人を採用していくことは難しいのですが、楽観的にいうと、いろんな人がいると多様性があって面白いし、きっとそれは会社の強さにつながっていくのだと本気で信じています。